顔面打撲~目の出血・腫れ痛みの治療
患者は息子。
野球の練習中にフライを取ろうとした際、太陽が視界に入り、一瞬ボールを見失い顔面、左目に直撃。
痛みでその場に倒れ込む。
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監督さんから連絡をいただた妻が、息子と病院へ。
診察の結果、目からの出血が酷く、再検査の結果次第では手術も考えておいてくださいとのこと…。
臨床を終え帰宅後、一時始終を聞き、早速治療。
医者からは、動くと出血するから安静にすること、運動はもちろん自転車もダメらしい。
☑望診
目および左顔面が赤く腫れ上がっている。
ビビらかされているのでリクライニングの座椅子に座ったまま微動だにしない。
こんな感じ↓
☑経絡腹診 肺脾虚、心肝実、腎平。
☑脉状診 浮、数、実。
☑比較脉診 肺脾虚、心肝実、腎平。
ん?
てことは脉証腹証より、肺虚証になる???
医者が言うようにもし本当に手術をしなければならないような目の状態だとしたら、目の実質が損傷していたり、眼底の出血などが考えられるが、だとしたら腎虚になっているはずである。
肺虚ということは、病の所在は結膜である。
結膜は白精/気輪で肺の主る所である。
結膜に出血が広がっているだけだとしたら、手術は要らない。
その事を本人と妻に伝えると、妻は「あーよかった安心した」と、ところが肝心の息子は「ハア?親父何言うてんの?」こっちがハアである💢
あれだけ今まで君の体を治してきたのに、変に知識がつくと(まあビビらかされているのもあるが💧)、これである。
先ずを心神を鼓舞する必要があるので、奇経を取ることに。
宮脇奇経腹診®より、任脉と手陽明脉が出ている。
患側の左列缺-左照海と左合谷-左陥谷にテスターを貼付。
お中の反応が取れたので、「目の痛みどや?」と聞くと、「うぉッマシかも😲」
やれやれ、何回見せてきてんねん!(心の中で突っ込む💪)
ということで、この奇経で痛みが和らぐということは、ややこしい箇所からの出血ではないという根拠がより磐石となった。
やはり、ややこしいものは、瞳は照海-列缺、瞳孔線上は陥谷-合谷が入るからだ。
☑証決定 肺虚証。
☑適応側の判定 患側が左目なので、本来は健側の右を適応側とするが、首から上は同側の経絡が影響するため、敢えて左を適応側とした。
☑本治法 銀1寸3分一番鍼で、左尺沢、左陰陵泉を補う。
コバルト1寸3分一番で、胃経に浮いた邪気実を切経して最も邪が客している左内庭から瀉法。
☑補助療法
✅宮脇奇経治療 左列缺-左照海+左合谷-左陥谷に主穴に5壮、従穴に3壮知熱灸して金銀粒貼付。
☑標治法
✅左下風池にパイオネックスゼロを貼付。
☑止め&セーブ鍼
✅中脘、非適応側天枢、適応側天枢、下腹部正中最陥凹部に補鍼。
✅華佗百会に補鍼。
☑セルフケア 奇経にドライヤー灸を指示。
☑経過 2回治療したが、2回とも直後に鼻血が出た。
それでみるみる内に治ってしまった。
負傷箇所の血溜まり、つまり瘀血が出きったのだろう。
病院でも、出血が治まっているので手術は必要ないでしょう。
1週間後に再出血することがあるから、念のため、もう1週間だけ運動は控えるようにとのこと。
で、1週間経って無事に運動の許可が下りる。
☑反省と考察 証とは治療法であるとともに、病因病理です。
証決定を経ていけば、まずまず病の所在が分かるようになっています。
奇経も同様です。
何はともあれ、治ってよかったです。
次はフライに対する恐怖心ですね。
どうかなぁ、あるかぁ…。
あれば、振り払えるまで応援します!