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ZIPANG-3 TOKIO 2020 人と神を繋ぐ伝統芸能(雲南市)「 うんなんの出雲神楽 ~前編~ 」

2019.08.16 15:55

はじめに 記事をお届けするに当たり、この度の九州豪雨と山形沖の地震災害、並びに近年の北海道・関西地方、並びに中国四国・九州地方他、多くの大雨・地震災害で未だ行方不明、並びに亡くなられた皆様のご冥福をお祈りするとともに、被災された全ての方々に心よりお見舞い申し上げます。


出雲神楽 大国主命(おおくにぬし)


雲南の出雲神楽とは

出雲神楽とは、岩屋戸から天照大神を引っ張り出したひとり 「アメノウズメノミコト」の舞をそのままに受け継ぐ、 出雲地方(島根県東部)に伝わる伝統芸能です。


古事記、日本書紀の「神代」には、 神楽の元となった出雲神話が多数挿入されており、 そこに登場するスサノヲ、オロチ、オオクニヌシ、イナタヒメ。


すべて雲南市を流れる斐伊川にまつわる神話です。
雲南市内には現在、15もの神楽社中があり、 出雲神楽は地域の郷土芸能として脈々と受け継がれています。

アメノウズメノミコト像(天岩戸神社)

天岩戸・天安河原


古来の舞を守り続けてきた佐世神楽社中の新しい挑戦


佐世神楽社中が新しい創作神楽を演じています。
その演目は、これまで誰も演じようとしたことのない「黄泉比良坂(よもつひらさか)です。古事記に登場する、黄泉の国(あの世)と現世(この世)との境「黄泉比良坂(よもつひらさか)」。


イザナギとイザナミの物語を神楽にしたものです。
物語の最後には、イザナギが黄泉比良坂を大きな岩で塞いでしまい、イザナミは「私はあなたの国の人々を一日に千人絞め殺しましょう」と言い、するとイザナギは「お前がそんなことをするなら、私は一日に千五百の産屋を建ててみせよう」と言って別れます。この物語を神楽で演じるとどのようになるのでしょう。


黄泉の国から帰ったイザナギは、けがれを落とすためにある泉でみそぎをします。その時、その左目から生まれた神が天照大神(あまてらすおおみのかみ)、右目から生まれたのが月読命(つくよみのみこと)、鼻から生まれたのが須佐之男命(すさのおのみこと)。


これが神話の世界で有名な「三貴子」の誕生の場面になります。 いわゆる神話のルーツといえる黄泉比良坂。そこは松江市東出雲町の「伊賦夜坂(いふやざか)」であったと伝えられるので演目は「伊賦夜坂」となっています。 是非ご覧になってみてください。

出雲神楽


出雲神楽に共通する基本的な特徴

前段は、素面のまま手に採物を持って舞う舞が行われ「七座」と総称されています。
七座に続いて「式三番」が行われます。
後段に、神話や縁起などを素材にした着面による演劇舞が続き、神能と称されています。

以上の点が出雲神楽に共通する基本的な特徴になります。


出雲國大原神主神楽保存会


保存会の構成員は神職及び社家、またその出身者で構成され、伝承する神楽は、古記録によれば江戸時代慶長年間以前と言われ、約450年以前の神楽を継承しています。


修験道の影響も残し、出雲流神楽の原型を留めているとして、昭和36年に島根県の無形文化財の指定を受けています。 特に「託宣」や「湯立て」、「二柱」の神事を継承している点で貴重であり、演目の技法にも学術的に高い評価を得ている保存会です。


当保存会は海外でのドイツ・フランス公演、文化庁主催の民俗芸能公演や研究公演、伊勢神宮や靖国神社外全国各地の有名神社や各地のイベントでの公演も手掛ける等広く活動しています。
毎年6月に古代鉄歌謡館で開催する定期公演には、遠地より多くの方々に鑑賞いただいています。


