LAMのイラスト術 in DNP プラザ
2019/07/06 (土) では DNP プラザ2つめのイベント「LAMのイラスト術」が開催され、参加してきました。
本イベントでは LAM 先生と雷雷公社のデザイナーであるカトウさんも登壇され、盛り沢山の 1時間半でした。
※雷雷公社 : イラストルーターの LAM さんとデザイナーのカトウさんを中心としたデザインチーム。
イベントでのトーク内容について下記にまとめたいと思います。
★雷雷公社結成について
大学入学当日、LAM さんは幽遊白書の蔵馬の様な風貌の加藤さんと出会った。
二人はそこから仲良くなりこれまで10年程の付き合いがある。(偶然にも当時の家が隣だった)
元々 LAM さんは単体で同人活動をしていて、そのデザイン部分を加藤さんがお手伝いで参加する様になり、
同人誌が人気になるにつれて LAM 名義ではなく二人の名義で出して行きたいという思いが出てきた事がきっかけになった。
★雷雷公社の名前の由来
アニメ「R.O.D」に登場する〇〇公社という組織の名前の響きがカッコ良いと前から思っていたので「公社」を入れたいと考えていた。
そこから
- LAM さんの名前の由来になっているうる星やつらのラムちゃん
- 加藤さんの趣味で乗っていたバイクの名前がファイヤーボルト
という事と元々雷のモチーフが好きだった為、「雷雷」になった。
■第一部(東京クロノス)
雷雷公社として初めての商業案件。
LAM さんはキャラクターデザインをやってみたいと以前から考えていて、東京クロノスをきっかけにアトラスを退社した。
★キャラクターデザインについて
VR ゴーグルで覗いた際に登場人物がはっきりと分かる様に「色」で区別できる様にしたいというリクエストを受けた。
最初は桃野からデザインを開始したが、アートとして仕上げたのは東国。
一番描いていて楽しいのも東国で、一番 LAM カラーが強い。
LAM さんの作風としてフェイスペイントが特徴的だが、実は東京クロノスでそういった要素を持つのは東国と桃野だけ。
難産だったキャラクターは櫻井。
主人公であり、プレイヤーが感情移入しやすい様にデザインする為のバランス取りに時間を多くかけた。
★キャラクターデザインで注意していること
「引き算」を意識している。
例えばツイッター等で人がぱっとみて覚えられるのは数個の要素。
要素を増やせばリッチにはなるが、記憶に残りにくくなる。
なので、色や形に分かりやすい特徴を持たせるように意識してキャラクターをデザインしている。
この「引き算」を意識する様になったのはヤスダスズヒトさん(代表作:デュラララ!!等)のデザインや
ポケットモンスターのジムリーダーから影響を受けた事がきっかけ。
★ノベライズ「渋谷隔絶」のデザインの話
内容について LAM さん大絶賛。映画化して欲しいとの事。
(因みに作者の小山さんもイベントの客席にいらっしゃいました)
東京クロノスの舞台装置として大事な渋谷を取り入れ、不穏・心理的に不安定という要素を色で表現している。 ピンクとピーコックブルーでまとめたのは映画ブレードランナーから着想を得たとの事。 (LAM さんご自身はブレードランナーを見たことは無いそうです...w)
本作のある登場人物が好きすぎて「肖像画」の様な物を描いたのでそちらもお楽しみに。
★PSVR 版パッケージについて
キービジュアルとしては第三弾。
LAM さんが実際にゲームをプレイした後に書いた作品で、東京クロノスは「青春の物語」という解釈で制作。
色合いについても新しい表現にチャレンジした。
各キャラクターの「目線」に意味を持たせてデザインをしている。
プレイ後にじっくりと観察して想像すると様々な発見がある絵に仕上げている。
★パティのデザイン
監督から「キモかわいいキャラクター」というオーダーで受けた。
LAM さんはサンリオ等のキャラクターをデザインする学科に所属していた為、 自身の手慣れたデザインをベースにした結果生まれた。 配色はカートゥーンに登場した昆虫をヒントに決めている。
★絵の上達について
絵の技術自体は描き続ける事で基本的には上達する。
しかし、技術以上に自分が好き・嫌いな物、世の中で人気がある物に対して理由を考え、
どういったデザインが受けるのか等、様々な事を考えながら取り組む事が大事。
■質疑応答1
1. キャラクターで気に入っている所は?
