ドライテストの鉄則とその流れ|小ロット化粧品OEMでの成功手順
この記事では、OEM化粧品のビジネスを考えている方に向けて、成功する為の戦略とその具体的な手法について紹介していきたいと思います。特に今回は是非参考にしていただければ幸いです。
■化粧品通販スタート時のドライテスト&小ロットスタートの重要性
どんなビジネスにおいてもスタート時のリスクは付き物ですが、OEM化粧品で通販ビジネスをする場合には「在庫」と「運営資金の確保」いう大きなリスクが発生します。
商品を作る段階では売れるかどうかがまだわからない状況であるにもかかわらず、製造にはある程度のロットが必要となり、製造費用も翌月には支払いを行わなければなりません。そして売れなければ大量の在庫を抱えてしまうという大きなリスクを背負うことは不安材料です。
そこで、スタート時のリスク回避策として、ドライテストと小ロットスタートが重要になってきます。
売れるかどうかわからない状態で商品を作って販売スタートするのではなく、事前にドライテストを行い、売れる見込みがあると確認できた上で販売をスタートするのではリスクの大きさが全く変わってきます。
また、ドライテストで売れる見込みがあった場合、商品を小ロットで製造できれば、更なるリスクヘッジとなります。
■ドライテストとは
ドライテストとは、商品の完成前(企画段階)に予約販売というかたちで商品を販売することです。
注文が多数あり売れる見込みがあれば実際に作る、もし注文がなく売れる見込みがないのであれば作らないという戦略になります。
商品を作る前に“その商品は本当に売れるのか?”を確認する、主に通販ビジネスにおいて事前のリスクヘッジ策として用いられる手法であり、集客方法や販売戦略に重きを置く方法です。
ドライテストの本質
ドライテストの本質は、「これから作ろうとしている商品と市場が求めている商品とのチューニング」です。
多くの場合、“自分が良いと思って作った商品であれば、必ず他の人も良いと思ってくれるはず”という思い込みが先行してしまいます。
ドライテストには、販売側の「売れる商品かどうかを確認する」という意味合いももちろんありますが、ドライテストを行うことで市場のリアルな声、客観的な評価を集め、今求めてられている商品とそれに答えられるのはどんな商品なのか、自社商品の現時点での評価と改善点を洗い出して市場のニーズに合わせていくといった、プロダクトアウトではなくマーケットインの考えを体現することです。
化粧品通販を立ち上げる際のドライテストの実施メリット・デメリット
メリット
1、販売リスクが軽減できる
ドライテストは売れる見込みがある場合に限って製造・販売をするため、“作ってはみたものの売れなかった”場合におこる、初期費用や不良在庫のリスクを回避することができます。
2、売れる商品にするための改善ができる
もしドライテストで売れる見込みが立たなかった場合、必ず何かしらの原因が存在します。販売する前にその原因を突き詰め改善することができるため、より売れる可能性が高い商品にブラッシュアップしていくことができます。
3、購入層を把握できる
いざ販売してみたら想定していたターゲット層と実際の購入層が違ったという場合もありえます。
販売前に実際に購入してくれる層がわかれば、本当にターゲットにするべき層はどこなのか、また想定したターゲット層が購入していない理由は何なのかを分析することができ、ターゲットの変更や訴求方法などの修正もしやすくなります。
デメリット
1、販売の見通しが立たなかった場合、予約購入者への対応が必要となる
売れる見込みがなく販売の見通しが立たない場合は、予約購入者への詫び状や何かしらのプレゼントなどを送るといった対応が必要となります。その際はきちんと経緯を説明し、誠意をもって対応していきましょう。
2、実際に販売する場合を想定して計画的に準備を進める必要がある
ドライテストの結果から実際に販売の見通しが立った場合、急いで商品を製造するにしても最低1ヶ月はかかります。
できるだけ予約購入者を待たせないように製造期間を含めたリードタイムを見越して計画的に進めることが大切です。
3、繰り返しのテストはコストと時間がかかる
ドライテストは実際に販売するまでの間に商品を改善し精度を高められるメリットがある反面、テストを何度も繰り返すと、その分のコストと時間はかかります。
やみくもにテストをするのではなく、できるだけ1回1回のテストで最大の成果が挙げられるような進め方をしていきましょう。
