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キリスト教で読む西洋史ー聖女・悪女・聖人・皇帝・市民

万能の人13-ミケランジェロ墓から天井画へ

2019.08.31 04:31

1505年、ミケランジェロは教皇ユリウス2世にフィレンツェからローマへ呼び出された。ユリウス2世も軍事力で教皇領を守り、ヴァチカンの権威を高めようとの野望をもっており、アレクサンデル6世に負けずのハデ好き。彼は自分の墓を作るように命じられた。

その墓は幅7.2m、奥行き10.8mに加え、40体以上の彫刻を備えるというこれまたドハデ。まてまてローマ皇帝の墓かよ?これもヴァチカンの権威を高めるためと考えていたようだから、アレクサンデル6世だけでなく、この時代は世俗主義に相当犯されていたのだろう。

しかしもっと大きなプロジェクトがあった。サンピエトロ大聖堂の建替えである。この総責任者がドナト・ブラマンテである。最初は大きなドームを持ったギリシャ十字の聖堂であった。それだけでもお金がかかるのに、自分の墓で金を浪費されてはたまらん。

そこでブラマンテは一計。「社長じゃなかった聖下、システィナ礼拝堂の天井画を描いてはいかがでしょうか?」「おおそれはいい考えぢゃ、して誰に描かせる?」「ミケランジェロがよろしいかと」「いや彼はワシの墓を」「いや彫刻や建築に比べたら絵画なんかサッサッサーと描くだけ、すぐ終わりますよ」

こうしてミケランジェロは天井画を描くことになった。