「日本の凋落ぶりには、めまいがする」ジム・ロジャーズ!
現代ビジネス
【転載開始】
世界的投資家ジム・ロジャーズ
「私は日本関連資産を全て手放した」
日本の凋落ぶりには、めまいがする
※抜粋
■三つの危機的状況
もし私がいま10歳の日本人ならば、
自分自身にAK-47(ロシアの自動小銃)
を購入するか、もしくは、この国を去る
ことを選ぶ――。
現在の日本経済の惨状を目の当たり
にして、私はこの意をますます強く
しています。
借金は雪だるま式に増え続け、
高齢化はとどまるところを知らず、
政治も問題を先送りするばかりで、
打つ手を見いだせない。
くわえて、世界に目を向ければ、
米中の貿易戦争が激化し、
日本も重大な影響を被ることが目に
見えています。
あまりの暗澹たる様相に、昨年の
秋には保有していた日本株をすべて
手放しました。
いまは株であれ、通貨であれ、日本
に関連する資産は一切持っていません。
それほどまでに、日本は絶望的な
状況に置かれているのです。
この10年間で中国を始めとした近隣
のアジア諸国がどれだけ力をつけた
かを考えれば、日本の凋落ぶりには、
めまいを覚えるほどです。
このままでは、50年~100年後
には日本という国がなくなっている
かもしれません。
なぜ、日本人はこうした現実を直視
しないのか。
皆さんにも、この危機的状況を理解
していただきたいのです。
まず、直近の話から始めましょう。
今年から来年にかけて、日本の景気
衰退に拍車をかける出来事が、三つ
連続して起こってきます。
10月の消費税の8%から10%への
増税、2020年のオリンピック・
パラリンピックの開催、そしていつ
何時起こってもおかしくない
「第二の世界金融危機」です。
一つ目の消費税に関しては、'14年
に5%から8%に上げたときも
クレイジーな政策だと思いましたが、
10%などもはや正気の沙汰とは思え
ません。
増税して得た予算は、社会保障の
充実に使われるとされていますが、
まさかそれを本気で信じている人は
いないでしょう。
二つ目、いま東京ではオリンピック
・パラリンピックに向けてあらゆる
建設が急ピッチで進められています。
道路は改善され、真新しいスタジアム
ができあがろうとしています。
確かに、こうした事業に関わる人たち
にとって、オリンピックは一定の経済的
恩恵があるかもしれません。
しかし、その効果はあくまで一過性の
ものです。
歴史的に見れば、オリンピックが国家
にとって金儲けになった例は見たことが
ありません。
持続的、あるいは中期的な効果はまったく
ないのです。
むしろ、たった1ヵ月のお祭り騒ぎの
ために、日本の借金は大きく膨らむこと
になる。
宴の後にくる反動のほうがはるかに心配
です。
建設業を筆頭にオリンピック・バブル
の終焉で停滞、不振に陥る業種が増え、
そのダメージは、消費増税とあわせて
日本経済の致命傷になる可能性すらはらん
でいます。
<中略>
■安倍はあべこべ
先人たちがずっと先延ばしにしてきた
ツケをひたすら払わされ、生活水準が
目も当てられないほどに落ち込めば、
当然のこととして社会不安が膨れ上がり
ます。
30年後、人々の鬱憤はあらゆる形で
噴出し、日本は、より多くの犯罪が
起こる国になります。
政府に対する反乱や暴動が、毎日のよう
に起きているかもしれません。
そうなったとき、残された手段は国を
捨てて逃げ出すか、あるいは自分の身を
守るために武器をとるしかありません。
冒頭の私の発言には、そういう意図が
込められているのです。
「日本は違う、そんなことが起きる
はずがない」と思っていませんか?
