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簡易裁判所の即決和解(備忘録)

2019.07.29 04:03

東京簡易裁判所における即決和解手続を解説します。

1 担当部署 東京簡易裁判所(東京家裁庁舎内)民事第8室和解係

2 即決和解手続案内(下記ウェブを参照)

3 留意点

 (1) 申立ててから、期日設定の候補日の連絡が来るまでにおよそ1か月くらいかかる。

   そのため、当事者間で和解の合意ができても、それを即決和解という形で裁判所に持
  ち込んで和解調書を得るまでに、2か月くらいかかると考えておいた方がよい。
 (2) 必要書類

   上記ウェブに書式とともに案内があるが、申立書のほか、合意内容によって、不動産
  関係なら登記事項証明ほか、滞納賃料なら催告書、計算書等、申立人が法人の場合の資
  格証明、個人の場合の住民票(契約書や登記簿上の住所と異なる場合)(いずれも3か
  月以内のもの)が必要です。

 (3) 費用

   1件につき、収入印紙2,000円

   送付手数料、郵便切手635円(相手方1名につき);500円切手1枚、50円切手1

  枚、20円切手4枚、5円切手1枚

 (4) 和解条項の審査(修正等)

   こちらで相手方と合意した和解内容を申立書に添付して「和解条項案」として裁判所

  に提出するのですが、この条項について、担当書記官、その後担当裁判官による修正等
  の指摘が来ます。

   印象としては、債務名義としての執行力を付けるために必要な指摘、修正には、申立

  人としても当然に従うのが妥当ですが、それ以外の文言その他形式的な修正に大分時間
  を割かれる感じがします。書記官の指摘による修正後に改めて裁判官による再修正依頼
  が来ることも珍しくありません。

   いずれにしても、本質的ではないところの修正はこちらとしては迅速性(裁判所は正
  確性重視に対して)の観点からさっさと従って修正に応じるのが効率的です。

 (5) その他の書面関係

   当事者目録、不動産が絡む場合の物件目録は、これらがそのまま和解調書の添付書類
  として利用される関係で、厳密な記載が要求されます。

   当事者目録でいえば、氏名に変更があればそれを証する戸籍謄本、住所に変更があれ

  ば住民票などを添付する必要があります。

   和解条項についても、前記のように当事者間で合意が成立してから即決和解手続期日

  までにある程度の日にち間隔がある関係で、例えば、月々の分割支払の約束をした場合
  に、期日までに約束した支払期日が到来し、債務者である相手方が分割金の支払があっ
  たような場合には、これを和解条項に反映させておく必要があります。分割支払条項の
  ところに、「ただし、〇月分の支払分は既に支払済みであることを確認する。」といっ
  た具合に修正しておくことになります。

4 期日当日の手続について

  申立人(当職のように代理人弁護士が付いていれば本人の出頭は不要)及び相手方の都

 合の付く日にちで、裁判所への出頭期日が調整されます。

  即決和解手続の場合、申立人代理人弁護士が相手方(代理人弁護士が付いていない場合
 を想定)に手続の説明、裁判所の案内などの面倒をみるのが通常です。

  東京家裁庁舎の1階で待ち合せをして、6階にある民事第8室まで案内します。

  受付では、相手方については、本人確認のため、免許証などの身分証の提示を求められ
 ますので、事前に申立代理人の方から指示しておく必要があります。

  一緒に案内するとはいえ、相対する当事者の代理人と相手方本人なので、気の置けない
 関係にはないので、当日、裁判所の6階で、和解室に案内されるまで一緒に待つこと、和
 解室でも後記のように10分ほど待たされる間、気まずいというか、特に話すことがない
 ので、手持無沙汰な状態となります。

  和解室では、担当裁判官が双方同席のもと和解条項を読み上げてこの内容で合意するこ

 とでよいかどうかを確認します。

  その後、裁判官と担当書記官は退出し、書記官室で、和解調書の正本を書記官が作成す
 るため10分ほど和解室内で待たされます。

  その後、和解調書正本を書記官が申立人分と相手方分を作成して戻って来て、双方が受

 取りの署名捺印を求められ、この受取書と引き換えに正本が渡されて、手続終了となりま
 す。

 以上が東京簡易裁判所の即決和解手続の概要です。       文責 弁護士福島政幸