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British bake on

スコーンの可能性 Potentioal of scones

2019.08.06 00:46

こんにちは!


今日はスコーンのお話です。

一昔前は、女の子が一番初めにお母さんから習うベーキングがスコーンといわれるくらい、イギリスでは日常的な家庭のお菓子だったスコーンですが、今では専門店ができたり、高級ホテルのアフタヌーンティーで供されたりと、よりポッシュでリッチなスコーンも楽しまれるようになりました。


そのスコーンですが、どれが本物なんだろう、と思ったことはありませんか?



極端に言えば、どれも本物。

不正解はない、が答えだと思います。


というのも、スコーンは作り手の数だけ種類があり、材料や分量がほぼ固定されているパウンドケーキやビクトリアスポンジなどと異なり、その作り手によって全く違った材料で全く違ったものができるからです。


たとえ同じ材料を使っていたとしても、作る人によって結果が異なってくるのがスコーン。

そのどれもが「正解」であり、見た目が違うからといって「間違い」ということはないのです。



これはごく最近の出来事なんですが、ある日私は小麦粉を変えて3、4種類、それ以外は同じ条件でスコーンを焼きました。


その結果は味・食感に関してはそれほど違いはなく、ただし見た目は明らかに異なる、といったものでした。


このスコーンたちを比較した写真をウェンディに送り、意見を求めたところ、返ってきた言葉は「全部違う人が作ったスコーンみたいだね」ということ。

もしスコーンがフラッフィー、ふわふわした食感であれば、それ以外はそれほど重要なことではない、ということでした。



大事なのは食感。


これに関しては少しこだわらなければなりません。



イギリスで食べられている多くのスコーンは、外側がサクサクしていても、内側はふわふわ、少なくともぼそぼそしていたり、硬かったりすることはありません。


以前イギリス人の友人が言っていました。


この前日本で買ったスコーンがまるでビスケットのように硬かった。飲み物なしでは全く食べられないくらいだ。恐らく午後遅くに買ったから、フレッシュじゃなかったんだ。



時々、スコーンはもそもそするから好きじゃない、という言葉を聞きます。

確かにスコーンは基本的に紅茶など、飲み物と共に食すものです。

しかし、いいスコーンというものは、液体で飲み下す必要はないです。

飲み物はあくまでも、よりおいしくスコーンをいただくための添え物のようなもの。


スコーンと紅茶はセットですが、それはスコーンを食べるために必要なのではなく、あくまでもお互いをよりおいしく食べるために必要なのです。


硬いスコーン、ぼそぼそとした食感が表立っているスコーンは、残念ながらスコーンとしてはあまり質のいいものではない、と言わざるを得ないかもしれません。


フレッシュ、という言葉も大切だと思います

というのも、スコーンはよく、パンとビスケットの中間のようなもの、という表現をされますが、私はどちらかというとパンの方に近いと思っています。

なぜならフレッシュなものが一番おいしいから。


私は人に「どのお店のスコーンが一番おいしい」か聞かれたときには必ずこう答えます。


「自分の作ったスコーンが一番おいしい。」


どんなに有名店のスコーンであろうとも、出来立てのスコーンにはかなわないからです。


まあそんなことを言ってしまったらお店として成り立たなくなってしまうのですが…



話は変わりますが、ずっと昔に読んだ漫画で、フランス人シェフがアフリカで現地の材料を使って素晴らしいフレンチを作った、というものがありました。


大事なのはフランスの食材を使うことではなく、フレンチの精神を忘れない事。

それさえあれば、材料も場所も関係ないんだ。


ちょっとニュアンスは違うかもしれませんが、この言葉は常に私の中にあります。


私がイギリスで教わってきたこと、教えてくれた人たちのバックグラウンドを大切にしていれば、日本にいてたとえイギリスの食材が手に入らずに日本の食材を使っていても、それはイギリス菓子に違いないんだ、ということです。



結局何が言いたいのかというと、ラブ・イン製法とふわふわした食感、スコーン特有の "Wolf's mouth" “狼の口”と呼ばれる横割れをクリアできれば、どんな材料を使っていてもスコーンと呼べるのではないかということです。



なぜこんな話をしているかというと、先日、開催時間が10時間越えのフリーマーケットに参加してきたのですが、その時に暇つぶしに、と思ってスコーンの本を持って行ったんです。


その本は、ロンドンでスコーン専門店を開いた若い夫婦の、物語のような、記録のようなレシピ本で、1冊丸ごとスコーンのレシピというものでした。


この中で基本となるスコーンには、バターミルクやカスタードパウダー、ゴールデンカスターシュガーなど、私のスコーンには全く使われていない材料が使われています。

そして、そのバリエーションとして挙げられているものも、形も材料も全く異なるもの。

材料だけ見たら違うお菓子なんじゃないか、と思うくらい違うものもあるんです。


それでもそれらはスコーンと呼ばれ、その夫婦のビジネスはイギリスで成功を収めました。


また、私の大好きなイギリスのベーキング・コンペティション "The Great British Bake Off" でも、過去に様々なスコーンが作られていて、その一つにカリフラワースコーン、見た目も味もカリフラワーそのもの、というものがありました。


正直、日本人では思いつくことさえしないようなユニークなアイディアがそこにはゴロゴロと転がっていて、それは新しもの好きが突飛な発想で周りをあっといわせようとしている、というよりかは、それだけたくさんのアイディアが生まれてくるくらい、イギリス人の日常に浸透し、愛されているんだ、という風に感じました。


私はどちらかといえば固定観念が強いほうで、一度思い込むとそこから抜け出すのがなかなか難しいタイプなのですが、イギリス菓子に関してだけは、柔軟に、なんでも取り入れていきたいと常に思っています。


スコーンに関しても、屋号に「イギリス焼き菓子とスコーンの店」とうたっているわけなので、伝統的なものは伝統的なものとして楽しみ、新しい味や材料、アイディアも進んで取り入れていきたいなーと、心新たに思ったわけであります。



今日は残念ながらご紹介できるレシピはありません。

ちょっと変わった伝統菓子を紹介したいと思っているのですが、下調べがまだ進んでいないので、もうしばらくお待ちください。

それではまた!