高山宏と三匹のタヌキ( feat. E・A・ポー)
2019年9月7日(土)、日本ポー学会主催のシンポジウム「ポー トピカル/ポー トロピカル」(@立正大学品川キャンパス 石橋湛山記念講堂)に参加してきました。
お目当ては高山宏大人の「場のマニリスト、マニエリストの場」なる講演でしたが、そこに至るまでなかなかに「ザ・学会」な発表が続き、ちょっと空気が停滞しているかなあというところでの學魔節炸裂だったので、「よ、待ってました!」と最後尾から思わず叫びたくなったほどです。
「実はホッケはポーについて一行も書いてない」という卓抜な進入角度でのアメリカン・マニエリスム論の不足を嘆く内容で、そのほかにも最近亡くなったドイツ文学者の池内紀さんを「ただのエッセーじじい」と痛烈批判してみたり、中村雄二郎を「唯一尊敬する哲学者」とぶち上げてみたり、藤圭子とポーを旅芸人の子供ということで常に「移動」に晒されていた存在として捉えて「場」というシンポジウムのテーマにゆさぶりをかけてみたり、やっぱりライヴ感に溢れていて抜群におもしろかったです。
というわけでシンポジウムも終わり、青柳いずみこ氏の特別講演に突入かというところで學魔が奥様のユキさんと帰路に就くところだったので、藤原義也(aka 藤原編集室)さんにもお声をかけて、帯同することに。その流れで四人でベローチェでコーヒー飲みました。(会長の巽孝之大人やパネリストの西村智則さんなどには懇親会などでご挨拶したかったので、そこは個人的に心残り。また今度ぜひ。)
というわけでベローチェにて、千ページ超えとうわさの近刊『トランスレイティッド』(青土社)の裏話を聞けたり、『ダーウィンの衝撃』の著者ジリアン・ビアが『Alice in Space: The Sideways Victorian World of Lewis Carroll 』という画期的キャロル論を出してそれがべらぼうに面白いなど、いろいろ興味深い大人の近況を聞けたのですが、なにより僕を驚かせたのは學魔の「タヌキに今ハマっている、というか三匹のタヌキと暮らしている」というエニグマティックな発言でした。
三匹はそれぞれ「たーちゃん」「ぬーちゃん」「きーちゃん」と名付けられており(三匹合わせて「た」「ぬ」「き」)、「ちなみにポーより重要」とのこと。ユキさんによると高山大人のタヌキへのハマり方が尋常じゃないらしく、「ちょっと怖い」らしいです。
皮膚病(らしきもの)にかかっているタヌキもいるっぽいのですが、それも含めて愛しているという學魔の「ぽんぽこタヌキ愛」に僕などはちょっとウルっときたり。ところで一日ずっとシニカルな感じの高山大人でしたが、別れ際に「タヌキの画像、ツイッターあげときますね!」と言ったら「おう、あげろあげろ」と今日いちばんの笑い(?)を見せてくれたので、本当にこのお方はタヌキLOVEなんだなあと思いました。
というわけでポー学会の報告、というよりタヌキについての報告でした。
文責・後藤護
@五反田駅に向かう道中。左より後藤、學魔、ユキさん(ちょっとソフトめに加工)。久々にお会いしましたが、とてもお元気そうでした。シンポの最後に「10年後にまた呼んでね」とも言ってたので、學魔はイケイケドンドンでした。