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水銀ノ猫 岩田圭音

版画と装身具

2019.08.25 10:20

私は絵を見るのが好きです。

自分なりに、

満足ゆくまで描くのも好きです。


好きな画家も沢山います。


自然はそれ自体で素晴らしいのですが···

近所の柳の林を見れば、

「わぁ、モリスみたいだなぁ」とか、

実家の裏の田んぼの向こうにある古い水門を見れば、

「牛島憲之の絵だなぁ···」とか、

自然を見て誰かの絵を思い出すのも好きです。

(牛島憲之の作品は、群馬県立近代美術館の常設コーナーにあります。「五月の水門」というタイトルです。ただし、作品の入れ替えで、展示していない時があるかもしれません。)



とにかく絵が好きなので、

絵の描いてある装身具を作っています。


絵のある装身具のきっかけとなったのは···


かなり昔のある日、

アンティークのポーセリンブローチを目にする機会がありました。


それは、小さな磁器のメダルに、

女性が描かれたもので、

私は、

「なんと!絵がブローチになっている···!」

と驚いたわけです。


絵が身につけられるなんて素晴らしい!


小さな画面に繊細なタッチで人物が描かれているのも素晴らしい!


アンティークジュエリーを扱う方にうかがったところ、

かつてのヨーロッパでは、モーニングジュエリーとしても、多く存在していたとか。


それ以来、しばらく陶板画にはまり、

当時はKPM の陶板画の本を見たりして、

すっかり磁器絵付けを習う気になっていました。

名古屋に住んでいたら、

ノリタケに飛び込んでいたと思いますが、

結局、近隣に教室がなく、

行かず仕舞いに終わりましたけど。


生まれ変わったら磁器絵付け師になりたいですね···



話が逸れましたが、

今の私の作品は、

アンティークのポーセリンブローチを見たのがきっかけです。



エッチングで装身具を制作するのは、

エッチングが自分の表現に合っているからです。


装身具に、敢えて版画を添えているのは、

金属上で見る絵と、紙に刷った絵とでは、

見え方が違い、

版画は版画で美しいものだからです。


版画だけの目的で作る版に比べると、

(深い腐蝕が必要なので)トーンの繊細さに欠けるところはありますが、

きれいに見える、きれいに刷れるような工夫を実に様々に行っているのですよ。