「宇田川源流」 少し気が早いがマスコミの流れに乗って「ポスト安倍」を考えてみるがもちろん個人的な憶測などを排除しないで書いてみましょう
「宇田川源流」 少し気が早いがマスコミの流れに乗って「ポスト安倍」を考えてみるがもちろん個人的な憶測などを排除しないで書いてみましょう
「ポスト安倍」という言葉がある。基本的に、日本の場合小泉内閣の後、ずっと短命内閣が多かったので「後継者」ということがあまり考えられることがなかった。
短命内閣になるということは、二つの要素が必要である。一つの要素は、「首相が善政を行って支持率が下がらないこと」ということである。つまり、「変える必要がない」ということになる。善政を行い、国民から慕われている為政者を変えるということは、それまでの善政がなくなるということを意味しているのであり、また次の為政者が素晴らしいとは限ったものではない。そのために「今よりも悪くなるならば無理に変える必要はない」というような感覚になる。もちろん中には、その時の政権を積極的に支持する層と、他に無いということで消極的に支持している層の二つになる。その二つの層の合計が50%を超えていれば、安定政権になるのである。
もう一つは、「次の為政者がいない」という状況である。単純に考えて、「政治が変わってより悪くなる場合は、その選択は行わない」ということである。基本的に次の為政者がいる場合は、政権は安定せず、次の為政者候補が「ポスト」として、存在し、その待望論が出てくることになる。しかし、そのポストが出てこない場合は、次にどうするかという話が出なくなってしまうのである。もちろんその場合は「悪くならない」問ういことの保証である。そのように考えられるだけの余裕のある政治を行っているということでもある。
単純に「現在のまま良くなる」という継続と「悪くならない」ということ。「積極的な支持」と「後継者がいないことによる消極的な支持」という二つの話になる。その二つが組み合わさった時に、長期政権が成立することになるのである。
現在の安倍政権はまさにその二つの組み合わせであるといえる。もちろん不満のある人も少なくないのであるが、その人も「他に人がいない」ということが現実的な問題として存在することになる。
参院選、岸田派一人負け=菅氏存在感、「ポスト安倍」影響も―自民
自民党は今回の参院選で現職10人(選挙区8、比例代表2)が落選した。党内の派閥ごとに見ると、岸田派が4人と突出して多い「一人負け」状態。菅義偉官房長官が存在感を示したこともあり、安倍晋三首相の後継レースにも影響しそうだ。
岸田派の現職は9選挙区に1人ずつ出馬。このうち改選数1の秋田、山形、滋賀で落選。岸田氏のお膝元広島(改選数2)で同派最高顧問の溝手顕正氏が議席を失い、衝撃が走った。岸田氏は投開票日の21日夜の民放番組で「定数2で2人の自民候補を通すのは難しい」と言葉少なに語った。
現職で他の落選者は細田、麻生、二階、石原各派の1人ずつと無派閥の2人。最大の細田派は20人が立候補した中では健闘とも言える数字だ。
岸田派は新人1~2人の入会を期待するが、一連の結果を受けて党内から、岸田氏に対し「選挙の顔になるのか」(関係者)と疑問視する声が上がった。ある岸田派中堅は「首相を目指すどころじゃなくなる」と危機感を隠さない。
一方、新元号発表で「令和おじさん」として知名度が急上昇した菅氏は、溝手氏から議席を奪った形の新人河井案里氏を全面支援。当初の劣勢予測を覆した。河井氏の夫は菅氏を囲む無派閥議員グループの中心メンバー。公明党が最重視した兵庫(改選数3)で同党新人を2位に押し込み、失速気味の岸田氏と対照的な結果となった。
時事通信2019年07月24日19時48分
https://topics.smt.docomo.ne.jp/article/jiji/politics/jiji-190724X254
現在の安倍内閣が、そのような感じで「ポスト安倍」を求めている。
実際に安倍内閣が発足してすでに7年が経過しており、すでに3選目に突入している。その内容から考えれば、そろそろ長期政権も終わりが見えてくることになる。安倍内閣の場合、支持しているとされている私が言うのもおかしいかもしれないが、それほどの実績を残していない。ある意味で「破壊の限りを尽くした民主党内閣の復興を専門に行った」だけにすぎず、それ以上の新しいことをしてはいないというような解釈になるのである、しかし、一度マイナスの方に流れ始めた流れをせき止め、そして流れをもとに戻すのはかなり大きな力が必要であり、その意味において、流れを戻すだけの力があった政権であったと思う、返す返す、国民の愚かな判断に酔って民主党政権などがなければ、日本はどれほど発展していたかわからない。
日本人は「マンネリ」ということを嫌う。しかし、インド人などは創造神ブラフマー、破壊神シヴァに比べ継続することを司る神ヴィシュヌが最も最高位とされているように、壊すことや作ることよりも、基本的には継続することが最も重要なのであるが、そのことを日本人は嫌うのである。それは常に少しずつ発展してきた日本にとって、衰退するという歴史を経験したことがないために、同じことが継続することは「停滞」であって「維持」とは厂金愛習慣があるためである。
そのために安倍内閣に関しても「そろそろいいんじゃないか」というような感覚を持っている人が少なくない。しかし、そのような感覚に対して、「では代わりに誰がいるのか」ということが大きな問題になるのである。
その中で自民党で今言われているのは岸田文雄政調会長と菅義偉官房長官、であるほかに加藤勝信総務会長なども取りざたされることがあるが、少し違うのではないか。一方「女性」ということでは高市早苗元総務大臣や稲田朋美元防衛大臣が挙げられ、また「若手」では、マスコミなどによっていまだに小泉進次郎氏が取りざたされる。しかし、岸田氏と菅氏が最有力であろう。残念ながら石破茂元幹事長や野田聖子元総務大臣は、やはり自民党という政党の中ではあまり支持が広がらない。自民党というのは「アンチ」で票を集められないことを最もよく知っている政党であると思われるからである。
このように考えるが、残念ながら岸田氏は全く人気がない。もちろん、安倍首相にしてみれば「人気がない、自分がいなければなれなかった人を総裁にすることによって、自分の存在感を残す」という「キングメーカー的な発想」が残る部分があると思う。しかし、それにしてもあまりにも力がないというか、全国的な人気が存在しない。一方菅官房長官は、「令和おじさん」で有名になりなおかつ、記者会見などで話をしていることなどから、知名度やマスコミでの顔の認知度は非常に高い。しかし、オリジナルの政策があるかといえば必ずしもうなづけるものではないし、また、彼そのものの変節として、あまりにも派閥などを渡り歩きすぎていて「令和の風見鶏」というような感じになってしまっているのである。過去に風見鶏とあだ名された首相で中曽根康弘がいるが、そこまでのすごみがない状態での、首相はなかなか難しいのではないか。
逆にこれ以外に全く人材的に名前が上がらない。以前は谷垣禎数氏などが挙げられたのであるが残念ながら怪我ですでに議員の職にはない。このように考えると本当に人材がいないということがよくわかる。もちろん、長期政権というのはそのようなものであるが、安倍首相本人に次を育てるという能力が欠けているのかもしれない。
いずれにせよ、岸田氏がポスト安倍レースから、今回の参議院選挙で何歩も後退してしまったという感じが否めない。その状態でポスト安倍を誰にするのかが、自民党の最大の課題なのかもしれない。