日帰りアユタヤ【2】象に乗る
タイのガイドブックを見ていたときに、背表紙のエレファントライド写真を見つけた息子が「象に乗りたい!」と言っていたので、アユタヤに行ったら、象に乗って遺跡観光をしようと思っていました。ワット・プラ・シー・サンペット寺院のすぐ近くにある「アユタヤ・エレファント・ライド」で、価格は1名、キャンプ内1周がB200(約600円)、寺院往復がB400(約1,200円)、王宮跡往復でB500(約1,500円)・・・とガイドブックに乗っていたので、価格も良心的だし、いいじゃないかと、ここに行くようにチャータータクシーのドライバーにお願いしました。ところが、着いたのは・・・アユタヤ・エレファント・ヴィレッジなんか違う。名前も違うし、イメージとも違う。地図で見るような場所でもない。なんだろう、この怪しい安っぽい雰囲気。
ここは、事前にWEBで情報を探していたときに見た、怪しいほうのエレファントライド施設だ・・・。象に乗って遺跡を廻る、というのは確かに合っているのだけれど、その遺跡が、ぽつんと残された廃墟のようなもので、価格も高額、そして象使いに要求されるチップがとんでもなく高額(2名ライドで2400円くらい)、象使いからパールのネックレスなどを売りつけられる、それらを支払わないと象から降りられないような雰囲気に、仕方なく払ってしまった・・・というブログや口コミを数件見たところだ!でも、ガイドブックの裏表紙に乗っていた、大手旅行会社が催行するツアーで使っているのも、ここなのです。なので、怪しいと決めつけてしまうものでもないのでしょうが。団体ツアーやチャーター客を象に乗せるために作った、怪しい金儲け施設(悪い言葉ですみません)だとしか思えない。
タクシードライバーに、ここではなくて、ワット・プラ・シー・サンペット寺院近くにあるエレファント・ライドのほうに行ってほしいと言ってみたけれど、象に乗れるのはここしかないと言う。受付にいる、よく喋る女性スタッフも、とても怪しい。「アユタヤで象に乗れるのは、ここしかない!」と言い張る。受付で1名分の価格を見ると30分 B900(約2,700円)60分 B1800(約5,400円)4才の子供も大人と同料金で、家族3人で乗ったら、30分でB2,700(約8,100円)。ガイドブックに乗っているアユタヤ・エレファント・ライドと、価格も全然違う。女性スタッフは、「それは10年前の値段!日本のガイドブックは、大昔の値段をそのまま載せている。今はこの値段」だと。それなら、象に乗るのはやめるから、次の寺院に行ってほしい・・・とドライバーに言い、ここでこの価格で象には乗りません!!と断固拒否の姿勢を見せたらなにやら、ドライバーと女性スタッフが協議を始めた。小さい子供連れの簡単なチャーター客だと思ったけど、こいつは気難しい・・・とでも思われたのでしょう(笑)協議の末、「特別に、10分で1人B300というコースを作ってあげる」と言い出した。10分で1人B300だって、ガイドブックよりも高い。しかも、そんなコースができるなら、最初から書いておけばいいじゃない。もう象に楽しく乗る気分でもないので、次に行こう・・・とタクシーに乗ろうと思ったら象を目の前に見てしまっている息子が無邪気に「象さん早く乗ろうよ~」と喜んでいる・・・・そんな私たち親子を見て、ドライバーと女性スタッフが、「ほら、子供が待っているから、乗って行きなよ」と引っ張る。そのすべてが、どうにも嫌だったのだけど目の前に象はいる、子供は乗る気でいる、その状況でやめて帰ることもできなくなっていたので、仕方なく10分のチケットを購入。
以前バリ島でも象に乗ったことがあるけれど、エレファント・ライドはとても楽しい。でも、象の背中はなかなかの高さがあり、けっこう緊張するもので、子連れで長い時間乗りたいものではなかったので、ちょっと体験的に10分・・・というのは、実は丁度良かったりします。
天気も良いし、ポツンと残された廃墟のような遺跡とはいえ、風景もそれなりに良い。「象さんかわいいね」と、息子も喜んでいる。ただし、暑い中、客を乗せて歩く、この象さん。あまり元気がないというか、生き生きとした動物には見えなかった。そして、背中に付けられている布や、人が乗る台や傘がボロボロで、私はどうにも楽しい気分になれなかった。
象に乗る定番といえば、この記念写真ですが。象使いにカメラを渡すと、象使いが象から降りて、写真を撮るのです。その間も、もちろん象は動くので、乗っているほうはヒヤヒヤします。
ちょっと散歩程度の10分ライド、遺跡を降りかえしたところで、象使いによる物売りが、やっぱりありました。小さな缶からパールのネックレスを取り出して、「やすい、きれい」とカタコトの日本語。もちろん、「「いらない」の一言で。そして、乗り場に近づいたら、やっぱりありました。チップの要求。ただ、この象使いも、「この客に高額チップは要求するな」と言われていたのでしょう。「象さんのご飯を買うから、B100ください」と、控えめな要求。他のブログや口コミで見たような、1人B400、2人でB800要求されて、払わないと象から降ろしてもらえない・・・というのに比べたら、なんと控えめな。なかなかいい写真も撮ってくれたので、3人乗ってB100ならね。別に要求しなくても、きちんと仕事してくれたらお礼しますのに。象乗り場の前に、バナナが売っていて、象さんにあげられるようになっていました。
なんかもう、ここにいる象さんたちが、見世物でしかなくて、大切に扱われている感じが全然しなくて、そんなこといったら、そもそもエレファント・ライディングなんてしに行かないのが良いのだろうし、動物園だって同じなんだろうけども。子供が喜ぶと安易に思ったけど、子供を乗せるべきではなかったんじゃないか・・・と、色々考えてしまった、象乗り体験でした。
でも、バリ島のエレファントライドは、もっと楽しい気分になったし、象さんたちもきれいにしてもらって、大切に可愛がられていたから、そんなところばかりではないと思うのです。施設によるのではないかと。ここは、やり方も、象さんの扱いも、良いとは思えなかった。切ない気持ちになりながら、タクシーに戻って次に向かいました。もう怪しいところには行くなよ、と、ドライバーに睨みをきかせながら。