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急性発熱×脉診流経絡治療

2019.08.30 22:36
症例 治療1回目(8/31朝)

☑患者 中1の長男。

☑主訴 発熱、頭痛、体が熱い、しんどい。

☑現病歴 早朝、息子がハアハア言いながら起きてきたので、何事かとリビングに行くと、熱が高くしんどいとのこと。

検温すると39度ある。

なくほどしんどい、頭痛は前額部と頭頂部、とにかく体が熱い熱いと言っている。

無汗。

☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑脉状診 浮、数、実。

☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑証決定 腎虚証。

☑適応側の判定 病症に偏りなく男の子なので左。

☑本治法 銀1寸3分1番鍼で左太谿を補う。右関上浮かして胃の脉位に浮いた虚性の邪を脉位の右胃経を切経して最も邪気実が客している上巨虚から堅に応ずる補中の瀉法。

☑標治法

適応側と反対の右側から左側の順に両手の水かきの部に瀉的に刺鍼。

全身に気を巡らせるように散鍼。

後頚部~肩背部には瀉的に散鍼。

☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。

治療2回目(8/31お昼)

☑経過 少し元気になっている。38度。頭痛はなし。汗はまだかかない。

☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑脉状診 浮、数、実。硬さがマシ。

☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑証決定 脉証腹証一貫性より腎虚証。

☑適応側の判定 左。

☑本治法 太谿を補う。

☑標治法 両手に水かきの鍼、全身に散鍼。

☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。

治療3回目(8/31夜)

☑経過 座ってられるようになったり、横にならなずにおれるようになったが、夜になってまた熱が上がってきた、額と頭頂に頭痛がある。

☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑脉状診 浮、数、実。昼より締まりがあって輪郭がある。

☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑証決定 腎虚証。

☑適応側の判定 左。

☑本治法 左太谿に補法。右上巨虚に枯に応ずる補中の瀉法。

☑補助療法 

☑標治法 水かきの鍼×散鍼。

☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。

☑治療後 頭痛消失。ようやく汗をかきだした。

治療4回目(翌9/1の夜)

☑経過 今朝37度に下がる。1日を通じて楽に過ごせた。夜になってまた38度にあがってきたが、体が熱いだけでしんどさはない。

☑経絡腹診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑脉状診 浮、数、やや実。ずいぶんと硬さがとれ柔らかくなっている。

☑比較脉診 腎肺虚、脾心実、肝平。

☑証決定 腎虚証。

☑適応側の判定 左。

☑本治法 左太谿に補法。右上巨虚に枯に応ずる補中の瀉法。

☑標治法 水かきの鍼。3~4指間からやや出血。こういうのはいい兆候。出るものは出す。全身に散鍼。

☑止め鍼×セーブ鍼 中脘穴→非適応側の天枢→適応側の天枢→下腹部正中にの最も虚した箇所に火曳きの鍼→百会左斜め2~3㍉後ろの陥凹部に補鍼。

☑治療後、即座に37度3分まで下がる。

☑経過 今朝(9/2)36度4分、解熱、治癒。 

急性発熱の病因病理

以前に投稿した記事をご覧になってください。

消炎鎮痛解熱剤×抗生剤を使う?使わない?

今回は病院に行ってないのでわかりませんが、例えば風邪だとしたら、洋薬は使わない方がよろしいでしょう。

抗生剤は風邪にはほとんど無効ですし、解熱剤や消炎鎮痛剤を使うと治りが悪くなるからです。

消炎鎮痛解熱剤は、急性発熱時に現れる痛み・発赤・腫脹・熱感を和らげてくれますが逆に治る時期を遅らせます。

先ず、発熱の意義ですが、

  1. 病原体は高温下ではその複製が抑制されるか死滅する。
  2. 免疫担当細胞は高温の方が活性化する。

ということで、発熱は感染に対抗するための生体反応です。

そしてさらに、

  1. 痛みは警告反応と過度な動きの制限。
  2. 発赤は血液が集まって代謝を促進
  3. 腫脹は白血球やリンパ球が集まって感染を防ぐ。
  4. 熱感は免疫力を高めるめに発熱している。

ということで、炎症反応は障害部位を守り治す反応なのです。

ですので、消炎鎮痛解熱剤は炎症を抑えて痛み・発赤・腫脹・熱感を軽減し、苦痛を和らげてくれますが、それと引き換えに直接の治す反応(炎症)を抑えるので症状は軽減するが治るのは遅くなる(問題の先送り)ということになります。


詳しくは、以前に投稿した記事の後半にまとめてありますのでご覧になってください。

注意事項

とはいえ、こらアカンと思ったら病院に行きましょう。

ある程度技術がないと全く効きません。

臨床経験の浅い方も無理せず病院に行きましょう。

次に該当する場合も病院を受診してお薬をいただいてください。

消炎鎮痛(解熱)剤の適応
  1. 痛みや炎症が生活に差し障るほど激しい場合。→激しい痛みが持続すると脳の可逆性に問題が起きる。
  2. 大事な要件があり、高熱や痛みにより適えることが難しい場合(EX.子供の結婚式、大事な契約 etc.)
  3. 持続する痛みや高熱により食事が摂れなくなり、体力が著しく落ちた場合 etc.
  4. 慢性疼痛で痛みの悪循環を断つ。