陸上選手の水上競技
勉強会の前日に陸上競技の元選手を海に誘いました。その時の感想を書いてくれました。
自分で体験し、トレーナーとしての身体の使い方を書いてもらいました。
陸上では、地面が揺れるということは決してありません。
特に整備されたトラックだと平面で走りますので地面が揺れるという経験はないと思います。
しかし、板一枚のボードで水上に立つと僅かな波で、かなりの衝撃なのです。
また水圧も想像を超えていたと思います。
陸上と水上では勝手が違うので、陸上選手が、どれだけ対応できるかがもの凄く知りたくて彼を誘いました。やっぱり色々と感じてもらえて嬉しかったです。
久しぶりに初めてボードをやる人を指導してわかったことがあります。
それは、ボート側から見ていると立てる時は姿勢が違うので、見分けることができます。
水上に立つまでは、女性の方が上手いと、よく言われていることですが、その通りの結果になりました。
力がある男性の場合、水の抵抗に下半身と手で逆らおうとしてしまいます。
女性の場合は力がないので、手で引っ張り込まないから水の抵抗を受けないでクリッと起きあがってしまうのです。
どんなに力の強い人でもあの力に耐えられる人はいないでしょうね。ネットの動画で見たことがありますが、200キロぐらいのテンションがかかるみたいです。
面白いのはウェイクボードは、横乗りです。水上スキーは縦乗りという違いがあります。意外にこの差が乗り方や使う筋肉に差がでます。
この時に重要なのが、いわゆる胆経です。身体は前後には揺れやすいですが、左右には揺れにくい構造になっています。腸脛靭帯や身体の側屈にストップをかえる靭帯が、それを可能にしています。
腓骨筋あたりの足首外側の筋肉はあまり働かないようにできているのは、その為だろうと思います。
筋肉が収縮するというより突っ張って動かないのが主な目的でしょう。腰痛の時には、必ず胆経の緊張が起こるのもその為だろうと思います。
ウェイクボードは、横乗りなので、動かない胆経の筋肉を微妙に連動させて乗るスポーツと言えます。足首を固定されたまま、移動しようと思うと、両足でジャンプして前に進むしかありません。
横に進もうとしたら、回旋運動を巧みに使わないと動きません。
ボードは上半身の回旋運動が優位になるスポーツです。水上スキーとは違います。スキーとスノーボードの違いと同じなのですが、大きな違いは、動力がボートで引っぱるということです。
スノーボードは、重力で自然に落下する力を応用しますが、ウェイクボードはあくまでもボートに引っぱられる力を利用するので手の位置が非常に重要です。
手が上になるとボードが水に引っかかり、つまずくようになります。下にするとフロントが浮き上がり安定します。片手で滑ると楽に滑れるのはその為です。動力の位置が身体のどの高さに置くかによって挙動が違うという特性があります。
つまり、逆に言えばスノーボードより、動力を自由選択できるというのが特長です。
水上に立つとき、初心者の場合、ボードの前に手が行きすぎて前のめりに突っ込むんだり、後に体重をかけすぎて、水の抵抗をもろに受けて立てません。
身体を小さくまとめて、だるまさんのように起きあがって自然に足を前に出すと、自然に立てます。
しかし、言うのは簡単ですが、思ったようには、なかなかできません。
基本的には、それらが立てない理由になりますが、日常ではそんな経験をしたことがありません。
また、僅かな波でもボードの先が波に食い込むので、転倒してしまうこともあります。
スノーボードのコブは移動しないので予測できますが、海の細かい波は、殆ど予測不可能で連続しています。
だから波のない平水で滑る方が楽に滑れます。