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繊維について第4回「再生繊維」

2019.08.06 06:30

こんにちは、株式会社フォーリン HP担当の野村です。

今回は化学繊維の中の「再生繊維」について書いていきたいと思います。

前回の記事は、ページ最下部にリンクが貼ってありますのでそちらからご覧いただけると幸いです。


第2回、第3回と天然繊維の話をしてきましたが、今回からは化学繊維について書いていこうと思います。ではまず、化学繊維の歴史について少し見てみましょう。


今では当たり前に普及しており、安く手に入るため身の回りのどこかにあるものです。

しかし、この化学繊維はわずか100年程度の歴史しかない新しい繊維なのです。



化学繊維の歴史は、日本化学繊維協会の「化学せんい冊子」によると

1889年に硝化法人造せんいの製造に成功

1892年にビスコース法による「レーヨン」が発明

1935年にナイロン66が発明

1939年にビニロンが発明

1940年にポリウレタンが発明

1941年にアクリルが発明、ポリエステルの製造成功

という歴史をたどっています。


はじめて化学繊維の製造に成功した1889年の日本では大日本帝国憲法が発布されています。

そして今ありふれているポリエステルの製造成功が成功した1941年は日本が英米に宣戦布告し太平洋戦争が始まった年です。

今、身の回りにありふれているポリエステル繊維はまだ100年どころか80年も発明から経っていないのです。


さて、化学繊維の歴史はこれぐらいにして、今回のテーマである「再生繊維」について書いていきたいと思います。


「再生繊維」とは天然の素材を溶かして繊維として再生したものです。

最近では、ペットボトルを溶かして繊維化したものも再生繊維と呼ばれる場合があります。


また「わかりやすい アパレル素材の知識」によると

日本では「化学繊維」というと、この「再生繊維」のことを指し、その後に出た「合成繊維」と区別されることもあるそうです。


再生繊維は「セルロース系」とその他に分けられます。

セルロース系の再生繊維は「レーヨン」「ポリノジック」「キュプラ」「リヨセル」

その他は、天然ゴムやアルギン酸繊維、蛋白質系の繊維などがあります。


それでは順番に繊維の特徴を見ていきましょう。


まず初めに「レーヨン」です。

先ほど出したようにレーヨンは化学繊維の中でも最初期に作られたものです。

日本では1918年に製造が始まったようで、戦前、戦時中の衣料素材として使われていました。

木材パルプからできていて、ビスコースという液体に溶かしたのちにノズルから押し出し、繊維化しています。レーヨンという名前の由来は「Ray(光る)」糸(Yarn)もしくは綿(cotton)といわれています。

レーヨンの長繊維(フィラメント)は人絹と呼ばれ、絹のような光沢とドレープ性を持っています。

短繊維(ステープル)はスフと呼ばれこれはステープル・ファイバーの略であります。このスフという呼ばれかたからも、一番最初に普及した化学繊維であるという事が読み取れるかと思います。

レーヨンの特徴としては

吸湿性に優れている

ドレープ性に優れる

湿潤時に強力が大幅に低下する

などが挙げられます。


次は「ポリノジック」についてです。

レーヨンを綿に近づけた繊維で、強力スフと呼ばれます。

レーヨンより強力が強く湿潤時の強度低下もレーヨンより少なくなっています。

レーヨンより腰や張りがあり、そういった面でも綿に近いと言えます。

レーヨンと綿の中間的な繊維です。


次に「キュプラ」についてです。

キュプラはコットンリンターと呼ばれる、綿の種子の周りに残っている短繊維を銅アンモニア溶液に溶解し、湿式紡績によって作られた繊維です。

キュプラというよりも旭化成の商標である「ベンベルグ」の方が知名度はあるのではないでしょうか。

特徴としては

吸放湿性にすぐれている

染色性が高い

レーヨンより強度、耐摩耗性、耐久性などに優れる

などが挙げられます。

優れた吸放湿性を持っているため、スーツの裏地等に使われることが多いです。


最後に「リヨセル」についてです。

原材料はレーヨンと同じ木材パルプで、それをアミンオキサイド系の溶剤で溶かして紡糸することで生産しています。

その特徴として

柔らかな風合いや光沢

ドレープ性がある。

吸湿性に優れる。

湿潤時での強度低下も少ない

ということが挙げられます。

イギリスのテンセル社の「テンセル」はこのリヨセル繊維の商標です。


その他の繊維についても多少触れておくと

天然ゴムはその名の通り、ゴムの木から採れる樹液を原料とした繊維です。

アルギン酸繊維は昆布などの海藻を原料とした繊維です。

蛋白質系は牛乳やトウモロコシなどを原料とした繊維です。


これらの再生繊維は微生物によって分解されるため、その他の合成繊維に比べて環境にやさしいサステイナブル素材として近年注目されることが多い繊維です。


今回のおさらい

化学繊維の歴史は100年程度と短い。

再生繊維とは天然の原料を溶かして、繊維に再生したもの。

レーヨンは最初期に生み出された化学繊維で、原料に木材パルプを使用している。絹を目標として開発されていて、ドレープ性や染色性に優れている。一方濡れると強度が低下するという弱点を持っている。

ポリノジックはレーヨンを綿に近づけた繊維で、レーヨンに比べて濡れた時の強度低下が抑えられている。コシやハリがレーヨンよりあるためその点でも綿に近い。

キュプラは綿の種子近くにあるコットンリンターと呼ばれる部分を原料とする繊維で、旭化成がベンベルグという商標で販売しており、スーツの裏地等に使われている。

リヨセルはレーヨンと同じ木材パルプを原料とする繊維で、柔らかく光沢があり、ドレープ性がある。また、湿潤時の強度もほぼ低下しない。


次回は「半合成繊維」について書きたいと思っております。

ここまで読んでいただきありがとうございます。


参考資料

 愛知県繊維振興協会(2016) 『TEXTILE HANDBOOK』

 一見輝彦 (2014) 『わかりやすい アパレル素材の知識 改訂版』 星雲社

 日本化学繊維協会 「化学せんい冊子」     https://www.jcfa.gr.jp/about_kasen/knowledge/ebook/index.html

 等


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