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豊かな人生の道標~人生一度っきり。

【希望に満ちた人と付きあおう】「希望は感染しやすい」逆に・・・

2016.03.30 00:33

‘この信念があれば、

我々は絶望の山の中から

希望の石を切り出すことができる’

—マーティン・ルーサー・キング牧師「私には夢がある」演説(1963年8月28日)より



「希望の泉は枯れず」

という。本当にそうだろうか。


 研究によると、希望はわれわれの肉体的・精神的な健康に不可欠だ。

希望を多く抱いている人ほど健康的な習慣を身につけている。

よく寝てよく運動し、健康的な食事を取り、安全な生活を送っている。


風邪もひきにくく、高血圧や糖尿病にもかかりにくく、

がんを克服する確率が高く、うつにもなりにくい。

 

多くの希望を抱いている学生ほど成績が良い。

大学を卒業できるかどうかは、

SATやACTなどの大学進学標準テストの得点より、

希望が大きく影響することも研究で明らかになっている。


夢と希望を共有しているカップルほど満足度が高く、

関係が長続きしやすい。


心理学者によると、希望に不可欠なのが自己主体性だ。

希望に満ちた人は単に目標や願いを抱くだけでなく、

それをかなえるための戦略やプランを実行する動機も持っている。


希望とは、未来の方が現在よりも素晴らしく、

それを実現できる力が自分にはあるという信念だ。


自分が何をしようとも物事はうまくいくと信じる楽観主義とは異なる。


人が希望を失うのは、障害にばかりに目が向いているためだ。

しかし心理学では、指導すれば希望を持ったり取り戻したりできることが分かっている。


学術誌ジャーナル・オブ・ハピネス・スタディに2011年8月に掲載された論文によると、

研究者はカリフォルニア州のサンタクララ大学の学生96人を対象に希望度調査を行った。


まず彼らに

「窮地を脱するための方法をたくさん思いつくことができる」

「問題を回避する方法はたくさんある」

といった質問にどの程度同意できるかを答えさせた。


次に、ワクワクする目標を1つ立てさせ、

それを達成するための複数の方法、達成を妨げる障害、

障害を回避する方法を考えさせた。


この演習の直後と1カ月後に各学生の希望度を測定したところ、

希望度が著しく上昇し、それが持続していたことが分かった。


これは自宅でもできる。

重要なのはワクワクすることに集中することだ。


「そうすることで希望を持つことがどういう感じかを思い出せる」と、

心理学者で世論調査会社ギャラップの上級科学者でもあるシェーン・ロペス氏は話す。


同氏は何か得意なことをすることも勧めている。

そうすることで自信と気分を高めることができる。

知り合いの中で最も希望に満ちた人たちと時間を過ごすことも重要だという。


「希望は感染しやすい」

とロペス氏。


ニューハンプシャー州のキーン州立大学で心理学を教える

アンソニー・シオリ教授によると、希望は4つの要素で構成される。


1つ目は愛情で、継続的な信頼感や他者とのきずなを意味する。

2つ目は統御感で、自分は強くて能力があり、自分の強さを立証してくれる人がいるという感覚。

3つ目は生命力で、これは悪い状況には陥っておらず、突破口はあるという信念と、否定的なことに対処しているときでさえも前向きな思考と感覚を持ち続けられる能力を指す。

4つ目は精神性で、自分よりも大きい何かの存在を信じることを意味する。


シオリ教授によると、これら4つの特性を全て備えた人は

多くの希望に満ちあふれているため、回復力も高いという。


歴代の米大統領たちは、希望を喚起するためのスピーチで、

これら全ての特性をさまざまな度合いで引き出している。


シオリ氏の研究チームは、ドワイト・アイゼンハワー以降の選挙で

選出された大統領10人(ジェラルド・フォード大統領は選挙で選出されていないため除外)について、

第1期の就任演説を分析し、愛情、統御感、生命力、精神性に関する内容に基づいて得点化した。


まず研究者にさまざまな質問に答えさせ、

彼らの政治的傾向を評価した。


次に政治的にリベラルな研究者1人と保守の研究者1人が

それぞれ各大統領のスピーチに点数を付け、希望度を評価した。


その結果、第1期の就任演説が全体的に最も希望にあふれていたのは

バラク・オバマ大統領だったことが分かった。


2番目はリチャード・ニクソン大統領。

ニクソン氏は愛情の得点が最も高く、オバマ氏は統御感の得点が最も高かった。


共産主義との闘いや国家の自由の確保について話したジ

ョン・F・ケネディ大統領は生命力の得点が最も高かったが、

それ以外は全て得点が低かった。


ジョージ・W・ブッシュ大統領は精神性の得点が最も高かった。


大統領をはじめとする偉大な指導者の演説を研究している歴史家によると、

最も希望に満ちたスピーチは必ずしも主体性という言葉を使っているわけではないが、

プランやその達成能力に関する主体感を植え付けているという。


米国史上最も希望を喚起する演説の1つとされる

マーティン・ルーサー・キング牧師の「私には夢がある」のスピーチを例に取ろう。


キング牧師は夢を提示するだけでなく、

「われわれは一人で歩くことはできない」

「われわれは後戻りできない」

「絶望の谷間でもがくのはやめよう」

とその方法も示している。


「希望は実現不可能な夢ではない」。

大統領の演説について研究するイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校コミュニケーション学部のジョン・マーフィー准教授はこう話す。

「自ら立ち上がり、そのための努力をする必要がある」


科学者によると、人は希望を感じると脳内の

「吻側前帯状皮質」という領域が活性化されるという。


この領域は、感情をつかさどる大脳辺縁系と思考や行動を制御する

前頭前皮質が交差する場所にある。


このことは重要だ。

なぜなら、これはわれわれが希望(または絶望)の感情にある程度影響を

与えられることを意味するからだ。


神経科学者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校精神医学部の非常勤助教を務めるアレックス・コーブ氏は

「絶望感を持つことについてはコントロールできないが、それに対する反応はコントロールできる」と指摘する。


気持ちが落ち着くBGMをかけながら自らを奮い立たせる引用句を録音することで、

希望の瞑想(めいそう)をすることができる

(筆者お気に入りの引用句の1つは「希望は決して黙らない」という性的少数者の権利活動家ハーベイ・ミルクの言葉だ)。


瞑想では映像を思い浮かべることも必要だ。

希望を橋や光など自らを元気づけるものとしてイメージしてみよう。


「抽象的なイメージは感情や関係、心象をつかさどる右脳に入り込む」

とキーン州立大のシオリ教授は話す。


言語や論理をつかさどる左脳に働きかけるには、

文章にしてみることをシオリ氏は勧めている。


自分の人生において、希望を構成する愛情、統御感、

生命力、精神性の4要素の助けとなる人や物を書き出してみよう。


追求しているゴールが全く達成できそうにないと分かった場合は、

そのゴールをあきらめ、複数の新しいゴールを設定することをお勧めする。


ワイドナー大学臨床心理大学院のハル・ショーリー准教授は

「希望に満ちた人は複数の分野でゴールを設けている。

そうすれば、1つの分野でゴールを達成できなくても、船全体が沈むことはない」

と話す。


希望に名前を与えることもお勧めだ。

筆者の母が生まれたとき、祖母は彼女に「ホープ(希望)」というミドルネームを付けた。


米陸軍大尉だった祖父は当時、

第2次世界大戦で海外に駐在しており、どうしても希望が必要だった。


「ウォールストリートジャーナル」

あなたの「希望」を湧き上がらせるコツ

健康な人生をつくる希望の4要素をどう高めるか

から引用

http://on.wsj.com/1okD7XZ