波止場のワークショップ記録③ 佐藤信ワーク⑧~創作まで
前回から引き続き、佐藤信さんのワークショップについての記録を公開します。
以下 7/25 のワーク⑧から、ワークショップ最後まで。
また、そこからつづく、創作のクラスについての記録もつづけてご紹介します。
2019・7・25
【信さんワークショップ⑧】
10:00~、2F スタジオに集合。今日から、テキストを絡めた、創作を意識したワークショ ップになっていく。まずは毎度のようにウォームアップからはじめる。
☆ウォームアップ : 担当シュウ
・手をぶらぶらさせながら円になって歩く。
・好きな場所に立って、呼吸する。丹田に力を入れて、へその上をふくらませるイメージを
もつ。
・声を出す。湧いていくイメージが湧くように。
・まっすぐ立って、腰からまげてテーブルのように背中をまっすぐにする。右手にキッチン
ペーパーを持ち顔につける、右の鼻の穴をふさぎ、あいている鼻で吸ってはいてとくりかえ
す。口呼吸せずに鼻だけで。腰の筋肉が収縮するように。
紙をはずして、この姿勢のまま、声を出していく。
・仰向けに寝て、声をだす。
☆テキストを読む
全員で円になって座り、順にテキストを読んでいく。
まずタイトルを信さんが読む。
それから、一人一行ずつ、ゆっくりとまわして読む。
読む際の言葉は、自分のネイティブの言葉でいい。
☆チーム創作
チームでトランプをひき、ひいた数の章をやる。
最終的には全員が出演するようにつくる。
セリフはあってもいいし、なくてもいい。
●ウェイウェイ、貴美、タイフォン、ミシェル、ミラ
●初夏、ウェンミン、リスワティ、リーファ、寺越
●ジア・イー、ロンジュン、シュウ、ジェンチョン
章の長さは 3 分~10 分以内。
今日は発表はなし。次回、はじめに30分練習の時間を設けて発表する。
2019/7/26
【信さんワークショップクラス⑨】
10:00~、全員2F スタジオに集合。
☆昨日の創作つづき
まず初めの 30 分間、グループで練習する時間をとる。その後 2 階で全員発表。
☆発表
発表の仕方として、まずタイトルを誰かが言ってはじまる。また、チームごとそれぞれ区切 らず、3つのチームどんどん入れ替わって、3つで1つとなるようにつなげていく。
はじまりをはっきりと。
・3 番 最初の夢:ウェンミン、寺越、リーファ、リスワティ、初夏
・4 番 所持品―もうひとつの夢:ウェイウェイ、貴美、ミシェル、タイ・フォン、ミラ
・8 番 広野―真昼:ジア・イー、シュウ、ロンジュン、ジェンチョン
☆チーム創作2
もう一度くじをひいて、違うグループでそのほかの章の創作をしていく。
・7 番 手紙―沈んだ森に:ウェンミン、ジェンチョン、リスワティ
・2 番 振り返る―午後:リーファ、シュウ、ミラ、寺越
・6 番 習慣:ミシェル、ジア・イー、ロンジュン、貴美
発表は次回の創作の時間にやる。はじめに練習の時間をとるので、15:00 にスタジオに集合
その後発表をする。
ここまでで信さんによるワークショップクラスは以上となります。次回からは、ワークの延
長にはありますが、8 月 2,3,4 日の上演へ向けての、より創作的なクラスとなっていきま
す。
2019/7/29
【創作①】
15:00~ 2F スタジオに集合。今日の午前中にふりわけたグループ創作の発表を行ってい
く。発表の仕方を少し変え、テキストを読み上げてから、パフォーマンスへ移っていく。
その際、読み上げるのは観客の中からランダムに人を選ぶ。
☆創作の発表
② 寺越、ミラ、ウェイウェイ、リーファ、シュウ
観客の中からランダムに人を選んで、まず中国語でテキストを読み上げ(ミシェル)そのあ
と日本語で読み上げる(貴美)
⑥ジア・イー、ロンジュン、貴美、ミシェル、タイ・フォン
日本語(寺越)、英語(リスワティ)、中国語(シュウ)
⑦初夏、リスワティ、ジェンチョン、ウェンミン
日本語(寺越)、英語(ジア・イー)、中国語(リーファ)
いままでの創作だと、これまでに出たワークを集合させ創作へとつなげてつくっていった
が、今回は少し変えます。
ただ、ワークでやったことは使うことは使うので、いまやったことは、全て覚えておく。
☆これまでやったグループの確認
グループ2:寺越、ミラ、ウェイウェイ、リーファ、シュウ
グループ3:寺越、初夏、リーファ、リスワティ、ウェンミン
グループ4:ウェイウェイ、貴美、ミシェル、タイ・フォン、ミラ
グループ6:ジア・イー、ロンジュン、貴美、ミシェル、タイ・フォン
グループ7:初夏、リスワティ、ジェンチョン、ウェンミン
グループ8:ジア・イー、シュウ、ロンジュン、ジェンチョン
グループ1、5、9はない
なぜ、いままでと違う創作の仕方をするのかというと、この詩は、たった一人の詩であるか ら。
今回は 14 人が、その立った一人を演じる。自分自身ではなく、この詩の主人公を演じる。
演じる条件としては、以下である。
・その時、出発点を自分にしないようにすること。自分とは違う人間にする。
・まず、動物や物にせず、必ず人間にすること。
・はっきりとイメージを持つ。100 歳の人間など、フィクションの人間の設定をしてもいい。
ただし幽霊はダメ。
☆「やってきたひと」として歩く
2 階スタジオの端から端までを、ひとりづつ歩いてもらう。
考えなければならないのは、何故、この人は一人でいるのか、ということ。
人間がたった一人でいるというのはまずないことである。大体は集団といる。
「ではなぜ何故、この人は一人なのか…?」ということを考えてみる。
