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この道往けば act2

国道305号 越前海岸隧道群 後編

2019.07.17 06:09

さて玉川トンネル旧道から現道に戻ってくると、すぐに後半の隧道祭りがスタートします。

実はここから先の区間、僕の保存ミスにより写真がかなり小さくなっていることをお許しください。

これがきっかけで縮小ソフト変えましたよorz。

次の隧道の予定は旧越前岬隧道。

現道の越前岬トンネルのすぐ山側にあるとの情報を仕入れておりました。


すぐに怪しい道を発見!

ちなみにここは玉川トンネルの坑口から50mほど進んだ地点。

まさに目と鼻の先です。

しかし先に見える緑が濃い・・・。

ここから先は一面、緑の海

葛の大河

押し寄せてくるかのような勢いです。


個人的に藪こぎは、木や藪も嫌ですが、このような葛の密集地帯の方が嫌いです。

足がとられてこけそうになる、ここは特に左にこけると現道へまっさかさまなんだから!

勘弁して!!


まぁ落ち着いて考えればここを無理やり通らなくても、反対側の坑口は簡単に行けるんじゃないか?

大した長さのトンネルじゃないんだし、そっちに行って見れた方が楽かも。

というわけで・・・、

み~つけた!

ほらね、やっぱ考え方を柔軟にしないと!!

え?

反対見えてるし、なんかバイパス見えてるし違う道じゃないかって??

皆さん素晴らしい観察眼をお持ちなようで・・・。

血ヶ平隧道(ちがだいらずいどう)

それがこの隧道の正体です。

越前岬隧道とは連続する隧道だったこいつ。

今は駐車場の奥で存在感を放っています。

さて見てもらえば分かる通りこの隧道、遊歩道として現役で活躍しています。

洞内に謎の調理器具が捨てられていましたが(笑)、それ以外はよく整備された隧道でした。この先の公園らしき広場は山のこちら側からだとこの隧道を使わないとアクセスできませんので、そういう意味でも現役と断じてよさそうです。

どうもだれかがものすごい力で松ぼっくりを壁に投げつけた様子。

めりこんでます(笑)

敦賀側坑口はこんな感じです。

なんか好きですねこの隧道。血ヶ平なんておどろおどろしい名前がついてますが、実際は不快感のない風の吹きぬける良い隧道でした。

さて次は肝心の越前岬隧道の福井側坑口を探さねば・・・。

さて恐らく向こうの斜面のどこかに、隧道が口を開けてるはずなんだけどなぁ。

相変わらず緑の海に埋められてますねぇ。

しかし疑定置としては、そんな高い所にはないはず。

血ヶ平隧道と路面と思しき平場は同じレベルなわけだから、このまま斜面に向かえばいいはず。

こっちも完全に緑の海。

しかもこれは敦賀側坑口で見た葛の海を越える、緑の最強障壁。

マント群落

木と蔦と葛のコラボレーションに完全に屈した僕は、攻めてまだマシな葛の海を選択し、敦賀側に向かいます。

突然写真が大きくなりましたが、この写真だけはなぜか無事だったのです!

そしてこれは天の救いか!!

先ほどは気付きませんでしたが、越前岬トンネル敦賀側坑口のすぐ脇に、はしごがあるではありませんか。

これはもちろん行くしかない!

登り切ればそこは緑の地獄だった。

でかい!でかい蜘蛛が!!


ここで僕は長袖に軍手、そして長い朽竹という廃道探索のいつものスタイルに化けました。

これが蜘蛛、蜘蛛の巣、はち、あぶ、棘、蚊など廃道で僕に迫りくるもういを振り払う最強スタイルなのです。

しかしわすか5mの距離でこれを強いられるとは思わなかった!

また写真がでかく・・・、どうなってんだ??

ここにはロープが設置されていました。おそらく隧道用というよりは、上にあった電柱の保線用でしょう。ありがたく使わせていただきます。

そして凄く見にくいですが、ついに・・・ついに発見!!

旧越前岬隧道(えちぜんみさきずいどう)

奥は盛り土によって完全に閉塞していました。

奥行きは10mもないかな。

反対側はどうなっているのかなぁ。

資料によっては反対側も健在らしいんですが、発見には至りませんでした。

とりあえず見つかってよかった!!

これで先に進めます。


ここは後日、再訪しました

大きな画像でどうぞ!

