声を出して 7
今までも人の注目を浴びた事はあったけど、スンジョ君が親たちの前で結婚宣言をしてくれてからは、妬むような視線や陰口は気にならなかった。
どんなに意地悪をされても、私と結婚したいと言ったスンジョ君の言葉は聞き間違いではないから。
でも・・でも・・・またいつもの私の妄想だと考えてしまうと、妄想なのかもしれないと思ってしまう。
それは、私の自信の無さなのかも。
「ハニィ~」
キャンパス内の上り坂を軽くスキップをするように上がっていると、聞き慣れた声に呼ばれた。
ハニはその声に振り向いて、笑顔で手を振った。
「あ~この上り坂を走って上がるのは、私には辛いよ・・・・・はぁ・・はぁ・・」
「ジュリは太り過ぎよ。」
仲良し三人のうちのジュリだけは、大学に進学をしないで自分の好きな道を、早くに見つけてそれに向かって進んでいた。
見習いの立場だから、頻繁にはパラン大学には来られないと言っていたのに、ほんの短い時間でもハニとミナに会うために来てくれていた。
「昨日、大学の掲示板に貼り紙を見たのだけど、本当の所はどうなの?」
「私が結婚するって言う貼り紙の事?」
「うん、そうそう・・・」
「本当だよ。」
「え~!!」
信じられないと言う感じのミナとジュリ。
一番信じられないと思っているのは、ハニ自身なのだから驚くのもおかしくはない。
「どうしてまた、ハニがペク・スンジョと結婚をする事になったのよ。この間までペク・スンジョはユン・ヘラと結婚するって言っていたし、ハニはハニでジュングにプロポーズをされたって言っていなかった?」
「言っていたよ。結局、スンジョ君は私の魅力に気が付いたのが、ジュングにプロポーズをされたのを知ってからだった・・・ってこと?」
ちょっと話を盛って言った感はあるけど、それくらいの事は許して貰おう。
だって、どうしてスンジョ君が私と結婚したいと言ったのか、よく言われた本人が判らないのだし、言った本人に聞いても、きっと教えてくれない事は判っているのだから。
「そうか・・・まっ、とにかくハニの肩想いが6年半かかってやっと実ったってことで・・・・」
「おめでとうだよね。」
「ありがとう。」
好きだと言う告白を通り過ぎて、行成りの結婚宣言に戸惑ってはいるが、スンジョとの結婚はハニの叶う事のない夢でもあったのだから、順序がどうであれ嬉しくて仕方がない。
「いつ結婚式をするの?」
「私が大学を出て、おじさんの会社が軌道に乗ってからになるから、まだもう少し先かな?」
「お互い気持ちが通じ合ったのだから、待ちきれないものがあるだろうに・・・」
校舎の屋上で大きな声を出して叫びたいくらいに、今は嬉しくて仕方のないハニだった。