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少年期に絶望していた人間こそ、天気の子を見るべきだ

2019.08.02 08:36

みなさん、こんにちは。

『天気の子』見ましたか?

僕は二回見ました。

人生で初めて映画館で二回同じ映画を見ました。

そのくらい心に来るものがあったので、今回は天気の子の話をしたいと思います。

※ネタバレをしないように極力気を付けますが、全く事前情報を入れないで見たい。という方は視聴後にこの記事を見ることをお勧めします。


■天気の子の死ぬほどざっくりなあらすじ

島に住んでる高校生が船に乗って東京に家出したら、東京で住み込みで働かせてくれるオッサンと会って、そこで働いてたら『100%の晴れ女』であるヒロインと出会って、なんか世の中を晴れさせたりする感じのナイスな話。

なのですが、(詳細なあらすじを知りたい人は自分で調べてください)


実はこの映画、タイトルでも述べたように、辛い少年期を送った人にこそ見て欲しい映画なんです。

なんとなくCMのイメージ的に「どうせ青春的な感じでカップルがデートで見に行くんでしょ」と思って嫌厭している、しんどい青春を送ってきたアナタにこそ見てもらいたい。

なぜならこの映画、

『子供時代の生きづらさや最悪さ、あの頃のどうしようも無い絶望感』

を凄く精密に描いていたからです。

正直、前半はそこまで引き込まれる要素は無いです。

家出をした少年と、都合よく住み込みで働かせてくれる大人。そこに現れる二歳年上で母性に溢れて可愛いくて、しかも弟と二人暮らしのヒロイン達。そんな感じのキャラクターとの生活模様が導入部なので、

「童貞の妄想みてぇな映画やん」

「いたわ、クラスに一人くらい。すげー良くできた妄想喋ってくる奴。そいつの考えた話みてぇ」

と思っていました。

僕が凄く引き込まれたのは、中盤。

主人公が住み込んでいる家を追い出されることになり、ヒロインも二人暮らしのアパートを出ざるを得ない状況になり「三人で逃げよう」となります。


その後の東京での行き場の無さを描いた描写が、死ぬほど懐かしい気分になるんです。

忘れていた子供の頃の絶望感と無力感を思い出させてくれるんです。


ここで、少しだけ僕の話をさせてください。(隙あらば自分語りという奴ですね。いちいち「隙あらば自分語りか」と揶揄する人間は総じてカスです)

僕は、幸せでも無ければ不幸でもない、誰もが持っているくらいのありふれた絶望を持って生きている子供でした。


片親で団地で過ごし、ドラマになるほどではないありふれた貧乏と、事件性に発展するほどでもない暴力と、ぼんやりとした劣等感の中で毎日を生き、


非行に走る勇気も無く、運動神経も、学力も、容姿も、お金も、『最底辺』と比べたらマシだけれど、中央値からは大きく下回る所にいる。というありふれた『持って無い子供』でした。


離婚した両親の母親に引き取られ、母親が「もうこの子とは一緒に生活できない。これ以上一緒に過ごしたら殺してしまうかも」と僕との生活を放棄すると、父親に引き取られ、また父親と数年生活をすると「お前を俺は育てたくない」と言われ両親でパス回しをされるように生きてきた僕ですが、その時のはるか昔に忘れていた感情を思い出させてくれるんです。


もうここで生きていたくないと思って、家を飛び出したものの、財布にお金も全く無く、行くところも、頼る人間もおらず、ただ夜通し道を歩いたり。公園のベンチで寝れもしないまま寒さに耐えて朝を待って、朝には満身創痍なのに家を出てから24時間も経っていない、あの気持ちを思い出したんです。


大人になった今、数日家に帰らなくたって、夜中の新宿に放り出されたって、なんの不安も無いし、タクシーもホテルもあってどうにでもなります。

でも、子供の頃は違いました。

一日夜を超えるのが精いっぱいで、自分の無力感で死んでしまいたくて、でも死ぬ勇気も無くて。

そうだ、子供の頃って本当に最悪だったなぁ

って、この映画で思い出したんです。

「子供に戻りたい~」って言う人もいます。

僕は思いません。そう言う人はこの映画の中盤を見ても特に何も思わないんだと思いますが、僕は子供時代の持つ地獄をありありと思い出せて、感情を揺さぶられる凄く良い映画だと思いました。


中盤のラストにかけて、主人公がヒロインに「ずっと一緒に暮らそう」「僕が働くから」と絵空事の様な話をするシーンも凄く良かったです。


僕が少し大人になった大学生の頃、夜中の公園で「このままどっか二人で行っちゃおうか。それで二人でひっそり暮らそうか」って約束で何とか生きていた頃を思い出しました。


正直、この映画の本質はそこではないかもしれません。

でも、僕はこの映画を通して、「この映画から素敵なモノを全部無くした何もない、ありふれた絶望だけがあったのが、僕の人生だったな」って思い出せて、大人であることに安堵できる、そんな部分に凄く惹かれました。


勿論、そこから終盤にかけての展開も凄く面白かったです。

二回目見るときは考察を読んでから見たので、二回目で泣きました。

もし既に一回見た人は「須賀さん 奥さん 考察」とかで検索してから見るのをお勧めします。まぁその考察が正しいかは知りません。


結論として何が言いたいかと言うと、

天気の子は最高で、大人の人生はもっともっと最高だってことに気が付いたよ

って事です。

気になった方は是非劇場に足を運んで、「確かに…」って思うか「アイツの書いてたこと意味不明だったな…」って思って頂ければと思います。

読んでいただき、誠にありがとうございました。