『AIに負けない子どもを育てる』を読んで読解力アップのコツを学んだ日
『AI vs 教科書が読めない子どもたち』という本が流行った時期がありました。
AIの技術の進歩と、子どもたちの(いや、大人でもか)驚くほどの教科書の読めなさ具合に警鐘を鳴らす良書です。
「知らない」という方は、そこで紹介されていた問題を一つ解いていただきましょう。
アミラーゼという酵素はグルコースがつながってできたデンプンを分解するが、同じグルコースからできていても、形が違うセルロースは分解できない。
この文脈において、以下の文中の空欄にあてはまる最も適当なものを選択肢の中から選びなさい。
「セルロースは( )と形が違う」
①デンプン ②アミラーゼ ③グルコース ④酵素
いかがでしょうか。答えは割と書いてあることそのままなのですが、おわかりいただけましたか。
答えは…見えちゃうといけないから、もう少し引っ張ります。
この問題、調査に参加した日本人大学院生は全員不正解。唯一正解したのは中国からの留学生だったといいます。ちなみに、生物や化学の知識があるかどうかは関係ありません。
「ただの読み間違いでしょ」と言われてしまえばそれまでですが、「ただの読み間違え」を、「なぜしてしまうのか」が問題なのです。理由のわからないケアレスミスほど怖いものはありません。
そろそろいいでしょうか。答えを発表してみましょう。
答えは、①です。
「いや、当たり前でしょ」という方と、「なんで?」という方がいるに違いありません。そんな「なぜ?」を炙り出すテストを開発したというところから、本書は始まります。
そのリーディングスキルテストを僕もやってみたのですが、僕はこれ、意外と得意。全問正解でした。でも、時間かかっちゃった。
何人かの知り合いにもやってもらいましたが、チラホラ間違えていましたね。書いてあることそのままなんだけど、やっぱりこれ、意外と難しいんです。
ぜひその詳しい中身は、本書をご確認ください。そのテストだけでも、買う価値があると思いますよ。
でもでも、話はそこで終わりません。
この本の中には、僕が日々の指導の中で感じている違和感の正体や、今後の指導の参考になる知識がたくさん詰まっていました。「やっぱりこれで良かったんだ」という自信と、「なるほどこんなやり方があるんだ」という発見につながりました。
いくつか挙げてみましょうか。全部挙げると誰かから怒られそうだから、ほんの一部ね。
- 辞書を半分読めない子は、辞書を使っても結局言葉の意味がわからない。
- 子どもたちの書く量が減って、筆圧も弱くなっている。→穴埋めプリントの弊害。板書を早く的確に咀嚼して写す力の低下。
- 人は怠けることの天才だから、何かをするときに無意識にパワーがかからないようにやる癖がある。繰り返していたらいつの間にか作業になっちゃう感じ。漢字ドリルなどやらせすぎはよくない。会話重視の方がいい。
- 補助輪をいつまでもつけていてもダメ。補助輪が外せるようになった生徒は、早く外してやる方がいい。
- 子どもが小さいうちは読み聞かせがいい。大人は飽きるけど子どもは飽きないから何度でも同じ本でもいい。
- AIを教育で使う問題点。
他にも、「文学国語と論理国語」のお話や、学年別の読解力養成授業についてなど、盛りだくさんの内容がこの本の中で、あなたを待っています。
教育関係者には、ぜひとも読んで知っておいてほしい。「こうしなきゃダメ!」などということではなくて、一つの参考知識としてね。
僕は「人間がAIに負けるわけないじゃん」と楽観的派ですが、その理由もこの本で言語化してくれていて、気持ちよーく読めました。
オススメの一冊です。ぜひ、その目で見て、何を思ったのか語り合いましょう!
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
AIになんて負けさせない。AIは僕らがうまく使うべきアイテムの一つだよ。