Ameba Ownd

アプリで簡単、無料ホームページ作成

モータースLIVE

松尾貴志

2019.09.16 15:00

お疲れ様です。

ピン芸人の松尾貴志といいます。

よろしくお願いします。

芸歴2年目の24歳で養成所の頃から1人でお笑いをやっています。

よく

「コンビ組まないの?」

と言われたりするのですが今のところ

ピンでやっていきたいと思っています。

理由としてはピンだとネタ中の笑いをひとりじめできるということ、

またライブでお笑い界の主役であるコンビ(個人の意見です)にウケの量や

順位で勝ったときに死ぬほど気持ちがいいからです。

1位になったときなんておそらく脳から変な汁が出ていると思います。

あと相方がいないのでネタの練習のタイミングが自由というのもあります。

結局のところこれが1番大きな理由です。

要は面倒くさがりなんですね。

僕が1人でお笑いをやる言い訳コレクションはさておき、モータースライブです。


モータースライブとは主催者であるヤマザキモータースさんのもとで200組以上の芸人が

戦いを繰り広げるライブです。

Sランク(レフカダ)、AとBランク(ドーン)、CとDランク(ミネルヴァ)

5つのランクがありSランクが1番上のランクになります。

僕はCとDを行ったり来たりしていて、最高でもBランクまでしか行ったことがありません。

Sランクにいるピン芸人は少ないのでそのうちの1人になりたいと思っています。

このライブは毎月行われるので主催者のヤマザキさんに月に1度以上は

お会いするのですが、そのたびに思い出す出来事があります。

それは僕が養成所に入って初めて1人でネタをやったときのこと。

養成所内で最初に行われる学内ライブで僕はネタを披露しました。

そのころは相方がほしいと思っていたのですが周りに馴染めていなかったので

仕方なく1人でネタをやりました。

ネタ見せ(講師にネタを見せてダメ出しを貰うこと)も

していなかったので、同期に向かってネタを披露するのは初めてでした。

1人でも自信があったので意気揚々とライブに臨んだのを覚えています。

ネタの内容は痴漢のやり方を電話で教えるという内容のもの。

しかし結果は散々でした。

1ウケもせず、ずっと無音の状態が続いたのです。

それからライブが終わるまでのことはあまり覚えていません。

順位は確か最下位から2番目とかだったと思います。

ライブが終わった後、審査員の講師の先生たちにダメ出しをもらう時間があるのですが

「笑いどころがない」

とか

「何がしたかったんだ」

などと言われ完全に鼻を折られま した。

そんな中最後にダメ出しをくださったのがヤマザキさんでした。

僕は大学時代有吉弘行さんのラジオをよく聴いていてそれがきっかけで太田プロの

養成所に入ったのですが、そのラジオに出演されていたためヤマザキさんのことを

存じ上げていました。

僕はヤマザキさんに対して

「穏やかで優しそうな人」

という印象を持っていたので

この人なら何か前向きな言葉をくれるかもしれないと思い最後の希望を持って

ヤマザキさんのところに向かいました。

しかし予想とは大きく違う言葉が出てきました。

「あのな、お前がやってたことは小学生が『うんこ』って叫んで喜んでんのと一緒やで」

険しい表情を浮かべたヤマザキさんにそう告げられ、僕は驚きました。

「うんこ」

と叫んで喜んでいるつもりは全くなかったからです。

それがショックで帰りの電車内で竹原ピストルの曲を聴きながら大泣きしたのを

今でも覚えています。

(上京して初めて出たライブでスベったのを悔しがって電車内で泣いている、そんな自分に酔っていた節もあります)

そんな出来事を毎月ヤマザキさんにお会いするたびに思い出すわけです。

この文章を書くにあたりトラウマで押し入れにしまっていたそのネタの台本を

引っ張り出して見てみたのですがひどいものでした。

「うんこ」

と叫んで喜ぶどころか

「うんこ」

そのものをお客さんに投げつけて

喜んでいたのです。

そんなネタでした。

うんこを投げつけられて笑う人はいませんね。

小学生もドン引きです。

ですからヤマザキさんの言葉は全面的に正しかったのです。

もちろん愛を持っておっしゃっていたのだと今ではわかります。

そのぐらいお笑いに熱くて厳しい方です。

だからこそたまに褒められた時は思わず頬が緩みそうになります。

忘れられないその出来事から約2年半。

あの日の自分よりは面白くなったと言い切れます。

とはいえ爆発するほどウケる日もあれば未だに

「うんこ」

と叫んで

喜ぶようなネタを自覚なしにやって死ぬほどスベる日もあります。

(何回もうんことか言って申し訳ないです)

そんな喜びや悔しさを1人で嚙みしめている瞬間がまさにピン芸人をやる醍醐味です。

もちろん僕以外の芸人もモータースライブにはたくさんいてそれぞれが

「おもしろい」

と思っていることを毎月本気でお客さんにぶつけています。

画面越しでは味わえない魅力がこのライブには詰まっているのでぜひ一度劇場に

足を運んでみてください。

ここまで長文大変失礼いたしました。

感動の涙で視界がぼやけて画面がろくに見えてないと思うのでこのあたりで

筆をおかせていただきたいと思います。

ありがとうございました。

これからよろしくお願いします。

松尾貴志