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もう国には老後を頼れない・・・若者に年金生活なし。

2019.09.03 10:14

 MONEY VOICE 


 【転載開始】


 若者に年金生活なし。 

選挙対策で発表を遅らせた年金財政検証で 

見えた悲惨な老後 2019年9月2日  


もう国には老後を頼れない・・・

年金破綻か、雀の涙でも制度維持か 

※長文ですが重要なので全文載せます。


 ■選挙前にはとても公表できない内容  


 厚生労働省は8月27日、従来の発表 

時期よりもかなり遅れて、年金の財政 

検証結果を公表しました。 

財政検証とは、5年に1度実施する公的 

年金の「健康診断」のようなものです。 


 今後の経済成長、賃金物価の上がり 

方などによって、現役世代の収入も 

年金額も変わってくるので、経済の 

状況をいくつかのケースにわけて、 

それぞれに将来の現役世代の手取り額 

と年金額を推計しています。 


 従来、この結果は5月ごろに発表され 

ていたのですが、今回はその発表が 

約3か月遅れました。 

なぜなら、その「検診」結果が思わしく 

なく、7月の参議院選挙前に国民を 

がっかりさせる内容を公表して選挙に 

影響が出ることを政府が恐れたためと 

見られます。 


 実際、今回の検証結果からは、若者が 

将来、年金では暮らしてゆけない悲惨な 

結果が提示されています。


 ■年金に回る分は年々低下 


 2019年度の現役世代の月平均手取り額 

は35万7千円となっています。 

実感より多いと感じられそうですが、 

これにはボーナスも含めた平均月額を計算 

しています。 


 これに対して今年度の年金額は約22万円 

です。  


 この現役世代の手取り額に対する年金額 

の割合を「所得代替率」といいますが、 

今年度は61.7%となります。 

つまり、今年の年金支給額は現役の手取り 

額の6割強ということになります。  


 そして今後この「所得代替率」がどうなる 

かの試算を、今後約30年の経済成長ペース、 

物価上昇率、生産性上昇率、賃金上昇率、 

労働参加率などの状況から6つのケースに 

わけて試算しています。  


 このうち、経済が最も順調に進んだ 

ケース1の場合、 

つまり年平均成長率が0.9%、 

物価上昇率が2%、賃金上昇率が1.4%、 

労働参加も進むといった楽観的ケース 

でも所得代替率は2046年で51.9%と、

大幅に低下します。 


 もっとも、年金額自体は22万円から24万円 

に増えるのでごまかされそうですが、その間

 に現役世代の所得や物価水準がより大きく 

上昇するので、このケースでも年金の相対的 

な価値は16%も減ります。 


 仮に今後の成長率がゼロになり、物価が 

今と同じ0.8%程度の上昇で、賃金も同程度 

の増加となると、所得代替率は2052年に 

46.1%に低下、50%を確保するという政府 

の約束を守れなくなり、実質的には35%も 

目減りします。 


 その上、年金の積立金が枯渇して、今の 

制度が維持できなくなります。


 ■支給開始後も目減りが続く  


 問題は、30年後に今の若者が年金を支給 

される際に、所得代替率が50%強、つまり 

現役世代の手取りの半分を支給されると 

しても、その比率が以後も保証されるもの 

ではないことです。 

支給開始から20年、30年と経つうちに、 

この所得代替率はさらに低下して、いずれ 

現役世代の手取りの半分以下になります。  


 そしてもう1つ、支給される年金額は 

すべて使える「手取り額」ではなく、 

ここから税金や社会保険料(介護保険料など) 

