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ダンス評.com

中村恩恵、首藤康之、小野絢子、中島瑞生「ダンスと音楽『Camille カミーユ・クローデル』」スパイラルホール

2019.08.12 12:20

Program Bとして上演された「ダンスと音楽『Camille カミーユ・クローデル』」は、ヴァイオリニスト郷古廉氏とチェロリスト伊東裕氏が奏でる、ウジェーヌ=オーギュスト・イザイ、ラヴェル、バッハの音楽で、中村恩恵氏が振り付けたダンスを、中村氏含め4人のダンサーが踊る作品。タイトルのカミーユ・クローデルは、19世紀フランスの彫刻家オーギュスト・ロダンの彫刻のモデルを務めた愛人で、作家・外交官のポール・クローデルの姉でもある彫刻家だ。

(なお、Program Aは、「語りと音楽『Rey Camoy 鴨居玲という画家がいた』」で、ヴァイオリン演奏が郷古廉氏、出演が首藤康之氏、シライケイタ氏、山口馬木也氏)

本作は、中村氏が、ポール・クローデルが姉カミーユについて書いた本にインスピレーションを得て制作したものだという。ポールは、精神的に不安定になったカミーユを、一生、精神病院に入院させた。

若きカミーユを新国立劇場バレエ団プリンシパルの小野絢子氏、その後のカミーユを中村氏、ロダンを首藤康之氏、ポールを新国立劇場バレエ団アーティストの中島瑞生氏が踊った。演奏する郷古廉氏と伊東裕氏も常に舞台上にいて、特にヴァイオリンの郷古廉氏は舞台上を移動し、ダンサーと目を合わせるなど、出演者としての役割も果たしていた。

首藤氏はバレエダンサーをしていたし、新国立劇場バレエ団のダンサー2人が出演し、ヴァイオリンとチェロの生演奏があったためか、観客は(昼間の回だったからかもしれないが)バレエを見に行く層と同じく、中高年者が多かった。

中村氏の振付はバレエを基にしており、奇抜なところはなく、上品で美しい。でも結構なまめかしい。首藤氏は上半身裸、小野氏は下半身がベージュの短いスパッツのようなもの(おそらくレオタードの一部?)だけで踊るところがあり、2人の美しい身体に見とれた。

若きカミーユはロダンに夢中で、きっと彫刻への意欲にもあふれている。年月を経たカミーユは、若いころの自分とロダンを引き離そうとしているかのようだ。彼女はもう真っすぐではいられない。ロダンは若いカミーユに引かれるが、その後のカミーユとの関係性をダンスから読み解くのは難しい。ポールは、カミーユとロダンの関係を疎ましく思いながらも、正気を失った姉に対して苦悩してもいる。

このような美しいダンスも、世の中には必要なのだろう。生演奏も、クラシック音楽に疎い私が聞いても、素晴らしかったと思う。

2020年4月に中村恩恵氏がコレオグラフィックセンター(The Choreographic Center of Japan)を設立するそうで、その活動に注目したい。サイトは2019年11月にオープンするのだそう。


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Program B

ダンスと音楽「Camille カミーユ・クローデル」

上演時間:約65分(休憩なし)


天才ヴァイオリニスト郷古廉がイザーイ、ラヴェル、そしてバッハを奏でるとき、切なく狂おしい男女の愛が交錯する


2019年8月11日(日)14 時/18 時(追加公演)、12日(月)14 時

スパイラルホール(スパイラル3F)


出 演:首藤康之、小野絢子(新国立劇場バレエ団)、中島瑞生(新国立劇場バレエ団)、中村恩恵

演 奏:郷古廉(ヴァイオリン)、伊東裕(チェロ)

演出・振付:中村恩恵

衣裳:串野真也

舞台監督:金子芳浩

照明:齋藤茂男


6,000 円(全席指定・税込)

※SS 席と S 席があり、SS 席は舞台に近い囲み席。

U25:4,000円(枚数限定・入場時要年齢確認)

Program 1とProgram Bのセット券:10,000円(枚数限定)

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