しばらく進むとこのように現道に合流してくる道が現れます。

実はこれも旧道を利用した道路でして、現在は越前水仙ランドのアクセス路となっています。


しかしそれにより血ヶ平隧道から次の隧道までの道が完全に失われているということが判明しました。

残念です・・・。

そしてこれがその隧道。

左右一号隧道(そういちごうずいどう)

左右と書いて「そう」と読みます。

なかなか面白い難読地名ですね。


そして再び合流してくる道の姿が見えてきます。

しかもそこにはいきなり隧道の姿が!

左右二号隧道(そうにごうずいどう)

黒崎隧道以来の巻きたてられた隧道です。

これだけで立派と感じちゃうといよいよ感覚がおかしくなってきてますよ。

でもやっぱり中は素掘り・・・。

逆に考えると他よりも岩質が脆かったのかもしれませんね。

坑口は隧道の最大のウィークポイントですし。

そして隧道を抜けるとそこから先に道はありませんでした。

工事現場のような感じですが、落石でもあったのでしょうか?

完全に封鎖されています。

しかし隧道はと折れてその先は通行止めって言うパターンは珍しいですね。

お手軽に廃道の雰囲気が楽しめて良いかもしれません。

濃いのがお好きな方は越前岬隧道にどうぞ!


さていよいよ後半のハイライトにして最長の旧道の登場です。

ここが越前海岸旧道の中で、玉川トンネル旧道区間と双角をなす有名どころ。

呼鳥門(こちょうもん)


越前海岸で、東尋坊、越前岬と並んで有名景勝地のこの場所。

実はこの岩の空洞の中をかつて国道が走っていたことを皆さんは覚えているでしょうか?

30代前後より上の方はご存知の方も多いでしょうが、20代前半より下の方はにわかには信じられないかもしれません。

現在は呼鳥門手前が公園となっていて、暗にこの先は入っちゃいけませんよという雰囲気を出しています。

しかし僕はこの先にある最後の隧道に用があるのです!


玉川トンネル旧道区間もそうですが、

ここから先は完全に自己責任において行っています。
この先で何かあろうと、誰も責任を負いません。

現在空洞部分には、ご覧のようにネットが巻かれています。

しかしその下には明らかにネットを突き破ったのであろう、バスケットボール代の石がごろごろしています。


そしてふと見上げれば、そこにはネットに止まったままになった岩もちらほら・・・。

え?写真??

僕も死にたくないんですよ!!

反対から見上げる呼鳥門。

今となってはレアな光景です。

そして見えてきました。

前中後編と三回にわたって紹介してきた越前海岸隧道群の中の最後の一つ。

鳥糞隧道(とりくそずいどう)

汚い?

いやだってほんとにそんな名前なんですもの。


この断崖絶壁自体が鳥糞岩という名前がついていまして、その由来が岩が白っぽく鳥の糞がかかったように見えるからこの名前がついたとのことです。

あくまでかかったように見えるという所がポイント。


まぁ滋賀県には金糞岳(かねくそだけ)という小学生が聞いたら大喜びしそうな山もあることですし、意外と「くそ」って名前の地名はいろんなところにあるんですよ。

中はやはり素掘りでした。

この中を観光バスが行き来していた過去は、せいぜい15年前程度。それほど遠いものではありません。

しかし今は潮騒の音が響くのみ。

少しさびしい気がします。


ここも再訪しました。

こちらをご覧ください!


南越前町と越前町の海岸線を辿る長い旅もここでようやくゴールとなります。

3回に分けて報告したこの越前海岸隧道群のレポ、南から順に思い起こせば、

糠一号隧道-糠二号隧道-米ノ隧道-旧高佐隧道-黒崎隧道-梅浦隧道-玉川二号隧道-旧越前岬隧道-血ヶ平隧道-左右一号隧道-左右二号隧道-鳥糞隧道

合計12の隧道を巡ったことになります。


現役のものから探さなければ決して見つからないものまで、その姿は様々でしたが、この隧道たちは明治から平成まで、永らくこの危険極まりない越前海岸という自然と闘ってきた隧道たちです。

そんな中での奇跡ともいえるのが、旧越前岬隧道の人工的な閉塞以外、洞内は平穏を保っているということ。


時代から置き去りにされたかつての脇役たち。

そんな彼らにスポットライトを当てることが出来て、僕は少し幸せな気持ちになりました。

マニアック?知ってますとも。


以上、旧国道305号 越前海岸隧道群編