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【パンアメリカン競技大会】完敗のキューバ。コロンビアとニカラグアが東京五輪アメリカ予選進出

2019.08.09 04:51

 7/29~8/4の間行われたパンアメリカ大会の野球競技は、プエルトリコの初優勝で幕を閉じました。3連覇を狙った前回王者カナダは惜しくも準優勝に終わりましたが、アメリカ代表が出場しない中で他の参加国よりも多くのマイナーリーガーを召集できた代表チームの編成力は流石といったところでしょうか。

 また、今回のパンアメリカン大会は、東京オリンピック・アメリカ大陸予選への出場権を懸けた大会でした。今年11月開催の第2回プレミア12に出場するアメリカ、カナダ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、キューバ、メキシコは自動的に出場権が与えられています(※)が、それ以外の国はこのパンアメリカン競技大会で上位2か国に入ることが条件となっています。

 今回の参加国で言うと、コロンビア、ニカラグア、アルゼンチン、開催国ペルーの4か国は、東京オリンピックへの生き残りをかけたサバイバルレースにもなっているのです。

(※)・・・正確には上記7カ国の内、最上位の国は東京オリンピック出場権獲得。残り6カ国が東京オリンピック・アメリカ予選に出場する。


キューバは完全に『赤信号』

この大会で3大会ぶりの王座奪還を狙ったキューバ代表は、日本のプロ野球で活躍しているユリスベル・グラシアル(LF/福岡ソフトバンク)他3選手やカナダやメキシコなどで武者修行中の海外組をほぼ総動員し真剣モードで挑みましたが、結果は最悪の予選リーグ敗退。これまでのキューバ代表史上でも”最低”と言っていい結果となってしまいました。

今大会のフォーマットですが、1次ラウンドとして参加国8チームが各4チーム2組に分かれて総当たり戦を行い、上位2チームが2次ラウンド(1次R未対戦国との総当たり)に進出します。キューバ代表は、コロンビア、カナダ、アルゼンチンと同組となりましたが、初戦のコロンビア戦と第2戦のカナダ戦を続けて落とし、大会早々わずか2試合で王座奪還の権利を失いました。何より痛恨だったのは初戦コロンビア代表戦です。メジャーリーガーどころかマイナーリーガーすらいないコロンビア代表が相手であったのに、1-6と普通に敗北してしまいました。投打両面で力不足な感じは否めませんが、特に投手陣には不安を抱えています。


課題は『先発の質』と『救援の薄さ』です。4試合で先発投手が6回を投げ切ったのは、格下のアルゼンチン戦のみ。

 先発投手が降板した後、日本プロ野球で活躍中のイバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)が圧巻のロングリリーフで無失点に抑えますが、その後が踏ん張れません。カナダ戦とドミニカ共和国戦では、同じ日本組のライデル・マルティネス(RP/中日)がモイネロの後を継ぎ登板しますが、モイネロとは対照的に回跨ぎの起用に踏ん張りが効きません。キューバ代表のレイ・ビセンテ監督の気持ちを推察するに、本来ならばR・マルティネス投手は1回で交代したい所だったでしょうが、他の投手に信頼が置ききれなかったというのはあると思います。先発が早々に降板し、層の薄い救援陣をカバーしようと日本組に負担が集中。結果、1勝3敗という結末になったのだろうと思います。


キューバ代表の立ち位置(最新版)

 パンアメリカン大会の前の強化試合の時点から、キューバ代表は苦しんでいました。キューバ国内組中心で挑んだアメリカ大学生代表戦は1勝4敗で大きく負け越し。また、ニカラグア代表にも3戦して2敗1分の負け越し。悪い流れが止まらない中で、大会本番にも臨み浮上のきっかけがないまま6位で大会を終えています。

 現在のキューバ代表の攻撃力と守備力をざっくりプロットしてみました。(詳しくはこちらを参照。かなり雑な手法ですが、キューバ代表の立ち位置をざっくり知るには十分なグラフかなと思います。)右上に位置するほど投打両方に優れているチームを意味します。見ての通り、なんと日本の大学生代表やアメリカ大学代表よりも総合力で劣るという結果になりました。プレミア12には、メジャーのロースター40枠以外で出来る限りの戦力を集めてくるでしょう。中南米の代表チームも、今回のパンアメリカン大会のメンバーよりも強力な面子になってくることは間違いありません。


ニカラグアとコロンビアが生き残り

 そして東京オリンピックに向けたサバイバルレースには、3位のニカラグアと4位のコロンビアが生き残りました。 “WBC未出場国最強”と目されるアルゼンチン代表は、残念ながらここで脱落となりました。昨年のパンアメリカン大会の予選の際にも、ニカラグアとコロンビアの両国が東京オリンピック・アメリカ予選への出場を予想しましたが、両国ともある程度実力を示せたのではないかと思います。アメリカ予選にはプレミア12に出場する野球の強豪国が出場しますが、それらの国(ただし、圧倒的選手層のアメリカは例外)とニカラグアやコロンビアはそこまで大きな差はないかなと思います。

 また、優勝したプエルトリコ代表は中米選手権に続いてのタイトル獲得。中米選手権のメンバーも半分くらい残っていますが、いずれにしてもほぼ国内リーグ所属の現役マイナーリーガーもいない編成でした。それでこの結果ですから、少し不気味に感じます。もしかしたら、プレミア12でもダークホースかもしれません。日本代表と同じ組ですので、ちょっと警戒が必要かもしれません。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。