税務調査で慌てないために③
Q 前月号の続きとなりますが、税務調査でチェックされやすい6つのポイントについてどのような点が問題になりやすいのか教えてください。
A. 前回、前々回にわたってお伝えしてきました税務調査編、いよいよ最終回です。早速6つのポイントについて見ていきましょう。
① 期末の収益・費用が正確に計上されているか
調査でまず確認されることは、期末日付近の取引です。ポイントは今期に計上すべき収入が来期に、来期に計上すべき費用が今期に計上されていないか、という点です。特に締日が月末でない場合、締日後以降の処理が漏れないように注意しなければいけません。
② 組合員との取引関係が整理されているか
組合員との取引で注意しなければいけない点は、組合と組合員の処理が統一されているか、という点です。
例えば、組合が所有する不動産を修繕するために、組合員から修繕負担金を徴収する場合、組合では預り金(負債計上)、組合員は修繕費(経費計上)では好ましくありません。組合が負債ならば組合員は資産、組合が収入ならば組合員は経費、といったような処理の統一を図るべきだと思います。
また、この論点は消費税にも言えますので、組合が不課税ならば組合員も不課税、組合が課税ならば組合員も課税処理に。
③ 給与(理事への報酬含む)関係の処理は適正か
理事への報酬は原則として毎月同額でなければ、損金として認められません。
例えば、報酬は「出勤1日あたり〇万円」で出勤日数は毎月バラバラの場合、月額で支給金額が異なるので損金として認められません。このような組合は早急に支給方法の見直しをお勧めします。
また、「常務or専務」事務局長に賞与を支給しているケースも注意が必要です。使用人兼務役員として、事務局長には使用人分の賞与を支給している、との認識だと思いますが、原則として、兼務役員が認められるのはヒラ理事までであって、専務や常務は使用人と兼務することが税法上認められていません。
④ 交際費と周辺科目は検討されているか
組合は組合員どうし顔を合わせること自体が重要なため、組合員の親睦旅行や総会後の宴会、新年会等、通常の会社よりもいわゆる遊興費は多くなる傾向があります。このような支出こそ、しっかりと目的、場所、参加者を帳簿書類に明記して領収書や請求書を保存しておきましょう。このような支出を仮装、隠ぺいすると、理事の賞与であるとの認定や使途不明金、重加算税といった、相当のペナルティを負う可能性があります。
⑤ 利用分量配当金はきちんと計算されているか
利用分量配当で気を付けるべき点は、配当金が事業利益の範囲内であるかどうか、配分が出資割合等ではなく、しっかりと利用料に基づいて配分されているかどうか、という点です。利用分量配当は税金対策には大きな力を発揮する反面、要件の確認を怠れば、税金のみならず、違法配当という理事の責任問題まで発展する可能性がありますので、慎重に計算を進めてください。
⑥ 証憑書類の保存は適切か
帳簿書類の保存期間は明確な決まりがあります。その保存期間を待たずに書類を破棄することは、税務調査で非常に不利になります。もちろん税務調査関係なく帳簿書類はしっかりと整理し保管しなければいけません