じぶんごと化(自分事化)についてあれこれ(書きかけ)
いろいろな取り組みの設計・企画をする際に大切にしている概念が「じぶんごと化(自分事化)」である。
自分ではじめて論文として触れたのが『気づきとアクションを生み出すフューチャーセンターのセッション設計 : しずおか消費者教育未来会議を事例として』(静岡大学生涯学習教育研究、2017)
この中でも触れているけれど、自分事とは
「テーマや問題を自分の私生活の中の出来事として置き換えることができる」、「自分ならばどうするかという問 いに答えを出すことができる」、すなわち「当事者意識の醸成」ということである。
具体的にどのように思考が巡るのか。2018年1月に行われた「社会福祉法人の未来を考える会」での発表を聞いて実際に起きたことを紹介したい。
「買い物支援」の発表から。
歩けるのは400m圏内という話があって、試しに自分の実家から最寄りのスーパーなどを調べてみた。最寄りはローソンで200mもかからないけど、スーパーまではなんと1kmもあった。社福の方のリサーチだと、ご年配の方々はコンビニではほとんどものを買わず、スーパーやホームセンターで買い物するという結果だった。そういえばばあちゃん(たしか86歳)はコンビニには行かない。今は買い物するなら母さんや父さんに車で送ってもらっている。
そして川北さんの未来予測のお話。
今年で父母が還暦を迎える。あと5年もすれば実家は65歳の父母と90歳以上の祖父母が生活することになる!←結構衝撃的
そんな5年後から逆算すると、父母の定年退職後の日常も心配なんだけど、最近父:ウォーキング、母:ゴスペルをやっているらしい。父母僕の共通趣味でゴルフもしていて、働く意欲もあるから結構アクティブ。だけど全く家から出なくなって来た祖父母のことを考えると、家族だけでは対応できなくなるし、施設や住人を含めた地域コミュニティで支え合う仕組みが必要だと痛感した。そして姉姉僕の関わり方も、今から考えねばと思う。
そんなこんなで、自治や市民活動、それから福祉施設の事業や地域貢献、ホントに大事じゃん!←イマココ
介護は置き換えやすいけれど、環境や働き方や商店街の話も置き換え方や思考の仕方でかなり自分事化するのではとモヤモヤ考えていた。
最新のじぶんごと化についてのペーパー
『小さく始めて、丁寧に育てる 対話の場のつくりかた~対話の場づくり運営ハンドブック~』特別寄稿より
「じぶんごとにする」とは、「テーマや問題を自分の 私生活の中の出来事として置き換えることができ る」、「自分ならば、どうするかという問いに答えを 出すことができる」ことです。これは決して、特別 なことではありません。例えば、「東京都の●●ちゃ んが虐待を受けて...」というニュースを目にしたと き、東京都に住んでいない人や、実際にまだ結婚も していない、子どもがいない人も、「かわいそう」「な ぜこんなことが」という気持ちが湧き上がると思い ます。トピックスの衝撃にもよりますが、知らず知 らずに私たちは、遠いどこかの出来事も自分自身に 置き換えて、様々な感情を巡らせ、想える土台があ るのです。ですが、里山や生きものの生態系の保全、 商店街活性化、空き地の活用など、どうしても一般 の人にとっては「私と無関係なこと」=「他人事」と 思われしまわれがちなテーマもあります。そういっ た分野で活動されている方は、結構な悩みですよね。 では、じぶんごと化を促していくために、どんなこ とが必要なのでしょうか?私は「対象(テーマ)と 自分との結びつきを考えてもらうこと」を大切にしています。例えば、「里山の保全」についてじぶんご ととして考えてもらう場合、いきなりこのテーマで は他人事です。なぜなら、他人事と感じている人は、 自分の過去や現在において、そのテーマを私生活の 中の出来事として置き換えることができないからです。ですが、「昔よくやっていた遊びは?」「少年時代、 生きものや植物との思い出は?」という質問をする と、不思議なことに自分の経験を語ってくれます。 過去に注目したところで、「今皆さんが話した里山の 風景は、半世紀で4割も減っています、どうしてで しょう?」「今、どれくらい里山と関わっています か?」という現代での自分自身とテーマの結びつき を見つめ直す問いを投げかけてみたりします。そし てそれを、自分だけの対話にせず、その場に一緒に いる他者との対話も重ね合わせることで、新しい発見・まなびが生まれ、その反応の積み重ねがじぶんごと化を進めるのかもしれません。つながりはつくるものではなく、すでにあるもの。 その結びつきに気づくことがじぶんごとの始まりだ と思います。結びつきに気づく問いを、ぜひ投げかけながら、じっくりと対話を重ねてみてください。