「きりのなかのはりねずみ」ノルシュテインとコズロフ 作 ヤルブーソヴァ 絵 Yozhik v tumane
先日紹介しましたノルシュテインとヤールブソヴァの絵本の他の作品が入荷しました。絵本ではこの作品が日本では一番良く見掛けるでしょうか「きりのなかのはりねずみ」です。
この絵本を紹介するにあたってアニメーション作品も見たのですが、とても素晴らしい作品で、樫の木を見あげるシーンの美しさには思わず声を上げてしまいました。
アニメーション作品の方も素晴らしいですが、こちらの絵本も劣らず美しい作品です。というのもノルシュテインの伴侶で、この絵本の絵を手がけているヤールブソヴァはアニメーション作品の「きりのなかのはりねずみ」では美術監督を務めていたようです。絵本になっても、この作品の素晴らしさに陰りは見えません。
日が沈み、ハリネズミは、友達のこぐまの家に出掛けます。ふたりでお茶を飲みながら、星を数えるのです。ハリネズミは星を眺めながら歩き、霧の中へ入っていきます。
そこには白馬や、銀色の蛾がいて、ハリネズミを驚かせ、そしてふとしたはずみでハリネズミは川へ落ちてしまったり。
なんとかこぐまくんの家にたどり着き、二人で星を眺めながら、やっぱりこぐまくんといるのは良いなと思いながら、霧の中の白馬のことを思い出しもします。
静謐で幻想的なイメージの中で展開するハリネズミの道中は、小さな子どもの冒険と重ねられるでしょうか。夜がまだ怖かったり、世界が未知のものに溢れていた頃の、好奇心と憧れと恐怖心が混ざった感覚を思い出させてくれるようです。
そんなちいさなものの冒険にも、何処か優しいまなざしで包まれている印象を与えてくれるのはノルシュテインの手腕なのでしょう。なかなか言葉では言い表せないほどの不思議な魅力に満ちた、素晴らしい作品です。
絵本を読んだ方はアニメーション作品の方も、アニメーション作品を見たことのある方は、絵本も見ると、相互に魅力が補完されるように思えますので、どちらもお薦めです。
当店在庫はこちらです「きりのなかのはりねずみ」