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Pianist由美子UNO が綴るショパンの情景

F.CHOPIN、義弟としてのフレデリックは亡き父のニコラス譲り

2019.08.04 10:03

ショパンは少年の頃からよくたとえ話を引き合いに出して言いにくいことを相手に伝えて苦言を呈すことがあった、父ニコラスがとても道徳を重んじるひとであった影響であろう、少年の頃から誰かが過った道に進むことに関して忠告をする勇気ある少年であった。

姉ルドヴィカへの5日間の書簡の中でルドヴィカの夫カラサンテに義弟として言わなければならないことがあったフレデリックだった。

父ニコラスが亡くなってからカラサンテの素行が悪くなっていることを1年前のノアンでルドヴィカからフレデリックは聞かされていた。ヴィクトル・ユーゴーの不倫現場の逮捕劇の末に投獄されたニュースは、実はカラサンテに苦言を呈する意味がフレデリックにはあったのだ。

「僕は、ユーゴーについて話します。

これは、カラサンテに競馬についての話している女性の話です。

彼女の家には6人がけの小さな長椅子があります。

その家の家族のための椅子に使用人の女が乗り込んで来るのですよ。

その現場を発見した夫人(ルドヴィカ)が叫んだ、泥棒!!

このことをバルチンスキにも話してください。」

つまり、ルドヴィカとその子供たち5人が使う長椅子でカラサンテが使用人の女と浮気している現場をルドヴィカが目撃したのだ。それをイザベラの夫のバルチンスキにも言って苦言を呈しておくようにフレデリックは念には念を入れた。

「僕たちは、そのようなことにうつつを抜かしている暇はないのだよ。

まだまだこれから、たくさんの障害物が最後の決勝地点までたくさんあるのですよ。」

人生の障害物競走なのか、フレデリックは亡命の事を真剣に家族の身を案じて考えていた。

「僕たちがそのような表現をしていいかどうかはわからない。」少しはぐらかしながらも「ゴール、境界線、柵、その他のあらゆる障害物があります。」

フレデリックはそう話した後で、カラサンテを強烈にののしった。

「まあ、ユーゴーのような同じ種類の人で同じ状況にいる人の話をします。」前置きをするフレデリック、同じ人とは勿論カラサンテのことだ。

「ユーゴーのようにベットの中の現場を目撃されて現行犯で逮捕されれて牢屋にぶち込まれる、目に余る間抜けです。」

この、カラサンテへの説教は長い。。。まだ続いた。

「ご年配のご婦人はベルゴレージという作曲家によるオラトリオ(キリストが十字架にかけられた聖母マリアの悲しみを歌った曲)

を引き合いに出して、キリスト教では不倫は犯罪ですよと話すが、若いご婦人は、夫であろうが容赦なく社会的に罰せられるように追い詰めて汚名を着せるのです。」

それから、フレデリックは、カラサンテへの苦言の最後は歴史上の人物でゴドフロワ・ド・ブイヨン(1060年‐ 1100年、第1回十字軍の指導者の一人)の話を引き合いにだして、「彼は、"一時代を築いたひと" だったのでそう呼ばれていることを覚えておいてください。」

フレデリックのワルシャワの家族への心配は尽きなかった。

自分が父ニコラスの代わりに傍にいてあげられないことが歯がゆく感じていた、家族への言葉はフレデリックは尽きることがなかった。


ノアンのサン・マルタン教会 - 11世紀から12世紀に描かれたフレスコ画の一部