釜ノ沢東俣から甲武信ヶ岳
【日程】2019/08/03-04
【メンバー】浅原、他1名
【レポート】
梅雨明けはしたものの、ここ最近の雁坂界隈は猛烈な夕立が発生している。ゲリラの来襲に恐れをなし、当初のメンバーが一人離脱し、オンナ二人山行となった。雨雲レーダーをみると山行前日15時の西沢渓谷付近は真っ赤ゾーンになっていた。雨もヤだけど雷はもっとヤ。降られるのは仕方ないけどせめて安全地帯には到着したいものだ。
8/3(土) 塩山駅発の朝一の定期バスは8時半だが、それより1時間前に塩山駅に集合し、タクシーで登山口まで行こうとなった。だがしかし。朝っぱらから中央線で人身事故。その影響で遅れに遅れ結局8時半定刻バスに乗車。終点の西沢渓谷で降り10時前に歩き出す。吊り橋を渡り川原に降り立つ。鶏冠谷を見送り左岸につけられた道を行く。
11:10ホラの貝のゴルジュ。ここから急登を行く。ピンクのテープがベタ打ちで迷いようがない。山ノ神を過ぎ11:40いよいよ入渓だ。雨粒がパラパラと落ちてきたが大したことはない。ただ山を見上げるとガスがかかっているのでちょっと心配。広い川原を歩き時々左岸のショートカットを抜ける。森は木漏れ日とそよそよと風が流れ気持ちがいいが、ここで休んでいてはいけない。先を急ごう。乙女滝でオトメっぽくポーズをとったり、そそり立つ岸壁では去年のカミロウのビンガみたいだねえ、などとおしゃべりしながらポクポク歩く。
12:15東のナメ沢。以前ここで泳いだなあ、などと懐古。もうできない。ここを過ぎると左岸がのっぺりしたスラブゾーン。先を行く学生6人Pはつるつるドボンを繰り返していて見ていて楽しい。がんばれー若者。うちらは難なく通過。靴がいいもん。金山沢との二俣を過ぎ13:20釜ノ沢へ入る。看板はあるし岩にも赤ペンキがあるしこの沢は異様なくらいに指導標が多い。やり過ぎでないかい?
すぐに魚留の滝。ラバーのおかげでここも難なくクリア。その先では学生がウォータースライダーをしていた。そいえば前に5人だんごスライダーしたっけ。もうできない。そして名物、千畳のナメへ。釜ノ沢といえば千畳のナメ、メーンイベントだ。さあ楽しもう!ん? おや? なんか滑る滑る。えーっ!ちょっとちょっとーっ! ナメがぬめっていてラバーが効かない。腰が引けてビビりながら歩いた。ここまではラバーさいこー!だったが、この手のナメには超よわい。二人とも生まれたての小鹿のような歩みになってしまった。緊張の戦場のナメだった。時々冷たい風が吹いてきてゲリラの気配がする。テンバを探しながら歩こう。 6m滝を右から巻き、14時、c1540右岸にテンバ適地があったのここで終了とした。タープを張り、焚き木を集めビールを冷やす。乾きモノに着替える。二人だから今回は小タープ。タープを高めの位置に張り、その下で焚火と寝床を兼ねちゃいましょ。乾いた流木は少なかったがそれでも火が付けば何とかいい焚火になった。夕方になってやっぱり雷雨があったが、焚火タープのおかげで影響はなかった。薄暗くなってから10人くらいのパーティが通過していったが疲労色と悲壮感が半端なかった。夕ごはんは前に李さんから教えてもらったサバカレー。美味しくできました!見上げると樹々の間から星が瞬いていた。ガールズトークで盛り上がりいつの間にか眠りの淵へ堕ちた。夜、寒さを感じると火が消えかかっていて焚き木を継ぎ足しついでにちびりちびり呑みまた眠りへ。それを何度か繰り返した。
8/4(日) 4-6の予定が目を覚ましたら5時前。あちゃー。朝、焚火の青白い煙が渓をゆるゆると流れ下る。いつ見ても美しい渓の景色だ。朝ご飯をすませ、焚火の中をひっかきまわし銀紙を回収し6:50出発。まもなく現れた両門の滝。左が西俣で右が東俣。なかなかの絶景だ。右から巻くが結構な急斜面だ。次の薬研の滝は右の迷い沢との間のスラブ面をあがり、そのまま8m斜滝も左岸から巻く。ここもピンクテープだらけだった。やがて左岸が台地となりテンバ適地が続く。東俣を泊りがけで来る人はほとんどここに泊まるので至る所に黒く焚火跡がある。ちょっと痛々しい気もする。退屈なゴーロ歩きが続きいささか飽きてくる。いかにも消化試合といった感じ。階段状の滝を右から越える。沢がすさまじい量の倒木に覆われ右の草地を行く。
9:45木賊沢に入り左の尾根に上がり、登山道化した踏みあとを上がり、沢に降り立つ。沢をひたすら登ると、上部にポンプ小屋が見えてきた。
10:14ポンプ小屋到着。沢装備を解き、一段と重くなったザックを背負って甲武信小屋へ。そこで別パーティで来られていた厚川さんに会った。楽しく遡行されたよう。サクッと甲武信ヶ岳アタックをし、長い長い下山路へと。
14:40発のバスがあるので途中から気持ちだけ焦るが足がついて行けず、結局間に合わなかった。売店に駆け込みビール購入。美味かった~。風呂は塩山駅そばの宏池荘。その後、北口の菊亭にて生大でカンパイ!
ゲリラ来襲を危惧したが結局大したことなく夏山Joy的な易しく楽しい沢登りができた。ドラえもんブルーの空と緑の草木、煌めく水の勢いと白泡。これぞ夏の沢登りの見本のような山行でした。
記録/浅原