ZIPANG-3 TOKIO 2020 ~ 日本の原風景 棚田巡礼 ~「世界一 富士山の眺望景観 西伊豆松崎町の石部棚田(2)」
はじめに
本日8月9日は先の広島(8月6日)に続く長崎県へ原爆が投下(11時2分)された日です。人類史上初めての核融合による原子爆弾の(直径305m大)火球は地上500mで炸裂。その温度は3000℃に達したと言われております。被爆された死傷者の数は広島、長崎県を合わせて実に36万8千人の方々が犠牲になられました。現代の日本人である私達はその尊い命と引き換えに今日の平和が有ることを心にしっかりと刻みましょう。
私達は改めてこれら歴史的な悲劇に哀悼の意を捧げるとともに、未来に向けて二度と戦争を起こしてはならないことを誓い、そして世界中の人々の平和と繁栄に向けて黙祷を捧げたいと思います。
西伊豆松崎町の石部棚田。棚田には水車小屋があり、最近まで精米していました
石部棚田からの富士山の眺め
西伊豆松崎町 雲見高通山からの富士山の眺め
西伊豆松崎町 雲見海岸からの富士山の世界一の眺め
山・川・海の表情豊かな自然景観
当町は、長九郎山や婆娑羅山などの集落を取り囲む山々と集落中心部を流れる那賀川や岩科川、その河川流域一帯に広がる農地、そして断崖と浜が入り組む変化に富んだ海岸などで構成されています。海岸は、富士箱根伊豆国立公園区域内にあり、名勝にも指定され、美しい浜辺やジオサイト、富士山の眺望景観など特徴的で魅力あふれる風景をみることができます。
また、山間部や海岸部の自然だけでなく、那賀川の桜並木や神社や寺の古木など集落に根付いた自然・樹木等も当町の景観を特徴づけ、魅力あるものにしています。さらに、夕日や富士山、星空、四季折々の花々や紅葉、生き物など、時間や季節の移り変わりの中で変化し、豊かで美しい表情をみせる自然景観も随所で見られます。
こうした山・川・海の自然は、古くから先人たちと自然環境との共生により、現在に継承され、当町の原風景を形づくる景観の基盤となり、暮らす人々に癒しと安らぎを与えるとともに、訪れる人に感動を与える素晴らしい景観として継承されています。
美しい農地と里山にみる文化的景観
西伊豆松崎町那賀地区 田んぼを使った花畑。3月末~4月初めにかけて那賀川沿いの6キロの桜並木も見どころです。屋台も出て、花畑と桜並木ダブルでご覧いただけます。
当町には、山口の田園や石部棚田、岩地の石垣、桜葉畑など伝統的な生業の農地や里山景観が長い年月を経て受け継がれています。これらの農地は一朝一夕にできあがったものではなく、先人たちが地域の風土に合わせて、長い年月をかけて環境と共生しつつ形成した、素晴らしい文化遺産です。
西伊豆松崎町 石部棚田の田植え。棚田の石組をご覧ください。苦労の賜物です
石部棚田は、先人たちが傾斜地を開墾し、一つ一つ石を積み上げながら、何百年もかけて築かれたものです。平成に入ると棚田の 90%が耕作放棄地となりましたが、その後棚田の美しさを再認識した地元住民により、棚田再生の活動が始まり、その活動と棚田景観の美しさに魅了された町内外の多様な主体の参画により、棚田の保全活動が展開されています。
西伊豆松崎町 石部棚田 全景
西伊豆松崎町 石部棚田 子供たちも手伝って収穫祭
このような保全活動や伝統的な生業が継承されてきたことから、今日まで美しい農地や里山景観が維持され、来訪者に感動を与えています。
石部棚田LEDウインターイルミネーション
伊豆半島の西側の先端に位置する静岡県松崎町の石部棚田は、標高120m~250mに広がる約370枚、4.2haの田んぼで、東日本では珍しい石積みの棚田です。眼下に駿河湾を一望出来、晴れた日には富士山や南アルプスを望むことが出来る絶景の棚田です。
西伊豆松崎町棚田 石部の灯り〜ウィンターイルミネーション〜
耕作放棄され、芽で覆われていた4.2haの棚田を平成12年に再生し、集落活性化の起点として活用しています。その核となるものが棚田オーナー制度です。稲作オーナーは、ご自分の名札を建てた田んぼで米作りを体験できます。棚田における農業を体験し、その美しさ、大変さをオーナーの皆様に理解していただくための企画です。農作業にあたっては、米づくりのプロ達が、懇切丁寧に皆さんの指導をいたしますので、なにも心配いりません。毎年、約100組の方々にオーナーになっていただき、農作業を通じて、地元民やオーナー同士の交流の場として活用されています。棚田保全にご協力いただける方はぜひご参加ください。
