「MUSEUM der verschwundenen liebhaber」Joachim S. Gumpert Hans Ticha
ちょっと不気味で、でも何処かコミカルな感覚もあるイラスト、そしてカバーのイタミ具合もなんだかこの本とあっているような気がするこの本は、いつも当店が紹介する本とは、少しテイストが違うでしょうか。
こちらはJoachim S. Gumpertの小説に、Hans Tichaが挿絵を手掛けた「MUSEUM der verschwundenen liebhaber(失われた恋人たちの博物館)」です。
Hans Tichaは主にドイツで活動する画家/イラストレーターで、Kunsthochschule Berlin-Weißensee(ベルリン美術アカデミー)では、ヴェルナー・クレムケに教えを受け、その後は多くの本の挿絵、絵本、ブックデザインを手掛けました。
本書で見られるような幾何学的とも感じられる対称性、曲線、直線が特徴的な、彼独自の感覚で描かれる個性のあるイラストレーションを見せてくれます。
何処か怖さ、不気味さを感じるけれど、タブローとしてはコミカルな印象にまとまっている点は、チェコのアーティスト、ボフミル・シュチェパーンを思わせもします。
1988年刊行の本で、そこまで古い本ではないのですけれど、紙質の影響で経年を強く感じます。しかし最初に書かせて頂いたように、そうした本の状態、茶色く変色した紙とHans Tichaのモノクロのイラストが不思議と調和して感じられ、この独自の魅力を持つ作家の素晴らしさを更に引き出しているように思えるのです。
あたかも最初からこの状態であったかのような、この状態になるために、そのように作られたかのような、そんな風に思える本なんです。
可愛らしいだけではない、ちょっとクセのある絵が好みの方にオススメの一冊です。
ぜひオンラインストアの方でもご覧ください。
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