本当の音楽を。
とある中学校の吹奏楽部で、基礎的なお話をきちんとしたくて顧問の先生に無理言ってレクチャー的なレッスンを合奏形式でさせてもらいました。
いろいろな話をしました。「そもそも基礎ってなんだろう」「なぜ演奏をするのだろう」「技術ってなんで必要なの?」といった、いつもは考えることのない根底にある「なぜ?」を覗く時間がどうしても欲しかったんです。
この話は、この学校の吹奏楽部に必要だから、ということではなくて、僕はこういった話をたくさんの学校の「これからの若い楽器奏者」に伝えていきたいのです。
吹奏楽部が長い時間を経て閉鎖的で独特な世界観を持ち、都市伝説的なことを生み出し続けてきたそれらを払拭していきたい気持ちもあります。腹筋運動が本当に必要なのか?とか、呼吸法、腹式呼吸などという言葉が本当に必要なのか。本当に正しい原理を知れば、そんな「技」のような認識は必要なくなるわけです。
また、原理を知ろうとすることの大切さ、話題やテーマの軸になっていることが何なのかを考える習慣、見抜く力を持つことは、情報の多い今の時代には何をする上でも大切だと思うのです。噂話やフェイクに惑わされず、本質を理解できれば正しい選択肢や自分がどうしたいのかを明確に持つきっかけとなるはずです。
吹奏楽に携わった上で、楽器に対しても生きていく上でも共通して大切なことをお話していきたいと考えています。
この日はたくさんの基礎的な考えになる「軸」の部分のお話と、それに基づいた実践をしました。今回は「気づき」のきっかけになっただけだと思いますので、これからも定期的に深く興味深い話を進めていければ、と思っています。
僕の願いは楽器が達者に演奏できるだけでなく、「本当の音楽」をする子どもたちが増えてくれることです。
本当の音楽、ってなんですか?
コンクールで金賞をとることではないですよね。
荻原明(おぎわらあきら)