ズバリ「下着」。全キャラクター分のデザインをしている。
クラウドファンディングのリワード資料には載っているが、本当は皆に見て欲しい。
そして、LAM さんを象徴するデザインである電撃のモチーフ。
第一印象で衝撃を与えたいと考え、最初に公開される予定だった東国に電撃モチーフを加えた。
2. キャラクターデザイン時にプロデューサ陣とのやり取りではどのような物があった?
基本的にLAM さんからいくつか案を出し、その上で話し合いの上決めていくという流れだった。
細かいリクエストは多く無く、比較的自由にデザインを行う事が出来た。
3. 絵の練習方法は?
資料を見る事を大事にしている。
ツイッターや pixiv で沢山のイラストを見て、自分が良いな・カッコいいなと思う物を取り入れる。
また、絵を描く時に何か新しい事に挑戦する事を意識している。
期限が迫っている状況下だったとしてもチャレンジする事で結果としてそれが練習になる。
■第二部(PROJECT KAGURA)
★同人活動について
同人イベントに参加してみたいという純粋な好奇心から始まっている。
商業の案件では基本的に誰かからのオーダーに沿って制作する事になるが、100%自分達のデザインを発揮し、様々な実験を行うという意味合いで同人活動を大事にしている。
今は簡単に綺麗なデザイン画が SNS で手に入ってしまう時代。
だからこそプロダクトとして持っている事を誇らしく感じられる様に本の装丁等には力を入れている。
★Project Kagura について
雷雷公社として自分達のコンテンツを作りたいという思いを形にした物。
Kagura にした理由は雅な名前にしたいと考えて付けた。
今後どういった形に発展していくかはまだ明確にはしていないが、
バトル物をやってみたいという事とフィギュアを作りたいという事を意識してキャラクターを制作した。
★睡眠について
しっかりと寝る事は大事。仕事が間に合わなくても死ぬ事は無い。
間に合わない作業は明日の自分に託す。
とはいえ、最近は不規則な生活が続いている影響で11時間くらい寝てしまっている。
6時間位で済むようにしたい。眠りすぎてしまう事が最近の悩み。
■質疑応答2
1. 絵を生かす為に気を付けている事は?
基本的に自分が好きだなと思う部分に目が行く様にロゴを配置する等を意識している。
極論ではあるが、絵に対してデザインはそもそも邪魔では無いか?という考え方も持っていて、
LAM さんの絵を邪魔しない様にデザインを配置する事を意識している。
時には絵に負けない位印象的なデザインを載せる事もある。
こういったカトウさんの持ち味が雷雷公社の特徴的な絵に仕上げている。
2. MyDearest 取締役 CMO 郡 陽介さんの質問
※郡さんは東京クロノス音響監督です。
2-1 何故僕の REALiZE を受けてくれた?
答えは簡単。ファンだから。
今後も雷雷公社とのコラボが出来たらと考えている。
2-2 令和の雷雷公社はどうなる?
LAM さんの原動力は好奇心。
いつかカッコいいオフィスを持ちたいという夢を実現してみたい。
MyDearest さんとのお仕事やその他様々な案件を通して雷雷公社としての活動を広げ、カトウさんに会社員を辞めてもらい、カトウさんと一緒にもっと本格的に活動が出来る様な体制を作りたい。
3. 東京クロノスで VR のキャラクターデザインをして得た知見等は?
3D モデルの監修を担当し、PC モニタでチェックした時には OK を出したが、
HMD で見た時に見え方が大きく変わってしまっていたという事等を経験した。
最終的に VR 作品として良い物を作る事が出来て、ノウハウが溜まった。
今後の作品にも経験を生かしていきたい。
■あとがき
イベントの内容が盛り沢山だった為、長文でしたがここまで読んで下さりありがとうございます。
今回のイベントでは東京クロノスをより深く理解する為のヒントや雷雷公社のお二人の活動に対する想いを聞く事が出来、 ファンとしてとても楽しい時間を過ごさせて頂いたと同時に、自分の仕事や趣味の活動に対して改めて考えるきっかけとなりました。
これまで東京クロノス関連では様々なイベントが開催され参加してきましたが、特に創作意欲を刺激されるイベントだったと思います。
そして本イベントが無料だったという事が今でも信じられません...w
DNP プラザでのイベントは当初3種類とアナウンスされていましたが、Anime Expo 2019 等の都合で開催は残念ながら見送りとなりましたが、今後もまだまだイベントの企画はある様なので、そちらを楽しみにしています!
そしていよいよノベライズ「渋谷隔絶」が 7/19(金)に発売されます。
渋谷のアニメイトでは特設コーナーが予定されている様なので、予定が合えば行ってみたいと思います。
それではまた。