「1杯1,000円超えのかき氷」の本当の定義
高級スイーツってどこからを高級と考えるんだろうか。
かつてはクレープ屋さんのおまけ的存在だったタピオカドリンクも、今や空前のブームの中一杯700円超えは当たり前。私が幼かった頃はせいぜい高くても一杯500円くらいだった記憶。
その類で見ると、かき氷もここ数年季節を問わず人気が続いていて一杯1,000円超えが当たり前になっている。
庶民的なかき氷にこそ魅力と親しみがあるとを思っているからか、生まれてこのかた1,000円を超えるかき氷を食べに行ったことがなかった。
"NEO和菓子"に誘われて
先日たまたま出張で関西に訪れた際に、延泊して立ち寄った京都。
ここでどうしても立ち寄りたくなった甘味処があった。
ここは、京都で老舗の甘味処「梅園」の姉妹店。その三代目でもある女性の和菓子職人さんによる、"従来の製法や原料にとらわれない和菓子作り"が人気を博しているお店。
実は餡子が幼い頃から苦手で、和菓子なんてほとんど食べない私。
けれども、とある媒体で見たうめぞの茶房の和菓子が本当にキラキラしていた。
既成概念にとらわれずに生み出された、新生代の和菓子。いわば"NEO和菓子"が、本当に美しく・しずく感たっぷり・美味しそうでついトライしてみたくなった。
どちらも嫌い、いや、これなら大好き
ここで人気なのが
・飾り羊羹
そしてこの夏話題になったのが季節の品でもある
・志るこ氷
はっきり言って、羊羹もおしるこもどちらも嫌い。何年も食べてないし、普段は絶対食べない。でも、ここでなら食べられる気がする。
そんな気がして、はるばる電車とバスを乗り継いで京都駅から40分もかけて来た。
志るこ氷とかざり羹セット(定番のお茶付)で1,500円(税込)
趣のあるテーブルにそっと置かれた私の注文。
羊羹とかき氷が浮かべる、クールなのにどことなく艶のある表情が、ここの和菓子の美しさ。
かき氷はちょうど私が訪れた日からスタートした秋のメニュー
「秋の果物とはちみつ志るこ氷」と「かざり羹(フランボワーズ)」
はちみつラベンダー蜜がかかった氷に梨と巨峰が添えられていて、底に志るこが隠れている。
羊羹は甘酸っぱいフランボワーズ羊羹に、白あん・柚子・ピスタチオがトッピングされている。
どちらも私の嫌いな和菓子(羊羹とおしるこ)でどちらも好物(フランボワーズとはちみつラベンダー)。
氷に冷やされた白玉と餡子が底をほじくるとこんにちは。
一瞬、餡子と白子を氷の中から発掘した時は嫌いなものだからドキッとしたけれど、勇気を振り絞って一口食べたらその美味しさに驚いた。
餡子がひつこく甘くない、程よく上品な甘さ。白玉もモチっとしていてはちみつラベンダーシロップとの相性が抜群に良い。こんなに美味しいって思う餡子初めて。
梨もシャキシャキしていて食感にメリハリがあるし、ぶどうの芳醇な甘さも一緒に加わるとまた味が変わる。
何だろう、日本で食べるかき氷じゃないみたいな新鮮さ。第三の視点が入っているような。
羊羹じゃなくて和ジェリーのような
かざり羹も甘酸っぱくて、暑かったこの日にはぴったりだった。
何となく食べきるのが惜しくて、ちょっとずつ切り崩して食べた。なくなるのが恋しい。
お茶を飲みながらいただいて、美味しさの余韻をずっと引きずってみた。
これもちっとも羊羹って感じがしなくて、濃密度の高い、ジェリーのような西洋と和の組み合わせがこんなにもうまくいっているなんて。
見た目も小さな宝石箱のような美しさと艶めき。
私がかき氷に1,000円以上を払う基準
ただ単に贅沢な材料を使ったから高いスイーツとも違い、作った人のセンスと食材がしっかりと化学反応を起こしてるスイーツ。
初めての1,000円超えかき氷がこれでとってもよかったと思う。
伝統と歴史を受け継ぎながらも、新しいことに挑戦し、伊吹を吹き込む。その未来と作り手さんの思いに対価を払ったような気がした。
ごちそうさまでした。
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