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マヤ

『W旦那+(プラス)』 三代目妄想劇場 番外編(最愛⑦)

2019.07.12 23:00

隆二はホテルの正面から出て、早足に歩き始めた。




フロントでタクシーを手配しようとしたが、すぐには配車できないと言われた。




一秒でも早くこの場を離れ、隆臣を迎えに行きたい。




そうしなければ大切な息子を、あの女性に奪われる様な気がした。




頬にポツポツと大粒の雨が当たる。




一雨来そうだ。




雷の音も近くなってきた。




そんなことも気にならないくらいに、隆二は苛立っている。




急に雨が激しくなってきた。




「くそ!!…近くの駅までどれくらい歩けば」




取り出したiPhoneが雨粒に濡れる。




「先にがんちゃんに電話して…」




操作しようとした指が止まった。







隆臣を連れて東京に戻るか?




いや、しばらく関西の親戚の元に身を隠すか?




臣から逃げて?




なんで俺が逃げなきゃいけないんだ?







すぐ近くで雷が鳴った。




どしゃ降りの中を、ただひたすら進む。




何分くらい歩いただろう。




大雨で煙る車道に一台のタクシーが止まった。




後部座席から外に出て来た人影が、隆二の側に駆け寄ってきた。




おもむろに腕を掴まれた。




「なにやってんだ?こんなどしゃ降りの中で、風邪引いたらどうすんだ?」




「……臣?」




「ホテルに帰るぞ!!!」




「離せ!!俺はたっくんを迎えに…」




「いい加減にしろ‼️勝手に誤解しやがって」




「…誤解!?」




脇腹をがっちりガードされてタクシーまで連れていかれ、車内に引きずり込まれた。




「運転手さん出して下さい!」




「えっと、どちらへ?」




「この近くに素泊まり出来そうなホテルかなんかありませんか?」




「ああ、それなら一軒心当たりがあります」




「同性利用が可能なハピホテですが…」




「そこ行って下さい」




「かしこまりました」




隣を見ると隆二は、びしょ濡れの髪から水が滴り落ち、唇を噛みしめて下を向いている。




掴んでいた相方の腕を解き放つと赤くなっていた。




「ごめん、痛かったろ?」




「胸の奥が痛すぎて、感じないよ」




「馬鹿力…どこ行く気だ?」




「ホテルに戻りたくないんだろ、お前…」





つづく