ドライテストとテストマーケティングの違い
ドライテストは、まだ商品がない段階で予約販売を行い、売れる見込みがあると判断した場合にのみ商品の製造を行います。
一方、テストマーケティングは、既に商品の在庫がある状態でまずは限られた人数に向けて販売し、売れ行きがよかったら販売する範囲を拡大していく手法になります。
よりリスクを抑えられるという観点で言えば、ドライテスト>テストマーケティングとなります。
■ドライテストの流れ
1、ターゲットを明確にする
まずは、これから作ろうとしている商品はどんなターゲット層に向けたものなのかを明確にすることが大切です。
そのターゲット層が本当に正しいのか、実際にドライテストをすることによって確認していきます。
2、段階ごとの成功の定義(目標値)を決める。まずは3カ月、半年、1年の3つの段階
期間ごとに成功と言える目標数値(例えば販売数など)を設定します。
この期間が短すぎては本当の情報となりえない可能性が出てきます。ドライテストで十分な情報と評価を集めるためにも商材の特徴により、3ヶ月、半年、1年などで区切って目標値を決めていきましょう。
そして設定した期間ごとの目標値に達していない場合は、どこに原因があるのかを探り、改善策を練っていきます。
長いスパンの中で1度きりではなく複数回繰り返すことで、ターゲティング・生産計画の立案・販売戦略・広告戦略などの精度が高まり、成功率の高い商品にしていくことができます。
3、集客方法を検討する
ネット通販の場合、ただサイトを開設しただけでは新規顧客を集客することはできません。
サイトの存在を知ってもらい、訪問してもらって初めて見込み客となります。
その為には、広告を打ってアピールしていくことも事業フェーズによっては必要になってきますが、その際よく活用されるのがリスティング広告 (GoogleやYahoo!など検索エンジンで検索したユーザーを対象に表示される広告)です。
リスティング広告は、商品のターゲット層や購入してくれそうな見込み客が検索しそうなキーワードを選定して、そのキーワードに対してのみ広告を出すことができるため、ターゲット層に対してピンポイントでアピールすることが可能です。
まずは、商品を購入しそうな見込み客が入力しそうな検索ワードを推測し、リストアップをしたら、無料ツール(Googleキーワードプランナーなど)を使って検索ボリュームや競合情報などを参考にしながら選定していくと良いでしょう。
SNSでの広告を打つ際も同様の流れでいくのがよいでしょう。
4、ECサイトを立ち上げる
販売準備が整ったら、ショップサイトを作ります。まずは低予算で比較的簡単なサイトを作り、ドライテストの結果を見ながら随時サイトの構成や内容を改善していくのが良いでしょう。
通常、サイト構築を外注するとかなり安くても20万円~50万円はかかってきます。
「ブランドをしっかり創ろう!」という意気込みのもと進めていく場合は、制作会社へ依頼した方が良いでしょうし、様子を見ながら、あくまで小さくスタートという場合には、自分で作ってしまいましょう。
今は簡単なサイトならば、これまでそういった経験が皆無な方でも直観的に作れてしまうサービスが多く出ていますので、安心です。
5、広告を打つ
サイトが出来上がったら、選定した検索キーワードでリスティング広告を打っていきます。
まずは予算10万円以下を目安にするのが良いでしょう。その後は、この広告でどれくらい販売に繋がっているのかを検証していきます。
リスティング広告を運用代行している企業も多くありますが、運用委託し、結果を出していこうと考えている場合の予算は100万円/月程度と考えておくとよいでしょう。
また、いきなり広告を打つのではなく、SEO対策を施したコンテンツを自社で制作し、地道に成果を上げていくという方法もあります。
成功確率でいくと、どちらの方法も変わりませんが、展開スピードが大きく異なりますので、時間をお金で買うかどうかの判断が必要です。
6、結果を分析する
広告の成果を判断する重要な基準として、「コンバージョン率(CVR)」と「コンバージョン単価(CPA)」があります。
コンバージョンとは広告の成果地点のことで、ドライテストの場合であれば“実際に商品が予約購入されること”になります。
CVRは広告のクリックがコンバージョンに繋がっている割合(広告を何回クリックされて、その内何件が販売に繋がったか)、CPAは1コンバージョンあたりのコスト(コンバージョンを1件獲得する為にいくらかかっているか)を表してします。
