国道305号 越前海岸隧道群 前編
越前海岸
福井県が全国に誇る屈指の観光地。
東尋坊、越前岬、水仙ランドなど、観光地が連なる越前加賀海岸国定公園の一角です。
そんな越前海岸の海岸線をトレースする1本の国道があります。
国道305号
幻の北陸道としても知られ、菅谷峠(すがんだんとうげ・レポ未)にて分断されていますが、峠以北の海岸部分は観光道路として積極的に利用されています。
この道が作られ始めたのは明治42年とそれほど古くなく、かつての街道筋を踏襲する場合が多い国道として珍しい歴史を持っています。
なぜ道が作りやすいとされる海岸線に長らく道が出来なかったのか、その理由は至って明快。
こんなとこに道なんて通せねえよ!
昔の土木工たちが匙を投げるほどの断崖絶壁、奇岩の嵐。
そこに道を通せる程の技術が追いついてきたのが、明治後半に入ってからだったというわけです。
しかし明治後半と現代ではトンネル技術、橋梁技術ともに飛躍的に向上しています。
かつてそこで交通の主役を担った隧道たちは、そのままの姿でお役御免となり眠っているのです。
今回は敦賀側から順を追って訪ねていきたいと思います。
さてここがスタート地点。
えちぜん河野しおかぜラインと国道305号の交差点です。
ぶつかった道が305号。
ぶっちゃけるとしおかぜラインも国道305号なんですけどね。
長らく有料道路として独自の道を歩んでたんですが、無料化に伴い南越前町側が国道305号に、敦賀市側が福井県道204号大谷杉津線に編入されたのです。
ちなみにこの福井県道204号、現在はこのしおかぜライン区間しか現道がありません。
旧道は・・・、上のリンクをご覧ください!
さて気持ちよく現道を走っていくと、次々と旧道が現れます。
写真は現道は橋で跳び越えている入江を丁寧になぞる旧道の姿。走りたかったのですが、公園化されていたので諦めました。
このように旧道が他の県道と一体化しているパターンもあります。
写真は福井県道206号甲楽城勝連花線、読めん。
この道の場合はほぼ起点のみの利用となっています。
そして何本かの旧道を抜けると突然現れます。
糠一号隧道(ぬかいちごうずいどう)
民家の裏道に廃隧道。
個人的には山道の隧道もそそりますが、こういう軒先へなへなからの隧道!というサプライズも大好きです。
洞内は至って平穏ですが、車の通行はもうできない様子。
倉庫として使われているのかな?
逆側には部分的にコンクリート施工した跡が。
過去にこちら側が崩落したのでしょうか?
ただでさえ狭い隧道が一段と狭くなっています。
現道からはこんなふうに見えます。
ぽっかり空いているというのがぴったりな雰囲気。
比較的見つけやすい廃隧道ですね。
旧道は3割くらい残っています。
並行する道は、全て旧道と思っていただいても差し支えないほどの頻度と言えるでしょう。
このように広い路肩も要注意です。
この写真を撮影した背後には一見法面しかありません。
しかしこの広い路肩を旧道と仮定すると、そこに隧道がなければおかしいということになります。
そこで張り出した崖の反対側に行ってみると・・・、
発見!!
糠二号隧道(ぬかにごうずいどう)
しかし木戸とは意味深なふさがれ方してますね・・・。
なんか吸い込まれそうなのは僕だけでしょうか。
ほらほら。
・・・まぁ閉塞確定の隧道だし、中は倉庫になってそうだから、今日はこれくらいで勘弁してやるぜ!
なんか普段とは違う恐怖感があったよ・・・。
気を取り直して旧道を進むと、すぐに3番目の隧道が現れます。
米ノ隧道(こめのずいどう)
こちらは巻きたてられていることもあり、集落道路として現役です。
しかし外見はいいとして・・・。
虎柄の巻きたて!!
中央部分にいったい何があったんだ!
というか・・・、
こんなくらい巻いちゃえよ!
まぁ素人考えではそう思いますが、こんだけ巻くだけでも相当な費用がかかるのかも。
節約ってことか。
振り返ったら隧道は四角かった。
なんなんだこの隧道は!
コロコロ姿を変えやがって!!
テンション上がるじゃないか!!!
僕はこういう変な奴が好物です。
そして4つ目。
ここは今年の春にも紹介しましたね。
あの時から半年、今日までこのネタを調べに調べて温めていたんですよ!
旧高佐隧道(たかさずいどう)
ここは一度紹介しているので、詳しくはこちらで。
しかし前回は知らなかったのですが、この旧高佐隧道、今回紹介する越前海岸隧道群の中で最長ということがわかりました。
言われてみれば、確かに長い。
そして岩肌が若干グロイ。
某有名オブローダーの方が、地球のお肉という表現をされているのを納得させてくれる光景です。
ちなみに旧道の道幅はこんな感じ。
正確には国道の前身となっている主要地方道、「敦賀三国線」の姿ですが、こんな県道今じゃありえない!
・・・・・・・いや、あったな・・・・。
しばらく旧道はなく、現道を走ります。
これまで旧道はもれなく現道の山側にありました。
当然海側は土地的な制約が大きく、橋梁技術が未発達だった時代にはそこに道を通すという発想すらなかったはずです。
しかし今回、右に写る現道「黒崎トンネル」の海側に怪しい道を発見しました。
まさにフェイント!
危うくだまされるとこだったぜ!
これは来たな
この規格、これまでで最も新しい廃隧道の予感です。
ロックシェッドがそのまま残ってるのがまたいいですね。
あった!!
けど・・・、
遠い・・・orz
旧道自体が排水処理施設と一体化しているようです。
なにはともあれ自己紹介ですね。
後先になりましたが。
黒崎隧道(くろさきずいどう)
大人の事情により接近不可!
さてここで旧道はいったん国道365号(またお前か!!)に合流して、現道から離れます。
区切りが良いので、前半はここまで。
後半は僕を楽しませ、苦しめる廃隧道パラダイス!
お楽しみに!