例えば、まわりの人がみんな死んでしまった。集団から逃げ出してきた。生まれた時から、
どうしてかたった一人だった。
これから三日間、その人間をどう描いていくか考えていく。
これは「創作」である。いままでの即興は、どうしても「自分」がなにかしていた。そうで
はなく、自分ではない人物として、創作をしていく。
グループワークの他に、一人の作業も加わっていく。この一人の作業をグループワークに加
えていくかは、まだわからないが、その人を探す作業を、三日間同時進行で創作していく。
・自分がどこで、だれで、何故ここにいるのか
それを、はじめから考えているものをやるのではなく、立ったときに思い浮かんだもので、部屋の端まで歩いてみる。
寺越:神秘的なことがおきるのを待たない。内に内にこもってしまうのではなく、身体を外に ひらいてゆく、外を感じるようにする。息を詰めず、動いてみる。
すり足だったのがよかった、考えていたことが、そこにでていた感じがした。
リスワティ:見ていて、まるでなにもない気なのがいい。それができているのは、心の中でできて
いるからであり、確信があるからだから、とてもよかった。
タイフォン:もっと設定を複雑に、深めてもう一度やってみる。
ウェンミン:一歩目はもっといいかげんになってしまってもいい。もう一度やってみる。
ロンジュン:演技をやっていて、そのキャラクターがやりたい事があったらやってもいい。 別の人間になってみて。
シュウ:パントマイムにおいて重要なのは、持ったものを捨てる事。捨てずに持ち続けるこ とは、パントマイムであろうと、リアリズムであろうと、やってはいけない。
もう一度、何故ここを歩いているのかをはっきりさせてみる。
彼の表現は、観客に感情を起こさせるのがいいところで、先ほどのリスワティの表現とコン トラストになっている。
ウェイウェイ:
ウェイウェイのいいところは、すこしはずれたところから始める、そんなキャラクターがい つでもいるところ。
リーファ:少しだけ要素が多いかもしれない。その行為の意味を知りたくなってしまう。基 本的にまっすぐ歩く、という行為しかない。そこに、例えば足腰が弱っていてうまく進めな い、とかがあるかもしれない、がまっすぐ進むというただ1つだけの行為。いまのおびえた 様子だと、色々な行為があって、その意味がしりたくなる。
ジェンチョン:キャラクターはたっていてよかったけれど、もと身体と心のつながり、重心 を意識する。
ジア・イー:その人物がこちらに伝わってくるのには少し不足している感じはしたけれど、 とてもいい感じ。
初夏:立ったならば、足の裏から空間を膨らませる。もっと足の裏を繊細に。
二回目と自分の中で何か違う?:最初は設定を決めて、厳密にそれをなぞってしまいライブ ではなかった。二回目のほうが歩きながら考え、動くことができた。
ミシェル:手がとても印象的だった。なにか、考えていることがでていた感じがした。
ミラ:とても丁寧にできていた。ただ、少し遅すぎて、遅い事になにか意味があるようにな ってしまう。余分なインフォメーションになってしまう。
貴美:今色々なエネルギーをつかっていたと思うけれど、2倍にしてやってみる。もうすこ し、エネルギーがあり、どこかへ向かっている人、になれたらいい。
みんな終わるのが早すぎる。
演技には必ず始まりが合って終わりがある。始まりは楽に、終わりはわかりやすく、という ことをもっと意識する。
この物語は人がひとり歩いていて、最後あさが来て、希望でおわる詩である。現実ではない。
そのメッセージが伝わらないとダメ。人をつくりあげることが、とても重要。舞台で、その 人のかわりに希望をみつけてあげる。
これは一人の共同作業である。
三日間かけて、その人を探していく。
30分間休憩。16:50、下のスタジオに集合
↓↓
☆ボイスパフォーマンス
書いてもらった字幕を壁に映すので、それをチームで読む。
読むときは、さきほど歩いたときのキャラクターで読む。
必ずしも全文をちゃんと読まなくてもいい、単語だけを繰り返してもいい、
みんなと合わせて読まなくてもいい、声が重なってしまってもいい。
サウンドのグループはテキストではなく音で空間を埋める。
その時、床の音などはチープになってしまうので、口から出る音のみで。
読む人以外でも、一行だけなら読んでもいい。
②章 :
読み/グループ⑥、サウンド/グループ⑦
③章 :
読み/グループ④、サウンド/グループ⑧
④章 :
読み/グループ⑧、サウンド/グループ③
⑥章 :
読み/グループ⑦、サウンド/グループ②
⑦章 :
読み/グループ②、サウンド/グループ⑥
⑧章 :
読み/グループ③、サウンド/グループ④
14人が集中を保っているのが難しくなっている。
あまりイージーな感じでやってしまうと、観ている人にも、ああ即興でやっているな、とわ かってしまう。もっとつくられていなければいけない。クリエイションされている状態がつ づかないといけない。
シャオイ:音の効果が多すぎて、効果的ではなくなっている。みんな他の人の音を聞いてい ない。1人よがりにならず、考えて音を出す。あまり遊びすぎると、元の言語自体が持つ音 楽性が失われてしまう。
啓子さん:言葉が三つあり、テキストが映し出されている状況で、観ている観客はテキスト の意味を考えたくなるが、その余地がたりないかもしれない。また、同じ言葉が違う言語で 入れ替わり発せられることを、もっと効果的にできる。
ブログの制限上、今回の投稿はここまでです。
あしたから、より具体的な創作へと移っていきます。
それについては、次回以降ブログに載せる予定です。
2019/9/9