設立年 大正3年再興

保持演目 湯立神事、清目、山神祭、岩戸、茅輪、国譲、出雲大社、畝傍山、託宣神事、八頭

会員数 34人

住所 島根県雲南市大東町上久野

地区 大東町


山王寺和野神楽社中


神代神楽は「古事記」、「日本書紀」の神話をモチーフにしたものが多いのですが、日本神話の3分の2は出雲神話で占められています。


その出雲神話の舞台となった地、雲南市大東町山王寺(和野)地区におよそ400年の伝統を持つ「海潮山王寺神楽」があります。風(舞)流の美しさや奥深さが高く評価され、昭和36年に県の無形民俗文化財に指定されました。


明治34年出雲大社宮司に認められ、出雲大社教神代神楽本部となって以来110年来毎年出雲大社大例祭(5月14日~16日)には三日三夜神前にて奉納しています。

出雲大社 神楽殿※


昭和40年には出雲大社において天皇、皇后両陛下の天覧の光栄にも浴したほか、伊勢神宮、橿原神宮、明治神宮奉納をはじめ、国民文化祭、アメリカジャパンウィーク、ドイツ公演など、海外でも日本の伝統文化を披露する機会を得ております。


設立年 およそ400年前

保持演目 国譲 国造 簸の川大蛇退治

会員数 12人

住所 大東町山王寺

地区 大東町


佐世神楽社中


古老によると相当昔から舞われていたようですが記録になく、記録として昭和5年に佐世小学校の竣工式に付近の若者たちにより舞われたとのことが残っています。


古くより神主神楽の流れを汲んで、優雅な舞いであるとされていました。
昭和63年、大東町の無形文化財と認定され、同時に出雲大社教神楽としても登録されました。
現在、20代から60代まで12名が技術を受け継ぎつつあります。


佐世神楽社中だけが演じる『佐世の木』という演目があります。
さらに、佐世神楽社中が新しい創作神楽を演じています。その演目は、これまで誰も演じようとしたことのない「黄泉比良坂(よもつひらさか)※」です。
古事記に登場する、黄泉の国(あの世)と現世(この世)との境「黄泉比良坂(よもつひらさか)」。イザナギとイザナミの物語を神楽にしたものです。

お面は怖いですが、ユニークな神楽になっています。是非一度ご覧ください。


設立年 昭和5年

会員数 12

住所 島根県雲南市大東町下佐世

地区 大東町


※黄泉比良坂(伊賦夜坂)

伊賦夜坂(いふやざか)松江市東出雲町

伊賦夜坂(いふやざか)

※黄泉比良坂(よもつひらさか)

黄泉比良坂黄泉(よみ)の国(あの世)と現世の境界とされ、古代出雲神話の中で、イザナギ(伊邪那岐)命が、先立たれた最愛の妻イザナミ(伊邪那美)命を慕って黄泉の国を訪ねて行かれるその入り口が黄泉比良坂であると伝えられ、古事記ではこの地を出雲国の伊賦夜坂(いふやざか)であるとしています。

「神蹟黄泉比良坂伊賦夜伝説地」と刻まれた石碑が建っています。



槻屋神楽保持者会


日本最古の歴史書「古事記」に記されている八岐大蛇退治。
須佐之男命が、八岐大蛇を退治された斐伊川上流の地、その伝説の地に生まれ継承されてきた神楽です。 近くには「大蛇神社」、大蛇の棲み家だったといわれる「天が淵」、退治された大蛇の頭が埋められたと伝えられている「八本杉」等の八岐大蛇退治にまつわる伝説の地が数多く点在しており、まさに神話伝説の地であります。


槻屋神楽は、素朴な古典神楽であり、舞い、舞所の切飾り等に修験神楽にも通じる要素を多分に残していることから、原出雲神楽を知る重要な手がかりを残しているとして、島根県指定無形民俗文化財に指定され、昭和53年には文化財保護法による「記録作成の措置を講ずべき文化財」として選定されています。


特に「亥日祭(いのひまつり)」は他の社中にない舞であり、また「八戸」(八岐大蛇退治)は多くの社中で舞われているものの、当地域がその伝説の地であり、その伝説にふさわしい雰囲気と迫力、さらに優美で幽玄な舞として評されています。