そんな石部は昔、石火と呼ばれ、岩に神が宿るとして火を燃して海上交通の目印とするなど、火に縁のある地区でした。旧地名に因んで、景観地である石部棚田をLEDイルミネーションで飾り付けました。晴れた日には満点の星空と相まってとても美しい景色をご覧いただけます。やさしい光に心癒されに来てください。
日 程: 令和元年12月中旬 ~ 令和2年2月中旬 /16時30分頃点灯開始予定 ~ 21時頃
※ソーラー充電、自動点灯のため、天候により点灯時間及び消灯時間が前後します。
場 所: 松崎町 石部棚田
主 催: 石部地区棚田保全推進委員会
共 催: 松崎町 地域おこし協力隊
【お問い合わせ】
松崎町役場企画観光課:0558-42-3964
編集局お勧めの見どころ
重要文化財 岩科学校
重要文化財岩科学校は、なまこ壁をいかした社寺風建築様式とバルコニーなど洋風を取り入れた伊豆地区最古の小学校です。
西伊豆松崎町 重要文化財岩科学校 和と洋の折衷様式。何故か懐かしくもあり新鮮でもある
明治12年4月に着工、翌13年9月に完成を見た洋風デザインの印象的な建物で、日本では甲府の旧睦沢学校(明治8年)、松本の旧開智学校(明治9年)などに次ぐ古いものとして知られています。
平成4年11月に2年間の改修工事を終了し、明治13年の形に復元されました。
追憶…小生が育まれた我が母校「野立小学校」の校舎は木造で伊勢湾台風前までの教室は写真の様で懐かしい…遅刻しそうで廊下を走ると鴬張りのように音がしたものです。
その後、どういう訳か(古臭く、みすぼらしい➡他校並みに…が自治体の風潮でした)突如コンクリートに替わったのです。何も知らない当時の子供たちは、皆で新しくなった校舎に大はしゃぎでした。けれども今振り返ると木造は、子供たちの気持ちを暖かく包んでくれているような何かがあった・・・足元は流石に草鞋はありませんでしたが、鼻緒のついた木の下駄でした。ある日、カッコつけて高下駄を履いて登校したところ校舎の裏手に高学年生に呼び出され愛の鞭でした。でも次の日にはケロッとして一緒に遊んだものです。宝物のような思い出です・・・
なまこ壁と洋風建築のおりなす浪漫
明治12年当時、松崎では村内の教育振興熱が高く、校舎新築のための寄附金が集められました。
「総建築費2,630円66銭 うち寄附金4割余」。
時の戸長佐藤源吉らにより新築計画が進められ、岩科村大工棟梁菊地丑太郎、高木久五郎によって設計施工されました。
正面玄関に掲げられてある「岩科学校」の扁額は、時の太政大臣三条実美の書で、その上の龍は入江長八が棟梁の「のみ」をかりて彫ったと伝えられています。
入江長八の傑作「千羽鶴」
階上客室の西の間は日本間で、作法や裁縫の授業にも利用されていました。
床の間はのぼり太陽を表現して紅の壁、脇床には緑を配して松を表現しています。
重要文化財岩科学校 鶴の間 左官の神様と敬われた名工「入江長八」の138羽の鶴
まるで生きているような・・・
欄間には名工入江長八によってほどこされた千羽鶴が、一羽一羽形を変えて描かれており、まるで壁面より抜け出てくるかのように日の出を目指して飛翔する姿が見られます。
この千羽鶴は左官技法と色彩技法を巧みに融合させた長八作品の傑作です。
開化亭「旧岩科村役場」
岩科学校の庭内にある開化亭はもとは岩科商社としてつくり、後に岩科村役場として使用されました。
明治8年に建てられた由緒ある建物だが移築復元され、現在は休憩所として利用されており、伊豆独特のみやげ物や当時使われていた教科書等が販売されています。
玄関天井や旧西座敷の天井に描かれた漆喰鏝江は入江長八の高弟佐藤甚三が制作したものです。
営業のご案内
開館時間 9:00~17:00(年中無休)
入館料 大人300円【中学生以下無料】
※障害者手帳をお持ちのお客様は、障害者手帳提示で入館料が半額になります。
(割引券、クーポン券等の併用はできません。)
住所 静岡県賀茂郡松崎町岩科北側442 ℡ 0558-42-2675
交通アクセス
電車
東海道新幹線三島駅で伊豆箱根鉄道に乗り換え修善寺駅からバスで1時間40分。
伊豆急下田駅からバスで約50分。
車
東名高速道路沼津I.C.から国道136号線経由で約110分。
船
清水港からカーフェリーで土肥港へ65分。土肥港からバスで50分
沼津港から高速船で土肥港へ50分。土肥港からバスで50分
鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使
協力(敬称略)
松崎町役場
企画観光課 〒410-3696 静岡県賀茂郡松崎町宮内301-1本庁 2FTEL:0558-42-3964
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