声を出して 8
「ハニや~」
ミナとジュリとスンジョと結婚をする事を喜んでいると、悲鳴のような鼓膜が破れそうな声が聞こえた。
「オレの大切なハニ・・・・・どうしてなんだ・・・・ 登り坂を上がって来たジュングは、全速力で来たからなのか、息を切らし拳で汗を拭いた。
荒い息を整える事を忘れたのか、それとも落ち着くのを待てないのか唾をゴクンと飲んで口をパクパクとしていた。
「どうしてって?」
「け・け・け・け・結婚・・・するんや、嘘だろ?悪い夢だよな?」
ハニの事をずっと好きなジュングは、昨日大学の掲示板に貼られていたハニとスンジョが結婚をするという事を信じられず、読んだその夜は一睡も出来なかった。
「本当だよ。おととい、スンジョ君から告白されたの。」
「で・・で・で・で・で・で・で・・・・・・・」
「落ち着きなよ。どもっていたら時間の無駄じゃん!」
授業前のハニとミナに出勤前のジュリは、ジュングが来る前に立ち上がってそれぞれの場所に行こうとしていたのだった。
「アイツに変な事をされて・・・・で・で・で・で・で・・・・・」
「デキちゃったのかって聞きたいの?」
「そそそそ・・・そうやぁ!」
「何が出来たの?変な事って・・・・・・・え?」
一瞬何の事を聞かれているのか判らなかったが、急な結婚の時にはそう思われても仕方がないのかもしれない。
「してないよ・・・妊娠なんて・・・・したのは・・・ふふふ・・・」
「したのはって・・・・何をしたのよ。」
「秘密!じゃあ、私は授業に行くね。」
スンジョ君と二度目のキスをしたなんて、絶対に誰にも言わないし言う事じゃないから。
それに、スンジョ君は『キスの回数なんて数えなくていい』と言ったから。
これからはスンジョ君に数えきれないほどのキスをして貰えると思うと、一々スンジョ君と何をしたのかなんて言わなくてもいいから。
長年の片想いからいきなり大好きなスンジョ君との結婚は、私自身夢なのか現実なのか判らない。