しかし、'80年代後半、日本で大型の
バブルが発生したときも、
「日本だけは違う、バブルではない」と
強気に言い張っている人がたくさんいま
した。
その後、日本経済がどんな結末を
迎えたかは、皆さんがご存知のとおり
です。
「自分たちだけは違う」という根拠の
ない思い込みほど、危険な兆候はないの
です。
先ほどの日本株の話に戻すと、
そもそも私が日本株を買い始めたのは、
東日本大震災の直前でした。
その後、震災による株価の下落を受けて
さらに買い増しを進めていました。
というのも、短期的に見れば、日本の
景気は間もなく回復すると踏んでいた
からです。
それに、日銀も資金供給を増やすという
方針を明らかにしていました。
政府が印刷機を回すとき、おカネが最初
に向かう先が株式市場であることは、
自明の理です。
実際、黒田東彦総裁が率いる日本銀行が
ジャブジャブと紙幣を刷り、日本株や
日本国債をたくさん買ったことで、
日本の株価は跳ね上がりました。
逆に言えば、ここ数年の日本株の活況
はあくまでも日本政府が人工的に株価を
上げているに過ぎず、実態が伴っていな
かった。
景気にしても、異次元の金融緩和で円
という通貨の価値を切り下げたことで、
一部の大手企業がその恩恵を受けるのみ
でした。
一般的な日本人の生活や暮らしが改善
したかといえば、答えははっきりNOで
しょう。
そして、このアベノミクスの一番危険
な点は、人工的に低金利の状況を作って、
借金をしやすくしていることにあります。
雪だるま式に増えている日本の借金は、
猛烈なペースで進む人口減少のなかでは、
健全に返済していくことはとうてい不可能
です。
将来のことを考えれば、日本政府が
ただちにやるべきことは、財政支出を
大幅に削減し、同時に減税を進める
ことです。
この2つを断行すれば、状況は劇的に
改善したはずです。
ところが、安倍首相がやったのはすべて
これとは真逆のことでした。
彼が借金に目をつぶっているのは、
最終的に借金を返さなくてはならない局面
になったときには、自分はすでにこの世に
いないからなのでしょう。
これから20~30年後に歴史を振り返った
とき、安倍首相は、日本の経済に致命傷を
与えた人物として、その名を刻んでいるはず
です。
そして冒頭で述べた通り、日本が抱える
最大の問題は、言うまでもなく極端に
高齢化が進んだ、その人口構成にあります。
日本は世界でもっとも出生率が低い国の
一つであり、かつ、国民年齢の中央値が
世界で最も高い国の一つです。
人口動態から見れば、21世紀の終わりを
待たずして、日本の人口がいまの6割ほど、
約7500万人程度になるのは明らかです。
人がどんどん減っていくという絶対的な
危機を乗り越えるには、選択肢は2つしか
ありません。
すなわち、いまいる日本人に子どもをたく
さん産んでもらうか、あるいは他国からの
移民を受け入れるかです。
現在の日本の人口を維持するには、
女性1人あたり2人以上の子どもを生む必要
があるとされています。
ところが、実際の出生率は1・4人程度です
から、遠く及びません。
となれば、残るは移民を受け入れること
しかありません。
移民の受け入れは日本にとってもはやbetter
ではなく、mustの選択なのです。
ところが、日本政府は、事ここに及んでも、
積極的に移民を受け入れようとはしていま
せん。
■アジア最貧国へ転落
日本は、21世紀に入ったいまも相変わらず
外国人参政権を認めておらず、'18年には
国連から「在日外国人に対する雇用差別、
入居差別、教育差別がある」と勧告を受け
ているほどです。
その根底にあるのは、同質性の高い国民性
や同一言語を当然のものと考える、鎖国以来
の意識ではないでしょうか。
ここで思い出されるのが、かつてアジアで
もっとも裕福な国だったビルマ(現・ミャンマー)
のことです。
1962年以来、独裁政権によって支配され
外国人を追放したビルマは、アメリカの
経済制裁やインフラ不足を背景に、わずか
50年のうちにあっという間にアジア最貧国
のひとつへと転落してしまいました。
「日本の場合は大丈夫」といえる根拠は、
どこにもありません。
人口減少に、移民の受け入れの遅れ、
そして巨額の公的負債―。
ここまで指摘してきた危機に対して、
私は15年も前から警鐘を鳴らし続けてきま
した。
別に、予言という程のことでもありません。
なぜなら、こうした事実は足し算や
引き算ができて、統計を見ることが できれば、
簡単に割り出すことができる からです。
しかし、多くの日本人は、この現実から
目をそむけてきました。
もう一度言います。
皆さんはいまこそ問題を直視し、
現実的な対策を取るべきです。
自分や子どもたちの未来は、自分でしか
守ることができないのですから。
【転載終了】
***************************
結構前から、日本の経済的なあらゆる
数字が落ちてきていることを書いてきま
した。
若い人は安倍政権を支持したことを
後悔するような時が来なければいいの
ですが。