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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

春の嵐5-ミラノの梟雄裏切りに敗北す

2019.07.29 11:07

フランス王ルイ12世は、前王シャルル8世ができなかったイタリアを狙った。そのための駒が教皇の息子チェーザレだった。王はチェーザレに領地と共に嫁も世話してやった。1499年2月ヴェネツィアと講和を行い、狙うはミラノ。実は王の祖母は元ミラノの領主ヴィスコンティ家だったのだ。

ミラノの現僭主ルドヴィコは、今度は自分が包囲されているのを感じていた。新仏王はかなり緻密な人間だった。しかも公妃が亡くなってから民衆への人気も落ちていた。彼は壮大な遺書まで書いてしまった。7月18日、フランス軍はついにミラノに向けて進発した。

今回のフランスはミラノの領民に歓迎された。ルドヴィコは、ミラノを脱出して、今や唯一の味方神聖ローマのマクシミリアン1世を頼った。ミラノに入ったフランス軍は、やはりというか略奪、暴行を行い、ミラニスタの気持ちを逆なでしていった。そして翌1500年3月、ルドヴィコはまたミラノに帰還した。

ルドヴィコは4月、ノヴァーラで仏軍との決戦に臨むが、なんと雇っていたスイス傭兵に裏切られて、勝手に講和されてしまった。ルドヴィコは、スイス傭兵の服装をして脱出しようとするが、またしてもスイス傭兵に密告され、ついにフランスに逮捕された。彼はそのまま獄中で死を迎える。裏切りを重ねた一介の梟雄に似つかわしい最期だった。

下はノヴァーラの裏切り(部分)