#るるぶ旅はやめた 30歳の旅のはじめ方
ヒールでカツカツ歩いて、艶めくロングヘアーをなびかせて、キレイ目のワンピース着て、
小さめのトランクを軽やかに引きながら、お気に入りの旅行地へー
私が幼い時に、「大きくなったら(たぶん30歳くらい)こんな感じで旅してるかしら。」
の妄想はこんな感じだった。カツカツ女だった。
ー 梅雨が明けていきなり殺人的な猛暑が襲ってきた2019年8月最初の週末
荷物でパンパンのバックパックを背負い、
寝癖で乱れたくるんくるんの天然パーマをキャップで隠し、
なんてことない白いスニーカーで地元の寂れた商店街を必死で走っていた。
つい5分前に家を出たはずなのに、滝のように汗が吹き出てくる。
地元の駅に着いた時には「あーこりゃダメだ、あはは」って駅で一人笑う私。
本当は今日から向かうはずだった旅先、香川・高松行きの飛行機を寝過ごした。
飛行機を乗り逃したのは人生で初めて。
起きたらとっくにチェックインを完了していなければいけない時間だった。
いきなりスタートから出鼻を自分で挫いた30歳ひとり旅。結局翌日に出発を延期した。
寝坊なんていつもしないのに、なぜ今日に限って。一周まわって笑えてしまった。
寝坊も、自分の慌てて出てきたが故の滑稽なファッションも、全部ひっくるめて楽しく思えるようになった。これはこれで面白いじゃんって。
じつは香川というか四国に行くのは初めて。
学生時代からの友人が移住して、招かれるまで正直「いつかいけたら」くらいに思っていた。
香川ってどんなところだろう。
と思って手にしたのが岡本仁さんの「僕の香川案内。」
これを読んだらすごく香川が好きになった。まだ未踏の地なのに。
「るるぶ」みたいな"いわゆる旅行本"が苦手になった。
"溢れる情報と写真のぎゅうぎゅう詰め感"が読んでいて窮屈になる。山手線で中吊りを見ているような感じ。
るるぶを読んでいると、あれこれ詰め込みたくなるし、スタンプラリーのように旅のスポットを巡ってしまう。
元々、旅の計画を念密に練りがちな性格を、るるぶがいい感じに煽ってくるのが原因だと気が付いたのは28歳くらい。
できれば、"ローカルガストロノミー"のような本と一緒に旅したいと思うようになってから、旅のすごし方、準備の仕方がすごくラクになったし楽しみになった。
るるぶ旅をやめてから、時間も心も余白のある旅ができる。自分にはそんな変化があったから。
例えていうなら、世田谷線で車窓から見える民家をのほほんと眺めているような本と一緒に旅をしたい。すごく簡単に活字で説明するとこんな感じ。
(この感覚が伝わるかわからないけれど、岡本さんの本を読んでもらえばきっと言いたいことが伝わる気がする。だから読んでみてください。といって逃げたい)
今回はこの本がぴったりだった。良い塩梅の本。
この本のおかげもあって、行く前から香川がすっかり好きになった私(岡本さんと、自分の妄想力に感謝。)。
旅の前に少し読んで、飛行機でもちょっと読んで、現地のホステルでもちょっと読んで。
もう準備は万端。
あとは土曜日の飛行機に乗り遅れなければ、きっといい旅が待っている!
「旅のスタート」も、幼い頃の私のが夢見てた「将来の旅スタイル」もちょっと全然違った。
それでも、自分流の旅の楽しみ方が30歳になってなんとなく出来てるようになってうれしい。
るるぶ旅いいけど、
私が好きなのは
ローカルガストロノミーのような本と一緒に巡る旅。
30代初めてのひとり旅がスタートしました。
*香川でも美味しいもの、たくさん見つけたのでちょっとずつ書いていきます。がんばります。