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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

前宗教改革7-サヴォナローラのフィレンツェ

2019.07.11 02:50

メディチ家以後フィレンツェのリーダーとなったのはカリスマ説教者サヴォナローラである。彼は権力は国民のものではならないと説き、メディチ家支配に反対した。この平等主義は、宗教改革思想を先取りしたといえる。そして自分を神の使いと称して、フィレンツェから新しい教会が生まれると言った。

フィレンツェ人のプライドをくすぐるこの説教は熱狂的にウケ、ミランドラのような人文主義者も期待してサヴォナローラの廻りに集まった。1494年のフランス侵入は、イタリアへの罰を説いたサヴォナローラの予言が的中したと理解された。仏王がサヴォナローラにおだてられて、さっさと町を去ったことは決定的にカリスマの証明となった。

その後、フィレンツェは、500人からなる民衆大評議会をつくって共和制を開始した。しかしまあ共和制といってもサヴォナローラの言いなりだったのは、ヒトラーに浮かされたナチスドイツを思わせる。

そしてサヴォナローラは、フィレンツェを拠点として、世俗化して欲に染まったアレクサンデル6世のヴァチカンを攻撃した。当初は教皇は、枢機卿にしてやると言ったらしい。しかしサヴォナローラは「血で染まった帽子のほうがいい」と拒否した。