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ICT教育 聖徳大学附属女子中学校高等学校

シンキングツール 思考を育む指導の工夫

2019.09.07 16:49

【探究学習をより深化させるシンキングツールの活用意義】

 新学習指導要領では、教科学習においても一人一人の生徒が自らの課題について追究を深め、思考し、自分自身の考えとしてまとめたり発表したりする探究的な学習が求められています。


 問題解決的な学習活動が発展的に繰り返されていく一連の学習活動では、以下の四つの学習過程が示されています。


1.課題の設定

2.情報の収集

3.整理・分析

4.まとめ・表現



◆ 探究軸の学び【探究型授業の展開プロセス】





1. 課題の設定とは

  学習解決課題に目を向け、生徒が自ら課題を設定すること

2. 情報の収集とは

  設定した課題について、そこにある具体的な問題について情報を収集すること

3. 整理・分析とは

  収集した情報を整理したり分析したり知識や技能に結び付けたり、考えを出し合ったりしながら問題解決に取り組むこと

4. まとめ・表現とは

  明らかになった考えや意見などをまとめ・表現し、そこからまた 新たな課題を見付け、さらなる問題の解決を始めること



 このような四つの学びの過程が相互に機能していくことで探究的な学習が発展し、さらに教科等の枠を超えた横断的・教科連携の学習の相乗効果などにより、課題解決に向かう思考が整理され深まっていきます。





◆課題解決のプロセス





 しかし、現状では各教科学習の単元計画の中で、 新学習指導要領解説に示された「四つの学習過程」(1.課題の設定 2.情報の収集 3.整理・分析 4.まとめ・表現)のサイクルが互いに分断されてしまったり、四つの学習過程の相互の関連が十分でなかったりなどの運用の課題も指摘されています。(「総合的な学習の時間『キー ワードは探究』平成20年 群馬県教育委員会など)

 

 本校におけるICT教育推進や探究学習の推進には、今後「より豊かな思考を生かし、課題解決の学習に向かうようにそれらの課題に対して様々に働きかけ、繰り返し思考するシンキングツールの活用」などの教科指導も行われています。





【ICTを活用したシンキングツールの活用の具体】


 そこで、四つの学習過程でどのような働きかけをすることが活発な探究学習に向かっていくのかといったアプローチの工夫も検証されてきました。


 本校の教科指導では、今後、探究学習を進めていく授業では、体験や調べ学習等で収集した情報を「整理・分析」する過程を重視し、この過程に着目し豊かな思考をしっかりと自分の考えとしていくこと、深い思考を促す時はただ単にテーマを与え主体的に考えるだけではなく「比べて考える」「分類して考える」など具体的な考え方を示すことなどが論点としてまとめられ、授業改善の視点がほぼ集約されつつあります。


 そこで課題解決に向けた学習活動に見通しを持てるようにするために「比較する」「分類する」といった活動を助けてくれるものとして具体例として挙げられているシンキングツールの活用に向けた取組みの研究がそれぞれの教科学習ではじまっています。




◆ シンキングツールのパターン



   シンキングツールを使用すれば、他者と情報を共有し合い、比較、分類し、関連付けることで、拡散的な思考、収束的な思考、批判的な思考など様々な型での思考が可能になっていきます。


 また、シンキングツールを用いて学習することで、協働的に学んだり、多くの情報に触れたり、異なる視点や考え方から検討したり、そのような学びが物事を多面的に考えることにつながりその結果として課題解の思考はさらに深まっていくと考えられています。





◆ iPadを活用したシンキングツールの具体(本校 芸術科書道)






【 現在、iPadなどで使用できるシンキングツールの開発が進んでいます 】



 しかし、これらのシンキングツールは、一般的に企業での企画立案、業績評価といった場面で活用されていますが、学校現場では馴染みが薄く、中学生や高校生が使用しやすいものとは言い難いものがありました。


 そのため、授業でシンキングツールを選択し、活用する段階までには課題が多いと言われていました。


 そこで、各学年の発達段階や単元計画に沿って活用できるシンキングツールを期待する声が高まり、課題解決学習において情報の整理・分析の過程で使用しながら段階的にシンキングツールを活用することにより探究的な学習が深まり、より深い思考をはぐくむことができると考えられるようになってきました。



 具体的には、シンキングツールの中に「思考の道筋や視点」を示したり、必要に応じて補助的なシートを追加したりするなど使用しやすい工夫を加え、この学習ツールの活用を段階的に積み重ねる学習の中で、最終的には将来の社会生活の中で生徒が様々な課題解決に向かう場面で、適切なシンキングツールを自ら選択して活用できるようにすることが、中学高等学校の探究的な学習の意義であると考えています。




◆ シンキングツールの例 

(ロイロノートスクールのシンキングツール  2019年3月運用開始)




 今後の学習指導では、収集した情報を整理・分析し、課題を多様な方法で解決しながら生徒の思考をはぐくむために、「シンキングツール」を有効に活用し、その活用を通して以下の探究的な学習をより深めることを目指していきます。




【 これからのシンキングツールを活用した学習のねらい 】



1. より自分の考えを広げていきます。


 自分の考えを広げようとする場面において、集められた意見を分類しやすくするシンキングツー ルを使うことで、友達と多様な情報を共有し、新たな視点に気付くことができると考えます。




2. より自分の力で自分の考えをまとめていきます。


 様々な考えを一つにまとめようとする場面において、考えを再構築しやすくするシンキングツー ルを使うことで、異なる視点からの情報も参考に、次の活動で探究したいことを明確にすることができると考えます。




3. より自分の考えを見直し見方や考え方を明確にしていきます。


 自分自身の考えを見直し、論拠を明確にしようとする場面において、共通点や相違点を検討しや すくするシンキングツールを使うことで、自分と友達の考えや意見を比較し、課題に対する自分の見方や考え方を明確にすることができると考えます。




 このような学習スキルでの中学高校時代の学びの成果は、様々な場面で協働し互いのアイデアを集約整理し物事の課題に向かう必要が迫られている現代の知識基盤社会やSociety5.0の社会での必須の力と言えます。






次に学びのシーンで多く用いられているシンキングツールの例を紹介します。



【Edraw 思考ツールアプリ】


 

 考えや物事を整理することを助ける図式のこととして普及された思考ツールには、ベン図、KWL、ピラミッドチャート、フィッシュボン、コンセプトマップ、ステップチャートなどいろいろな種類があります。



 先生が授業中に学生の考えを促進したり、ビジネス場合にブレーンストーミングして対策をひねり出したり、ごちゃごちゃした考えやメモを整理したりして、生活、学習の至るところに溶け込んでいて、様々な分野に応用できて大変な役割を果たしていくと思われます。



 このページでは、読書、メモ取、数学、語彙学習、比較など思考ツールの機能に応じて、よく使われるシンキングツールである「Edraw 思考ツールアプリ」を紹介します。




【 Edraw 思考ツールアプリ 】


 

 アプリを起動すると、利用可能なシンキングツールのテンプレートが現れますので、それをクリックして、ベン図、ステップチャート、コンセプトマップなどの思考ツールを直感的に作成、共有、印刷できます。

 Edraw は学生・教師、ビジネスマンなどにぴったりしたパワフルな思考ツールアプリと言えます。



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