長岡京市の名産「竹」を世界へ発信!~高野竹工株式会社~
竹の名産地として知られる京都・長岡京市。竹を通じてグローバルに日本の伝統文化を発信している、スゴイ会社が長岡京市にあることはご存じでしょうか?
伝統的な茶道具からお箸や箸置きなどの生活用品、アクセサリーまで多彩な竹製品を生み出す現場に潜入してみました♪
良質な竹の産地「長岡京」に本社をおく「高野竹工(たかのちっこう)」の“スゴイ”に迫る!
今回、お話しをうかがったのは高野竹工株式会社の営業課長、西田隼人さん。国内外で開かれる展示会をはじめ、有名ブランドやアーティストと竹の伝統工芸製品のコラボレーションなども手掛けるプロデューサー的存在でもあります。
まずは皆さんに高野竹工のスゴイとこをご紹介しましょう!
以下、西田さんに聞きました。
スゴ①世界に通じる高野竹工のクラフトマンシップ!
イタリアの有名自動車メーカー、フィアットと長岡京の寺社とのコラボレーションを実現
https://www.fiat-auto.co.jp/ciao/mijp14_bamboo_kyoto/より
フィアットが取り組む『フィアット×メイド・イン・ジャパン・プロジェクト』では、日本の伝統工芸品の一つとして当社の製品が採用されました。
コラボしたのは竹箸と箸箱。柳谷観音(楊谷寺)の古材を用いて、イタリアを象徴する赤と緑の竹箸と、箸箱にはフィアットのロゴと柳谷観音の家紋をあしらった逸品です。
はるばるニューヨークから長岡京に!ニューヨークのデパートオーナー達からも注目される高野竹工
昨年12月には、ニューヨークのデパートオーナーさん13人が会社見学に来られて、本社や直営店のほか、整備を請け負っている大覚寺の竹林も巡りました。
海外に京都の伝統文化・竹の可能性を積極的にPR
2019年5月には、ロンドンクラフトウィークに開催された、『Crafting Japan 2019』に参加し、ロンドンやヨーロッパの人に、作品を直接手にとってもらいました。抹茶やお菓子を振る舞って実際に弊社の竹製品を使っていただいたことで、高野竹工の職人のクラフトマンシップや竹の持つ素材としての可能性を感じてもらえたと思います。
スゴ②世界遺産・金閣寺、銀閣寺との密接な繋がり
高野竹工では先代社長の時代から、茶道具を通していろいろなお寺に出入りする機会がありました。それがきっかけで生まれた作品もあります。
例えば寺院を改修した際に出る“古材”を用いた作品。特にめずらしいと言われるのが、金閣寺の古材で作られたえびす箱(12万円+税)。古材を2つに割って、中をくり抜いて箱にし、金箔を貼って仕上げています。
銀閣寺(観音殿)の改修の際に出た古材で作ったのは、観音殿の襖絵に描かれていた舟をモチーフにした、手の平にのるぐらいの大きさの香合(お香を収納する容器)。落慶法要(寺院の新築や修理の完成を祝う法要)に参列された方々の手に渡りました。
こちらも銀閣の古材からつくられた八角形のスタイリッシュな酒器。セットで6万5000円+税
スゴ③京都の超有名観光地に直営店があり。人気商品は長岡京市内でも販売
アンテナショップが大人気!祇園と錦市場近くにある「篁(たかむら)」と「ばんてら」
高野竹工の竹製品は、京都市内の観光地にあるアンテナショップの「篁」や「ばんてら」で購入することができます。
「篁」では主に茶道具や古材を使った作品を主に販売、茶道関係の方々に贔屓にしていただいております。また、美しい竹の格子のしつらえが目を引くようで、海外からの観光客の方々にもたくさんお越しいただいていますよ。
「ばんてら」では竹の生活道具やアクセサリーなどを扱っています。加工次第で、さまざまな表情に変化するのも竹の魅力の一つです。シャープにも、やわらかな雰囲気にもなる竹。箔や漆を施したものはぐっと大人の表情になるんですよ。
(上から)寄竹野菜箸置き各400円+税、杉箸箱セット4400円+税、寄竹箸箱セット4400円+税
高野竹工の職人さんが手掛ける竹箸は「一度使うと、離れられない!!」と評判で、編集部スタッフも御用達。上品だけど気取らないカトラリー類はプレゼントとしても大活躍!
人気商品が地元長岡京でも買えちゃう!
弊社で特に人気のある箸置きやアクセサリーなどは、阪急・西山天王山駅の観光案内所「長岡京@Navi」で販売がスタートしました。また近くのサントリービール工場・京都ブルワリーでも限定コラボ商品を販売していますので、ぜひショップものぞいてみてください。
スゴ④竹のまち「長岡京」から竹の魅力を発信!著名アーティストと繋がり長岡京を盛り上げる
「京都・長岡京バンビオイルミネーション2018 竹のひかり」では、「フジロックフェスティバル」などの野外イベントをはじめ、世界遺産などでも作品展示を行ってきた世界的な竹アーティストの三橋玄(みつはし げん)さんを長岡京市へ迎えて、巨大竹オブジェを作っていただきました。
こちらはJR長岡京駅構内の壁面を飾る大きな竹の写真です。長岡京の竹を広くPRするこのプロジェクトは、弊社が長岡京市出身の写真家 鞆岡隆史(ともおか たかし)さんとタッグを組んで行いました。駅の改札を出てすぐのところに竹の世界が広がっているので、観光客の方に『竹の長岡京』を感じてもらえたら嬉しいです。
また今春は熊本から陶芸家 細川護光さんを迎えて長岡天満宮で展示会も行いました。細川家と長岡京市の関係性をより深発信することができたと思います。
多彩な竹製品が生まれる現場に潜入!!職人の技を肌で感じる
――最近では長岡京市の竹にまつわるプロモーション活動も含めて幅広く展開されていますが、そもそも会社の成り立ちから教えていただけますか?
