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薬剤師が解説★犬や猫の健康で快適な暮らしを願う研究ブログ

動物医療における“薬”の不安

2019.09.06 07:50

こんにちは!犬や猫の健康で快適な暮らしを願う研究ブログ担当薬剤師です。

またまたログインできない事象が発生し、しばらく更新できずにいました。


さて、本当は、前回のブログの続きを書きたかったのですが、今回は今まで私が長らく疑問懸念に感じていたことが初めて薬剤師業界で提唱された論文が掲載されたのでそのご紹介です。


とある薬科大学の研究論文から引用しています。

飼い主79名のアンケートデータです。

Q:薬局に動物の薬に詳しい薬剤師がいたら相談したいか。(一部抜粋)
A:相談したい     45.6 %  獣医師に相談をする   5.1 %
Q:相談したい内容は?(複数回答 多い順から一部抜粋)
A:服用方法 53.6%  
健康維持 48.2%
  効能・効果 39.3%
  副作用  37.5%


ペットの薬に関する薬剤師への期待:飼い主へのアンケート調査から 日本薬剤師会雑誌 第71巻 第9号 1059 より一部抜粋


ペットの医療も少しずつ人間の医療と近しくなってきています。使っている医療機器、保険制度、はたまた飼い主さんがペットへ費やす費用の水準も。もしかしたら健康保険制度が無い分、人よりお金をかけているかもしれません。

それだけ飼い主さんはペットの健康に注力しています。


でも、今回のデータからは約半数の飼い主さんが薬について聞くに聞けない現状を吐露していることがデータから見え隠れしています。


薬業界の方でないとご存じないことだと思いますが、動物医療に使われる薬は、動物専用の薬ばかりではありません。

主に、ノミ・ダニ駆除、フィラリア予防を代表とする、犬猫特有の、人間には不要の薬は当然のことながら動物専用です。

他にも動物専用の抗生物質や、心臓の薬などいくつか存在します。


しかしながら、多くは人間の薬を転用します。


人間の薬は、動物が使うこと前提としていません。当然メーカーで研究もなされていなければ、データもありません。メーカーの公式な文書も出ていません。そのため、多くは、動物の体重から量を割り出すことで使用しています。

獣医療領域では、人間の薬を使ったら犬猫でどうなのかという研究がなされているのではないかと思いますが、人間のように、統一見解となるようなマニュアルはあるようでありません。

(人間では”今日の治療薬”とか”治療薬マニュアル”とか”ポケット医薬品集”とか、各出版社が薬に付属している添付文書を基に、様々な論文の見解なども加えて辞書のような分厚さの本を毎年出し、薬剤師たちは毎年それを購入して、日頃の臨床現場に使用していますが、動物領域ではこのような毎年アップデートされるようなバイブル的立ち位置の書籍は存在しません)


私は、薬というのはとても医療において重要な柱だと思っています。外科的なアプローチ以外、日常の医療において、唯一生体に影響を与える物質です。


もちろん人間にも犬猫にも肝臓、腎臓という、薬を代謝する重要な臓器が備わっています。しかしながら、生体に影響を与える物質を取り入れるということは、慎重にならなくてはいけないものだと思います。


それについて、納得いくまで、疑問がなくなるまで、飼い主さんが聞くことができていないというのは、とても残念な状況だと思っています。


私たち薬剤師は薬の専門家です。ぜひその不安な気持ちを解消してあげたいと思います。でも残念ながら、犬や猫に対してどのように作用するのか、人間と同じように作用するのか、本当にこの量でいいのか、人間とは異なる副作用リスクがないのか、わからないのです。


なぜなら大学でも教えらえれないどころか、薬学領域で動物のことは学問の対象外なのです。


でも、もし仮に、仮に、犬猫も人間と同等の肝臓、腎臓の機能があるということがわかれば、きっとこの不安に思っている皆さまの期待に応えられるかもしれません。

でも。。私は自信持って説明できません。

人間の肝臓にある多くの代謝酵素が、1つも欠けずに犬猫もあるのか、はたまた人間にはない酵素はないのか、大きさも違うのに代謝能力は同じなのか。


今、私は即答できません。


なので、獣医療領域の専門家にまかせるしかないのです。


こういうことを言うと不安に感じられるかもしれませんが、これが事実です。


でも!ぜひ皆さんにお願いしたいです。


動物病院で薬を処方されたら

「この薬の成分はなんですか?」

「いつまで飲み続ければいいのですか?」

この2つは絶対に聞いてください。


特に成分の情報がないと、私たち薬剤師は何のアドバイスもできません。


愛犬愛猫の健康を守るのは飼主さんたち自身です。

聞きづらくても、ぜひ病院で聞いてみてください。

私たち人医療専門家も、愛犬愛猫の健康を守りたい、少しでも長生きしてほしい、という思いに応えられるよう、獣医療に志ある薬剤師が橋渡しになれればいいなと思っています。


ヘルシアマーケットは医療までいきませんが、愛犬愛猫が心身共に健康でいられるような製品を提供しています。

もし健康で不安なことがあったら、お声掛けくださいね。