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ゆとりらYOGA

ドキュメンタリー映画「99歳 母と暮らせば」を観ました

2019.08.22 05:54

認知症を抱える99歳の母親を、自身も71歳と高齢の映像作家・谷光章監督が介護する日々を、ほのぼのと描いたドキュメンタリー。「華 いのち 中川幸夫」「DX(ディスレクシア)な日々 美んちゃんの場合」などのドキュメンタリー作品を手がけてきた谷光監督の母親・千江子さんは認知症を患っており、足腰の衰えも進行して一人暮らしが不安なことから、息子である71歳の谷光監督が同居し、介護することになった。老老介護に苦心しながらも、母の人生最後の日々を撮影していく谷光監督。毎日のように起こる失敗や苦難、そして母のチャーミングな一面をカメラは捉え、その日々を通して、介護され、介護する人たちがともに幸せに暮らせる介護とは何か、そしてともに生きることの愛おしさなどを描き出していく。(映画.comより)


お母さん99歳!息子71歳!という絵に描いたような老々介護の日々が綴られているのですが、悲壮感はなく、のんびり、ほのぼの~という感じ。
でも当然、これらは「切り取られた」映像だということが分かるので、温かいやり取りの合間には、厳しい時間もあるんだろうなあ…と思わされます。

介護あるある的なきっついシーンは出てきませんが、それでも、お母さんが下の粗相をしてしまうところや、あと、このお母さんはずーっと腰痛に悩まされているのですが、怪しい治療法にも行ってみた、といってチラッとそれらしきシーンが出てくるところなんかは、ちょっとドキドキ。

(おにぎりを食べてる最中のお母さんにトイレでの失敗のことを聞き、同時にその失敗現場(!)がカットバックで映った時はさすがに「うわあ~これ…どう思えと?」的な感情になりました…)


お母さんは腰と背中が痛いと息子を呼び、揉んで~、叩いて~、と懇願する。

息子が(なんせ71歳なので、「中腰でしんどいんやで!」と)渋りながらも軽ーく背中をマッサージ風に揉んだり叩いたりすると、嬉しそうに、あーそこそこ、はーありがとー、サンキュウベルマッチ!とか言うww

コルセットや鍼灸より、肉親の手当ての方がずっと効くんだろうな。


このお母さんは、もともと朗らかで活動的だったようで、息子である監督は、きっとそんなお母さんのことが大好きなんでしょう。掛け合いも面白く、息が合ってる感じがめっちゃ微笑ましい。

そして、このチャーミングなお母さんを見ていると、善き老後を過ごす、善き死に方をする(このお母さんは現在もご健在のようですが!)、というのは、そこに至るまでの過ごし方に依るのだなあ、と。
若い時から怠けずにきちんと生きていくことの連なりが、そのまま、老後~死、に伸びていくんだなあ、と。

自分も、20年後にはこんな風に親を介護するのかもしれない。

自分を大きく包み込んで保護してくれていた親が、おむつをしたり駄々をこねたり…それを当たり前と受け入れて接することが出来るだろうか。

施設のお世話になる、とか、家族だけで抱え込まない、という物理的問題の前に、家族の心の持ちようを問われるのが「親の介護」というプロジェクトなんだと思います。

そうそう、このお母さん、幻覚も見えてて、自分がデイケアで作ってきた工作のお雛様が動きだしたり、あと、真夜中に2階から知らないおじいさんがやってきたり…このあたりの実況中継に爆笑しました。
自分の親なら怒鳴ってしまいそうですが…客観的に見るとめちゃくちゃ面白い。

常に引いた視点が大事ということですね!


大阪ですと、十三のシアターセブンで上映中です。