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「たてもん」と「だいがく」

2019.08.18 11:10

8月2日から4日、富山県魚津市では「じゃんとこい魚津まつり」というイベントが開かれました。今年で50回目だそうで、海上花火大会や踊りなど、いろんな催しが富山湾に面した街で繰り広げられるのですが、その中心ともいえるのが、2日と3日の夜にある「たてもん祭り」です。

市のホームページによると、約300年前から続く諏訪神社のおまつりで、氏子の町内7地区が16メートルもある大柱に提灯を吊るし上げ、太鼓に合わせて湾岸の道を引き回すのです。

この日は7時40分から花火大会があり、春には蜃気楼が見える「しんきろうロード」が人でいっぱいになります。海面とシンコペーションするきらびやかな花火が終わると、見物客の多くは諏訪神社へと移動します。既に7基のたてもんは提灯で照らされ、8時半から宮入りが始まります。

先日、玉出のだいがくを見てきたばかりですが、三角とおわん型の違いこそあれ、意匠もスケールもよく似ています。違うのは、だいがくのてっぺんには傘がついていたのに対し、たてもんには八角の行燈がついていることです。

回り方も、だいがくが土台を固定して柱と提灯を回すのに対し、たてもんは土台自体を担いで回します。上には太鼓を人も乗っているので、大変な力で、揺れる提灯が心配になるほど。

てっぺんから垂れる髯籠(ひげこ)もずいぶん違います。たてもんの髯籠は光るので、移動とともに揺れて雰囲気を一層盛り上げます。折口信夫は「髯籠の話」で、こうした髯籠が神を迎えるための依代(よりしろ)であるとして、各地の祭りをたどって山車・鉾・山の意味を民俗学の立場から解き明かしています。


祭りは深夜まで続きました。2016年には、祇園祭などとともにユネスコの世界無形文化遺産にも登録されています。一方で高齢化が進む中、祭りを維持するにも工夫が必要なようです。観光客をうまく呼び込みながら、人口減時代に持続可能なあり方を探っていきたいですね。