会社の始まりは茶道具であり、今も当社を代表する竹製品は茶道具です。創業者である先代社長が竹で作られた茶道具に美を見出し、自身も茶道具の作家として様々な作品を作るようになったんです。
――どうして長岡京を拠点に活動されているのでしょう?
先代社長は、京都の二条寺町で竹工芸品店を営んでいました。そこが手狭になったこともあり、昭和48年に右京区の嵯峨野に移転し、昭和54年にこの場所に長岡工場を開設しました。竹の産地であるのはもちろん、土地も広く、交通の便もいいことから、長岡京を選んだのでしょう。その後何度かの増改築を経て、平成22年には本社もここに移しました。
日本の伝統工芸に精通した職人集団
竹の「地下茎」を加工し、自然の節の形を生かしながら印鑑に仕上げていく
――どのような職人さんがどんな竹の加工をされているのでしょう?
実は竹は長い期間を経て、ようやく加工できるようになるんですよ。
「油抜き」の作業を行う職人さん。火で竹を直接あぶり、滲み出る油をふき取ることで割れにくい丈夫な竹になる
弊社では竹を切り出す作業から手掛けています。年間で約1,000本の竹を伐採、切り出した竹は乾燥や油抜きといった工程を経て、さらに2~5年をかけて乾燥させながら保管します。
いちばん左手に見える黒い竹は、古民家の囲炉裏の上で燻されていた貴重な竹。これを加工することで、その隣に見える飴色の「煤竹(すすだけ)」になる。艶やかな色がとってもきれい
弊社には、指物(木を素材にした工芸)や蒔絵、漆などの加工ができる職人が20名近く在籍しています。それぞれ伝統工芸に精通したプロフェッショナルばかりです。
機械を使って竹や木材の加工が行われる作業場。その一角には黙々と漆塗り作業を進める職人さんの姿も
また竹の生育状況や加工など竹そのものに関する知識を持った職人もいます。本当の意味で「竹のプロ」が集まっているんですよね。
職人技が光る!加工の手間暇を無駄にしない秘策とは?
(右上)竹のピアス サークル3000円+税、(右下)竹のピアス トライアングル3000円+税、(左上)kazaruシリーズ 水面[minamo] 5,000円+税、(左下)kazaruシリーズ 泡[abuku] 4,500円+税
――竹のアクセサリーも手掛けていると聞きました、きっかけは?
茶道具の蓋置(ふたおき)を作る時に、どうしても使わない部分がでてきます。せっかく手間暇かけて職人が加工した竹を余すところなく、どうにか生かせないかな…と、あれこれ悩んで生まれたのがこのピアス(イヤリングも有)なんです。
竹の筒がアクセサリーに!絶妙なバランスを見極めながら、美しさと丈夫さを兼ね備えた形に仕上げます
弊社ではアクセサリーを担当する職人が、デザインから制作まですべて一貫して行っているんです。彼女は、箸や酒器などの製造の部署にもいたことから、竹の加工について熟知しています。若い柔軟な発想で、竹を生かしたデザインが生まれることをみんな期待しています。
「実はこのアクセ、竹でできているんですよ!」とお客さまに伝えると、みんな驚かれるんですよ。と職人さん
竹は軽くて、色も形も同じものが無いですよね。この竹の特長がアクセサリーとしてもすごく相性がよくて、個性を出せるんです。スタッフ一同「竹を使って新しい何かを作れないか」と常に考えています。
――最後に、西田さんの原動力と今後の目標を教えてください。
お茶の楽しみや、循環型社会の仕組みを教えていただいた谷口 恭子先生ご夫妻の影響は大きいですね。ご主人の谷口 巳三郎(たにぐち みさぶろう)さんは長年タイで循環式有機農法を指導されていました。谷口さんは、長年に渡るタイでの活動が評価され、2007年には旭日双光章を受賞されているんですよ
http://tmproject.web.fc2.com/FC2/profile/kunsyou.html
今後のも彼に学んだ循環型社会のあり方に近づけるよう、竹や古材など素材の持つ力を引き出しながら、人や環境に優しいモノづくりを続けていけたらと思います。
――竹と伝統工芸デザイナー、それぞれのエキスパートが集う高野竹工では、これからも新しい竹製品やコラボ企画に積極的に取り組んでいくそう。長岡京から発信される竹カルチャーから目が離せませんね!
information
高野竹工株式会社
https://www.takano-bamboo.jp/
075-955-2868
長岡京市勝竜寺東落辺14-1Z
オンラインショップ
https://www.takano-bamboo.jp/shopping/
●長岡京市内で購入できる場所
西山天王山駅観光案内所「長岡京@Navi」
075-963-5511/長岡京市友岡4-22/9時~17時/水曜定休(4・5・6・11月は営業)、12月28日~1月4日休/西山天王山駅東口から徒歩すぐ
●高野竹工の直営店
「篁(たかむら)」
075-531-6881/京都市東山区中之町238-1/12時~19時/火曜定休/京阪三条駅・祇園四条駅から徒歩10分
「ばんてら」
075-223-3883/京都市中京区船屋町373-3/11時30分~18時30分/無休/阪急河原町駅から徒歩5分