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「宇田川源流」【お盆特有のエロ】 至極のエロ話(6)幽霊が媒介して伝染する話

2019.08.16 22:00

「宇田川源流」【お盆特有のエロ】 至極のエロ話(6)幽霊が媒介して伝染する話

 今日で土曜日である。いつもの土曜日であり、普段ならば「土曜日のエロ」を皆さんに披露している日であるが。やはりお盆休みなので、このまま「お盆特有のエロ」を継続しよう。明日までもうちょっと頑張ってみよう。


「俺には幽霊のセフレがいるんだ」

 卓也は、いつもそんな自慢をしているところだった。他に正美という彼女もいるらしい。だから、幽霊はセフレなのだそうだ。

「おい、幽霊とやると命を吸い取られて寿命が短くなるらしいぞ」

 友人はそのように言った。しかし、卓也は全くそのことを気にする風はなかった。安久谷は堂々と幽霊と正美の二股をかけていたのである。

「正美は嫉妬しないのか」

「相手が幽霊じゃあ話にならないだろう」

 卓也はそんなことも全く相手にしていなかったのだ。しかし、そんな卓也が相談に来たのだ。

「おい、相談に乗ってくれるか」

「なんだよ」

「俺のち○○ん見てくれるか」

 そういうと、卓也はいきなり自分の性器をズボンから取り出すと、私にそれを見せた。まあ、男同士であるからといって、そんなものを見るようなものではない。しかし、その性器は私が見ても異常であることがよくわかったのである。いや、正確に言えば二つあったのだ。

「二つあるじゃないか」

「ああ、それが、この前目が覚めたら、二つになってたんだ。」

 それも一つは斜めに生えていて、紫色に変色していた。何か死んでいるかのような感じなのである。

「変なことを聞くが、小便はどっちから出るんだ」

「ああ、普通の方。幽霊のセフレがこの紫の方を使っているんだ。でも変だろ」

「正美は何て言ってるんだ」

「まだ見せてない」

 そりゃそうだ。

「おい、一度幽霊見に来てくれるか」

「なんだか嫌だなあ。でも、まあ卓也の頼みなら仕方がないか」

 結局その日の晩、卓也のところに行くことになった。

その日の夜、見ていると、いきなり押し入れの扉が開いた。そして、何かがごそごそ出てきたのである。白い、まさに幽霊という感じの幽霊だ。女性なのは髪が長いのでわかる。ちょうど、映画で出てくる「貞子」のような感じだ。それが四つん這いで出てきて、卓也の前に来る。そしてその着ている白い和服を脱ぎだすのだ。

アダルトビデオは見たことがあるが、自分の友人が、それも幽霊相手にやっているというのは、見ていてあまり興奮するものではない。もちろん幽霊もあまりおどろおどろしいものではない。非常に女性らしい女性といった感じの幽霊なのだが、やはり頭のどこかで幽霊であると思うと、まったく自分は興奮しないのである。

「おい」

 卓也が股間を出すと、幽霊はそれを口でくわえる。私が驚いたのは、紫の方だけではなく、両方をくわえているのである。そして、卓也は気づいていないが、卓也の身体が全体に紫色になっているのである。

 私は口を開くこともできず、ただ見ているしかなかった。

「卓也、大丈夫か」

「ああ。それがやめられない程気持ちがいいんだ。正美なんかとするよりずっとな。いうなよ」

 しかし、そんな日も長く続かなかった。卓也は死ななかったが、しかし、性器を全てきり取り、そして、下半身が不随になってしまったのだ。「睾丸に癌ができた」というのである。医者は「こんなところにできるのはめったにないのですがね」といってた。

「正美とは別れたが幽霊はまだいるんだよ。二股かけててよかった」

 卓也はにっこりわらった。癌が転移しているのか、頬もこけて、卓也自身が幽霊のようになっていた。

「ちょっといいですか」

 医者がお見舞いに行った私を呼び止めた。

「何があったんですか」

 医者は怪訝な顔で私に聞いた。

「実は……」

 私は自分が見たことを全て言った。

「そうですか。医学をやっている私は科学的に立証できないことを信じるわけにはいかないのですが、これを見てどう思いますか」

 そういうと、手術の時に切り出した卓也の睾丸と、そしてレントゲン写真を見せてくれた。親にはとても言えないが、医者も誰かには言いたいということらしい。

私はそれを見て驚愕した。何しろ、睾丸は、いつのまにか女性の顔の形のようにとがった形になっていて、その上、睾丸に長い女性の髪の毛が何本も巻き付いていた。そして、レントゲンの写真は、いくつも癌が白い点で見えるのであるが、その点が大きくなると人の形になっていたのである。

「こ。これは」

「見なかったことにしましょう」

 一か月後、卓也は死んだ。最後まで病室に幽霊の女がくるといって看護婦を悩ませていたそうだ。完全に取り憑かれていたのではないか。

そして、今では正美が、毎晩卓也がセフレになってくれていると言い始めたのである。

幽霊に取りつかれた人の末路という感じだが、それが、「伝染する」ということである。幽霊がいる間、二股をかけていた卓也の相手、正美に伝染するというのが怖い。そして、その卓也の睾丸に髪の毛が巻き付いていて、その上、癌が人の形に写っているというのも怖い。まさにそのような状況になっているのではないか。幽霊は伝染する。しかし、その幽霊の霊障が人を媒介にして伝染するということが、非常に、いや不浄に怖いのである。本来は、たぶん科学的にさまざまに解析できるが、まだその時代でないのかもしれない。