設立年 不明 

保持演目 国譲、八戸、亥日祭、山神祭新式、田村、天神、五行、茅ノ輪、日御碕

会員数 12

住所 島根県雲南市木次町湯村

地区 木次町


須所若獅子会


出雲市 朝原笙友会の指導で、平成11年に発足しました。
須所公民館を練習会場に、週に一度の練習を行っています。
須所八幡宮例祭に奉納するほか、各種イベントや他の神社での奉納も行い、近年ではみとやっこ祭り等に出演して好評を博しています。


まだまだ歴史の浅い神楽社中ではありますが、地元の皆さんなどの支援の元がんばっております。


設立年 平成11年

会員数 9

住所 島根県雲南市三刀屋町須所

地区 三刀屋町


小河内神楽社中


小河内神楽は約200年前の日本初之宮須我神社の古文書にも記録が残っており、その頃から続いている神楽であります。


現在12名のメンバーでこの神楽を継承していますが、集落を流れる斐伊川の支流赤川の源流域で源氏ホタルの名所でもあり、「ホタルと神楽の里小河内」を謳い文句として毎年のシーズンにはホタル観光に併せて地元神楽を上演し、初夏の夜を賑やかに演出しています。


なごやかな集落のシンボルでもある神楽社中であります。


設立年 文化8年頃

会員数 12

住所 島根県雲南市大東町小河内

地区 大東町



続く・・・



編集後記

台風後の突風に乗って遠くから郡上踊りの歌が流れてきます。
町中が待ちに待った盆踊り。三味線、太鼓、笛の音をバックに人々のさんざめき、浴衣姿の踊りの輪を瞼に描きながら編集作業に没頭している間、嗚呼〜大失態!
待ったなしの締切り時間が過ぎてしまった〜
で…少し時間を巻き戻し投稿のおゆるしを・・・。 


本日はこれにて乞ご寛容!実は今夜は郡上踊り「徹夜踊り」の最終日なのでした・・・
この続きは次号へといたします。 

郡上のナー八幡 出ていく時は(ア ソンレンセ)  雨も降らぬに 袖しぼる
袖しぼるノー袖しぼる(アソンレンセ) 雨も降らぬに袖しぼる・・・



鎹八咫烏 記
伊勢「斎宮」明和町観光大使



協力(順不同・敬称略)

一般社団法人 雲南市観光協会 〒699-1311 雲南市木次町里方26番地1 TEL(0854)42-9770

一般社団法人 松江観光協会 〒690-0874 島根県松江市中原町 19 TEL. 0852-27-5843

天岩戸神社 〒882-1621 宮崎県西臼杵郡高千穂町岩戸1073番地1 TEL:0982-74-8239

経済産業省 〒100-8901 東京都千代田区霞が関1-3-1 代表電話 03-3501-1511


出雲大社 〒699-0701 島根県出雲市大社町杵築東195 TEL.0853-53-3100


※出雲大社 神楽殿

神楽殿は本来、千家國造家(出雲大社宮司家)の大広間として使用されており、「風調館(ふうちょうかん)」と呼ばれていました。明治に入り、出雲大社教が設立されてからは出雲大社教の神殿としても使用され、現在では國造家大広間、並びに出雲大社・出雲大社教の神楽殿として御祈祷や結婚式をはじめ様々な祭事行事が執り行われています。


昭和56年に出雲大社教が特立100年を迎えた折、現在の神楽殿として規模を拡張して建て替えられました。その大広間は270畳の広さを誇り、神社建築にはめずらしく正面破風の装飾にステンドグラスが使われています。


正面の大注連縄は長さ約13メートル、重さ5.2トンに及びます。この大注連縄は数年に一度、新しい注連縄へと懸け替えられます。そして、神楽殿前庭には高さ47メートルの国旗掲揚塔が聳え立ち、揚げられる国旗は75畳(タテ8.7メートル・ヨコ13.6メートル)の大きさです。


また、神楽殿後方には出雲大社宮司家の祖先神や天満宮などをお祀りした鎮守社が並び、国旗掲揚塔の南には祓社、金刀比羅宮が並んでお鎮まりです。



ZIPANG-2 TOKIO 2020「 八雲立つ出雲の国が神の国 ~出雲大社~ 八百萬の神々と共に 」


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