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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

万能の人5-ミラノの梟雄イル・モーロ

2019.07.10 02:31

レオナルド・ダ・ヴィンチは絶頂期のミラノで仕事をしていた。僭主ルドヴィコはイル・モーロと呼ばれていたが、色黒でムーア人のようだという意味らしい。しかし同時に信用のできないヤツという意味でもある。彼は教皇は自分の教師、皇帝マクシミリアンは自分の傭兵隊長とうそぶいたという。

事実、ルドヴィコはイタリア戦争で、ついにミラノの黒幕から事実上の公爵で領主となった。彼はレオナルドに居城カサ・デラ・アッセの装飾を手掛けさせ、自分や愛人の肖像を描かせたが、騎馬像のための青銅はフランス軍が大砲にして二度とつくることはなかった。次々プロジェクトをするが金は滞りがちだった。

しかしミラノの周りでは、見事に裏切られて者達が対ミラノ同盟を結び始めていた。特にヴァネツィアは唯一のライバルとなったミラノを貶めるために教皇と同盟を組もうと動いていた。フランスのシャルル8世はもう一度捲土重来を考え、ミラノだけは許すまじと思っていた。

未戴冠の皇帝マックスは、イタリアへ遠征したもののリヴォルノで敗北し、イタリア人の狡猾さを身にしみていた。ところが、ルドヴィコが頼る同盟者は今や娘婿の皇帝しかなくなっていた。1497年1月、芸術家を庇護し、信望の厚かった公妃ベアトリーチェが亡くなると情勢は一変するのだ。

下はダ・ヴィンチのミラノ時代の肖像画の傑作「白テンを抱く貴婦人」「ミラノ貴婦人の肖像」