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砕け散ったプライドを拾い集めて

自信のアウト・ソーシング

2019.09.07 04:44

【こんな話】
ちょっと前だけど、「シロクマの屑篭」というハンドルネームのブログに面白い論考が載っていた。
 https://p-shirokuma.hatenadiary.com/entry/20080620/p1

「団塊世代」は「自信をアウトソーシング」することができたという。つまり、個人の自信の拠り所を自分が所属している企業・団体のブランドにオンさせることができた。(ここでいう「団塊世代」って、多分1947年〜1949年生まれで、現在は69才〜72歳なんでしょうね? )
そのアウトソーシングに大きく寄与したのは、これかなって思う。1979年に社会学者エズラ・ヴォーゲルが日本特有の経済・社会制度を再評価した『ジャパン・アズ・ナンバーワン』という本が出版され、日本で70万部という大ベストセラーになった。
これが日本人の自信の持ちようを大きく変化させたのじゃないかなって思っている。つまり、あれ以来、彼ら個人の自信の拠り所を自分が所属している企業・団体のブランドにオンさせた。のみならず、「no.1国家である日本」にも自分たちの自信をアウトソースしていたと思う。結果として、「いい気になった」……「虎の意を借りる狐」もしく「夜郎自大」になったということでもあるのだ。
 関連して思い出すことがある。 アメリカのLAの現地法人で働いていた金髪で身長180近くある美人がいた。そのジョアンという娘とは出張のたびに言葉を交わすようになっていた。その彼女が、「東京に一度も行ったことないので行ってみたいけど、その時案内してくれる?」と言ってきたので、「いいよ」と。
  
一年後の1982年、彼女は本当に東京に飛んできた。
銀座三越の2階か3階にあったカフェから銀座四丁目の交差点を見ながら、ジョアンが「ここに10分座っているだけで、私が今まで生きてきて会った人の数よりもっと沢山の人を見たわ」というのが可笑しかった。LAにはこんなに人が犇めき合っているところはない。
そこから、有楽町方面へ肩を段違い平行棒のように並んで歩いているときに、ジョアンに声をかけてくる日本人男性がいた。普通するか?見ず知らずの二人連れの女の方へ声を掛けるか?
「どこから来たの?」「この銀座と比べてどう?」などと。
「日本人って随分と友好的な民族なのね?」と彼女が皮肉を込めて言う。

夕方の六本木のビルの一階のエレベーターの箱に二人でいるところへ、飛び乗ってきた男が、いきなりジョアンに向かって、「俺は日本とアメリカを股にかけた映画のプロデューサーだ、いえ〜い」のような調子。『小説・吉田学校』などをやった山本某だったと思う。
「あなたと知り合いなの?」
「いや、ただのキチガイだ」

 「団塊世代」の次の「団塊ジュニア世代」ではすでにこのアウトソースができない状況になり、いまでも悪化はすれ、良化される気配もない。企業も社会も国家もヨレヨレな今、現役である超氷河期時代の人は「社会や企業には“外側の自信”は期待出来ないという前提のうえで」で生きてくださいとシロクマさんは言っている。 国家がやれることって「氷河期世代」を「人生再設計第一世代」とネーミングし直すことくらいしかないらしいよ。 少なくも、「団塊の世代」が「超氷河期世代」(現在40歳前後)へ「お前らも自信を持てよ」とは軽々に言うなよと戒めている。なんたって、「団塊世代」のツケで今こういうグダグダになっているワケなんだから。