CVRが高ければ高いほど、CPAが低ければ低いほど、費用対効果の高い広告になっているといえます。
例)月間10万円の広告費をかけてリスティングを運用
・商品販売価格3,000円、粗利1,000円
・クリック数1000回、コンバージョン100件だった場合
※コンバージョン率(CVR)=「10%」
※コンバージョン単価(CPA)=「1,000円」
重要なのは、CVRを高め、CPAをできるだけ抑えて、効率よく販売に繋げていけるようにすることです。
例えば、上記例のCPAは1,000円の利益を得るために1,000円の広告費がかかっていることになり、利益は0の状況です。
クリック率やコンバージョン率、1本あたりの商品粗利、成約率などから、自社で成功と考えるCVRとCPAの目標数値を設定し、それに向けて広告の運用方法やサイト内容を改善していきましょう。
7、サイトを改善する
もし構築したECサイトのCVR、CPAが設定した目標に届いていない場合は、ターゲット層にうまく訴求ができておらず、販売に繋がっていないと判断できます。
購入に至らない原因は広告なのか、サイトなのか、それ以外にもあるのかなど様々な視点から考え、そこを改善していくことで売れるサイトを目指していきます。
■小ロットスタートにこだわりを持つ
第一に重要なことは独自の成功パターンをつくり上げること
ビジネスにおいて、確実な成功パターンは存在しません。販売する商品が変われば、広告もサイトも訴求内容も変化します。
トライアンドエラーを繰り返しながら改善していくことで、独自の成功パターンを作り上げることが重要です。
化粧品通販スタート時に必要なのは、商品への主観的なこだわりではなく、お客様への伝え方
自社商品には必ず開発者としての想いや商品への思い入れもあります。ですが、その思いも一方的な押し付けになってしまってはお客様には響かなくなってしまいます。
販売側の主観的なこだわりをアピールするのではなく、どのような伝え方であればお客様は興味をもってくれるのか、購入意欲が湧くのか、お客様目線での訴求を一番に考えていきましょう。
徹底的に小ロットスタートにこだわり、リスク回避を行うこと
ドライテストで売れる見込みが立った場合、商品の製造は小ロットで行うことが重要です。
ドライテストを活用することで売れる確率が高い状態でスタートできることにはなりますが、あくまでも予測であり確実に売れることが確定しているわけではありません。
リスクを抑えられるだけ抑えてスタートするために、まずは小ロットでスタートすることが最善策です。
■まとめ
OEM化粧品の通販は大きな魅力を持ったビジネスですが、同時に競争も激しい市場でもあります。
ビジネスを成功させる為に、ここでご紹介したドライテストや小ロットスタートの重要性を再確認いただけましたでしょうか。
OEM製造会社を軽く見回ると、小ロットの限界は100本程度であることが分かります。
しかしながら、「業界常識だからしょうがない」と諦めてしまったら、それまでです。
皆さんが展開しようとしている化粧品事業の一番のボトルネックは製造費用以外の何物でもありません。
人件費でもなければ、運送費でもありません。シンプルに原材料費(製造ロット)です。
そのために、事業全般のオペレーション効率を高め、素晴らしい成功モデルを作ってみてください。
■化粧品OEMを最小ロットでスタートできる手法とは
超最小ロットで作る場合は、セミオーダー式から始める
現在、商品を一から作るフルオーダー式のOEMに比べ、受託会社が用意する数種類の中身、容器、ラベルデザインの中から好みの仕様をチョイスすることで自由にカスタマイズするセミオーダー式のOEMや、中身と容器が決まっている完成品にオリジナルラベルだけオリジナルにして展開するといったクイックオーダー式のOEMが増えてきています。
このOEM手法のメリットは、何と言っても極小ロットでの製造が可能(受託会社によっては数本単位から作れる)なことと、商品製造の依頼から納品まで数週間という短期納期の為、ドライテストとの相性が抜群に良いことです。
既成のものだと「クオリティがイマイチなんではないか?」と思わずにはいられませんが、おそらく数年間、市場を切磋琢磨して作られた処方は業界トップレベルに仕上げられています。
企業によりクオリティの差はかなり大きいのでそこは要注意ですが、ご担当者様が業界未経験であれば、自身で処方を検討していくよりも、まずはこのセミオーダーやクイックオーダーを活用した方が成功への近道となります。