2019.9.7 後半ロスタイム、執念の連続攻撃で近畿大学Aを下す!
後半40分少し前、「ロスタイムは2分です。」と場内アナウンスが鳴り響いた。少し場内がシーンと静まり返った様な気がした。天地も焦がす灼熱地獄に選手も観客も疲れ果てていた。
一瞬、どの試合だったか定かではないが、昨シーズンのロスタイム敗戦が思い出された。敵の思い切った捨て身の大外へのパスにディフェンスが付いて行けず逆転負けを喫したのだ。しかし、そこから7分にも亘る同志社の怒涛の攻撃を誰が予想したであろうか・・。
9月に入っても猛暑日(35度以上)の京都市・宝ヶ池球技場は、もはや運動をする環境ではなかった。折しも熱中症警報がピンポン!とスマホに飛び込み、「特に屋外では運動をしないで下さい。」とあった。
文字通り、うだるような暑さで、ラインズマンの方は、「人工芝の上は40数度(C)になっています。」と話されたほどだ。正にお風呂の温度よりも高い灼熱地獄下での戦いである。協会の方がいつも口にする「アスリート優先で運営しています。」なんて良くぞ言えたものである。
兎にも角にも異常な暑さ!エンドラインで撮影していて「飲んだビールが5万本!」(←古~~)ではないが、試合途中にペットボトルを3本近くガブ飲みした。人工芝に手で触ると熱くて「アツゥ~!」と思わず手を反射的に引っ込めてしまう程だ。カメラの黒い軍艦部(上部)もアツアアツで熱暴走してピントが合わなくなった。
試合中、何人もの観衆が担架で運ばれ、救急車も数台来る有様。私の頭の中も熱暴走。押され気味の試合展開で、ヒートアップも限界寸前まで達した。
試合はシーソーゲームであったが、全体としては近畿大学優勢の流れであった。近畿大学は、細かいパスをクロスのトップスピードで縦に繋ぎ、飛ばしパスやキックパスで大外に振ったり、ライン裏へのチョン蹴り等、多彩な攻撃で攻めに攻めた。自信に裏づけられた勢いがあった。
フォワード・バックスがバランスよく弱く与しやすい印象があったチームが、フォワード・バックスが格段にバランス良く強くなっていた。確かに噂通り、予想以上に強い!
一方、同志社大学は、決して集散で大きく劣ったり、スピード負けしているわけではなかったが、何だか単調で芸がなかった。そこそこバランス良く、そこそこひ弱かった。ドカンと相手に真芯からぶつかることなく、何だかテクニックでかわしている印象が強く残った。
後半16分、NO.8服部選手④が敵ゴール正面5mのスクラムから単独で抜け出し、胸のすくような華麗なトライで逆転(D35:28K)した時には、この流れで行けると一旦は確信した。
しかしながら、後半23分と後半29分にいとも簡単に2本も縦を突かれてノーガードの逆転(D35:42K)を許した際には、正直ファンの頭に敗戦が過った。
明らかに勢いと流れは、近畿大学サイドにあった。
その後も引き続き近畿大学優勢で同志社は自陣での戦いを余儀なくされた。しかしながら、後半35分頃、SOからSHに入った田村選手②が敵陣15mから大きく敵ライン裏に抜け出し、交代で入ったSO桑山選手③が大きく更に縦にゲインした。更にフォワードの集散も良く、途中交代していたFL嶋崎選手④が敵防御陣2名を引きずり、あっという間に同点のトライ(D42:42K)をゴールポスト横にねじ込んだ。
後から思えば、これが大逆勝利への狼煙であった。
まだまだ油断大敵ではあったが、後で思えば、この嶋崎選手のトライが大きく流れを変えていたのだ。
まだまだ、ファンは勝利への確信どころか敵の思い切った捨て身プレーで再逆転を許すのではないかと不安の方が大きかった‥その時、(冒頭に記した通り)ロスタイム2分のアナウンスが場内に鳴り響いた。
場内の時計は40分を指した。残すところわずか2分の攻防。流れは、やはり近畿大学だった・・と言って良いだろう。
ピッチ40度超えで精根ともに尽き果てていた筈のロスタイム。得点は、D42:42Kの同点。しかしながら、このロスタイム2分のアナウンスで、いつになく同志社大学は何故か「神懸った」のだ。
PGが怖いので、まずは敵陣での試合が肝要だが、同志社は、自陣中間からから大きくゲインすることもなく、フォワード主体で繋ぎに繋いで敵陣まで進むこと其の回数₍約₎60余り。
敵ゴール前のフォワード攻防で最後にFL堀部選手④が縺れに縺れてねじ込むまで5分以上も攻めに攻め、繋ぎに繋いだのだ。実に再々逆転トライの公式タイムは、後半47分。
試合が中断すれば、同点引き分け。無理なパスはターンオーバーされ、一発逆転負けもあり得る。
地味ながらフォワードがしつこくしつこく、ただの一度のノッコーンやノットリリースもせず、着実に繋ぎに繋いだのだ。このノーミス繋ぎ60回・5分超を奇跡と言わずして何が奇跡なのだ。正に神懸かり以上の何物でもない。
近畿大学とてオフサイド一つなく守りに守ったのだ。
PG一つで勝負が決するシュチュエーション。ここは、同志社の精神力が上回ったと言って良いだろう。(←勝ったので余裕の発言です。へへへ・・)
ノーサードの笛!同志社の選手諸君の歓喜の雄叫び。スタンドの同志社ファンも狂喜乱舞。観客への挨拶で整列した際、元気者の右PR栗原選手③が感激の余りわあわあと泣いた。MOMは、正にチームを代表して山本主将が獲得した。
内容の如何を問わず、ともかく勝つことは素晴らしい。猛暑からも解放され、ファンは夕刻、実に美味い酒を十二分に堪能した。これで大学選手権出場の見通しが立った。(←へへへ・・ちょっと気が早過ぎますが、ファンの一般的な気持ちです。きっと・・。)
2019.9.7 D49:42K (F)
↓MOMは、山本主将!後半6分にトライ!最後まであきらめずチームをリードし、後半ロスタイムの神懸り60繋ぎを実現させた。