委任契約と雇用契約
【ざっくり説明すると…】
→民法に定められている契約形態は13種類
→業務委託契約や
マネジメント契約は委任契約
→似ている契約形態もあるので
専門家に相談しましょう!
先日、Twitterで
このような質問を頂戴しました。
このブログを書いているちょうど今、
大手芸能事務所と
タレントさんの関係性の見直しが
連日のニュースで流れています。
Twitterのご相談者様は
相手方と業務委託契約を
結んでいるみたいですが
業務委託契約って
具体的にどのようなモノなのでしょうか。
そもそも契約って
具体的にどんなものがあるのか
イマイチわかっていない方々も
いらっしゃるかと思います。
そこで今回は
民法という法律に定められている
契約関係の具体的内容について
簡潔にですが
わかりやすい言葉で
噛み砕いて説明したいと思います。
民法という法律では次の13個の
契約関係について書いてあります。
普段、意識していない相手とのやり取りは
基本的にはこの13種類のどれかに
当てはまることになると思います
(商法には、この13種類とは違う契約形態が
定められています)。
(1)贈与契約
→誕生日プレゼントをあげる
(2)売買契約
→コンビニでジュースを買う
(3)交換契約
→お弁当でおにぎりをあげる代わりに
唐揚げをもらう
(4)消費貸借契約
→大学の奨学金制度を使う
(5)使用貸借契約
→友達にゲームソフトを貸してあげる
(6)賃貸借契約
→家賃を払ってアパートに住む
(7)雇用契約
→会社に勤めてサラリーマンとして働く
(8)請負契約
→新居の建築を工務店にお願いする
(9)委任契約
→弁護士が事件の依頼を受ける
(10)寄託契約
→銀行にお金を預ける
(11)組合契約
→マンションの管理組合の一員になる
(13)終身定期金契約
→生命保険会社から終身年金を受取る
(14)和解契約
→万引きをしたお店との間で示談する
といった感じです。
冒頭で説明した、
“芸能事務所がタレントの
マネジメント業務を行う”という内容は
本来はタレントが自分で行うべき
スケジュール管理や出演料交渉という業務を
芸能事務所に任せるということなので
(9)委任契約に当てはまります
(芸能事務所によってはタレントに
月額給料を支払っているところもあるので
その場合は(7)雇用契約に該当するかもです)。
この13種類の契約のうち
違いがイマイチわからないのが
(7)雇用契約、(8)請負契約、(9)委任契約
です。
3種類とも、他人に仕事(労働)をさせる点で
共通しているので
ごちゃ混ぜに考えがちですが、
契約の性質が微妙に違います。
(7)雇用契約は
会社と社員の主従関係が明確です
労働行為の対価としてお金をもらいます。
(8)請負契約は
注文者と工務店との間に
主従関係はありません
工務店は独立した立場で仕事をするんですね
そして、あくまで
“仕事(新居を建てる)を完成させること”が
目的なのであって
“労働すること”自体が
契約の目的ではありません
(仕事を完成させればいいので
下請けに任せることもOKです)。
(9)委任契約も
委任者(依頼者)と受任者(弁護士)との間に
主従関係はありません
また受任者は、ある程度
自分の自由な判断によって
仕事を進めていくことができます
専門的な分野であればあるほど
受任者に判断を任せてしまったほうが
良い方向に進めてくれますので
依頼をした側にとっても
メリットが大きいですよね。
その意味では(8)請負契約と少し違います
もし仮に、工務店が自由な判断で
新居を作ってしまったら
注文者は納得しないですからね。笑
このように、契約も内容が似ているようで
実は性質が全然違うというのが多いです
契約書のタイトルは
「業務委託契約書」なのに
実質は“雇用契約”のようなモノになっている、
ということも結構ありますので、
相手方との間にトラブルがあった場合には
ご自身で判断せずに
必ず専門家の意見を
参考にしてみてください。
(※YouTubeチャンネルを
開設しています
そちらのほうでも
いろいろ法律解説をしていますので
是非ご覧になってください!)
なるべく難しい言葉を
使わないようにと心掛けるがあまり
逆にわかりにくくなって
しまったかもしれません。
また、専門家の方、
法律の勉強をされている方にとっては
あまりに稚拙で言葉足らずで
説明不足であることも
重々承知しております。
ただ、このブログのコンセプトは
まったく法律を知らない方にとって
少しでも興味を持っていただく
きっかけになればと思い
始めたものですので
どうかご容赦いただければと思います。