を払います。 

現役世代の「手取り額」に対して51.9%とか、 

46.1%とか言っても、年金受給者はここから 

税や介護保険料など社会保険料を払うので、 

同じ手取りベースの所得代替率はさらに低く 

なり、現役の半分には遠く及ばない額しか 

使えません。


 ■非正規の無年金予備軍 


 さらに、この財政検証の前提は、労働者が

60歳まで年金保険料を払うことを前提にして

います。  


 しかし、最近は労働者の4割近くが 

非正規雇用になっています。 

政府が率先して非正規雇用を推進したのは、 

企業が社会保険料負担を回避し、企業の 

人件費負担を抑えるためでした。 

裏を返せば、この制度のおかげで、パート 

タイマー労働者など多くが厚生年金に加入 

してもらえず、働いても年金をかけていな 

い人が少なくないことです。 


 これは将来の「無年金」生活者の予備軍 

となり、この不十分な年金制度そのものに 

も入れなく、生活の保障がまったくない人 

がいずれ大量に排出される可能性を示唆 

しています。 


 この脅威を指摘されてか、政府の手違い 

で「消えた年金」の被害者が多く出たため 

か、政府は年金受給資格を緩和して、従来 

25年以上の年金支払いを要件としていた 

ところから、10年以上支払った人にも 

受給資格を与えることにしました。 


 これによっていわゆる「無年金」者は 

減りますが、それでも10年働き、年金を 

支払った人がもらえる年金は、基礎年金 

と老齢厚生年金とを合わせても現時点で 

年40万円前後、月額3万円強で、さらに 

ここから介護保険料が年に5万円余り引か 

れます。 

生活保護世帯よりもさらに悲惨な状況で、 

とても自立した生活はできません。 


 ■制度の維持と水準の満足度は二律背反 


 もともと年金制度を維持しようとすれ 

ば支給額を抑えなければならず、支給額 

を確保しようと思えば制度が維持でき 

ないという「二律背反」の面があります。  


 今回の検証でも、現役世代の手取り 

収入に比べて、年金受取額は現在の 

61%強から、30年後には良くて51%台、 

下手をすれば40%台まで低下します。 


 これは、「マクロスライド」と言って、 

年金支給額を徐々に抑え込む仕組みに 

よります。 

通常であれば、賃金水準や物価が上がった 

分、年金支給額もそれにスライドして 

増えるはずだったのですが、それでは 

年金制度を維持できないとして、物価 

や賃金上昇時には、そのままスライド 

させずに、例えば物価が1%上がっても 

年金は0.1%しか増やさない、などと 

して、年金の改定を抑え込む仕組みです。 

結果的に年金は徐々に目減りします。 


 そのために現役世代の手取りに比べて、 

年金支給額が30年後には半分とか半分 

以下になるのです。 


 年金制度を維持しようとすれば、 

支給額が年々目減りし、年金生活者の 

生活は毎年切り詰めていかざるを得なく 

なり、若い人ほど、条件が悪くなるの 

です。 

このため、共産党など野党からは年金を 

目減りさせる「マクロスライド」を止め 

ろと提案されるのですが、政府は 

「馬鹿げている」と言って相手にしま 

せん。  


 「100年安心」とは、無理やり 

「制度を維持する」こと 政府の言う

「100年安心」は、年金生活が100年間保証

されるのではなく、年金制度が100年もつ、

というもので、その間、年金生活者はどん

どん年金が実質減額され、生活は苦しく

なる仕組みになっています。 


 水準を落とさなければ、年金制度は維持 

できない、というのが政府の言い分です。  


 政府にしてみれば、年金額自体は今の 

22万円から減るわけではなく、むしろ 

多少なりとも増えるといってごまかして 

いますが、その間に物価は上がり、世間 

の賃金が増える中で年金が取り残され、 

相対的に減り、目減りすることは表に出さ 

ないようにしています。


 ■国にできること 


 それでもメディアなどから将来不安など 

を書き立てられ、批判されるので、なるべく

定年後も働き続け、年金支給を遅らせてくれ

れば、年金額が増える、と言って年金支給

年齢を引き上げようとしています。  


 しかし、年金制度を苦しくしてしまった 

一因は政府にもあります。 

もともとの設計が少子高齢化を想定して 

いなかったミスはさておくとしても、 

年金資産に余裕のある時代に、年金福祉 

事業団などが年金を各地の保養施設建設 

に使い、バブルが弾けてこれが二束三文 

になって売却されたり、「消えた年金」 

のように、掛けたはずの年金が消えて 

しまう不始末もありました。 


 さらに、政府は企業の社会保険負担を 

減らし、人件費を節約するために、率先 

して非正規労働を促してきました。 

すでに全体の4割近くが非正規雇用で、 

労働時間の短いパートや中小企業は、彼ら 

の社会保険負担を免除されています。 


 それだけ、年金制度を支えるはずの人が 

少なくなってしまいました。 

企業のコスト負担を軽減した分、年金制度 

が弱体化しました。 


 それだけに、政府がすべきは、定年を 

遅らせて年金支給時期を遅らせたり、 

マクロスライドで年金を減らすことでは 

なく、非正規労働者も年金制度に組み入れ、 

企業に半分年金負担をさせるべきです。 


 企業はこれまで人件費が抑えられて利益 

を増やしてきましたが、その使い道がなく、 

結局内部留保に貯めこんでいるだけです。 

それならむしろ非正規も含めて、年金の 

半額負担に回すほうが、世のため人のため 

です。


 ■個人の防衛策  


 しかし財界は、人件費増につながる 

非正規雇用への年金負担には抵抗しています。 

政府も企業も当てにならないとすれば、最後 

は個人が自衛せざるを得なくなります。 


 厚生年金を負担してくれる企業で働く人は、 

なるべく長い期間働けるようにして、年金 

支給時期を遅らせることで、受給時の年金 

受取額を増やす手があります。 


 もっとも、企業によっては年金負担をして 

くれないところもあり、そうした企業で働く 

人は、自分でコツコツ貯めて、将来の年金分 

を自ら作るしかありません。 


 その際、iDeCo(イデコ)と言って、 

非課税で「老後資金を自分で作る制度」があり 

ます。 

60歳まで毎月一定の額を拠出して、投資信託 

や保険商品、定期預金などで積み立て、60歳 

以降にこれを年金として受け取るものです。


 ■若者はもう老後を年金に頼れない  


 結局、今回の「財政検証」で分かったこと 

は、現在の若者は老後の生活を年金には頼れ 

ないということです。 


 そうであれば、個人にできることは、少し 

でも長く働き、その間にコツコツ貯めて自力 

で老後の備えを作るしかないということに 

なります。 


 それでは景気は悪くなるばかりです。 

年金制度を強化する「防波堤」の設計、建設 

が不可欠です。 


 【転載終了】 

 ************************** 


 昨日、 

「生涯現役を強制される若者にもう老後はない!」 

という記事をアップしましたが、ほぼ、同様の 

内容ではないでしょうか。 


 年金原資は、後30年で枯渇するというもの 

であり、システムだけは100年残るということ 

ようですね。 


 本来、5月に発表されるものを、7月の参議院 

選挙後に伸ばしたのはさすがに姑息な安倍政権 

らしいやり方ですね。 


 ネット民は情報を日々入手しているでしょう 

から自民党には投票しないでしょうが、未来を 

奪われかねない20~30代の若者が自民に投票 

しているのは何も知らないのでしょうね。  


 問題は、介護も含めた若者の将来の環境を 

維持できるか否かであり、生活保護の維持も 

問題になりそうです。 


 まだ、自民党を支持するのか? 

日本の崩壊を待たなければならないのか? 

真剣に考えた方がよさそうですね。